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グリーンインフラレンディング、資金を分別管理していなかった疑い

maneoへの行政処分が騒ぎになっていますが。

その原因を作り出したグリーンインフラレンディングが、投資家から集めた資金を分別管理していなかった疑いが出てきました。

日経新聞が報じました。

この記事の著者
投資家・ブロガー
タロウ

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファディング専門の投資家です。
2018年にソシャレン・クラファン投資を始め、これまで400件を超える案件に1億9千万円以上を投資し損失ゼロ。
安全性を最重視した投資情報を発信しています。

相変わらずタイトルは醜悪

マネオへの行政処分を伝えた昨日の日経の第一報は、誤解を招くひどい記事内容でした。

maneoに行政処分、記事を誤解してる人が多いので詳しく説明
グリーンインフラレンディングを巡る問題でmaneoマーケットが金融庁から行政処分を受ける見込みとなりました。投資家に虚偽の説明を行った金融商品取引法違反の容疑です。この記事を読んでmaneoが資金を流用したなどと誤解している人が多いです。

今回の記事もタイトルは相変わらずミスリードを誘う醜悪なものですが、内容は前回より事実を正しく理解できるものとなっています。

さっそく見ていきましょう。

日経の記事内容

こちらの記事です。

maneo、監視委が処分勧告 流用額10億円以上(7月6日18時43分)

タイトルを見るとmaneoが10億円以上を流用したように感じますが、事実はまったく異なります。

記事の主な部分を引用し解説します。

証券取引等監視委員会は6日、ネット経由で融資を仲介するソーシャルレンディング最大手のmaneoマーケット(東京・千代田)を行政処分するよう金融庁に勧告した。募集時の説明と異なる目的に流用されたのを見過ごすなど、管理体制に重大な不備があったため。流用額は少なくとも10億円以上で、焦げ付くおそれがあるという。

maneoマーケットが監視委から行政処分を勧告された理由について、「募集時の説明と異なる目的に流用されたのを見過ごすなど、管理体制に重大な不備があった」こと、と説明しています。

うまり、

  • 流用したのはmaneoではない
  • しかし、流用を見逃すような管理体制であることについて、maneoに重大な責任がある

ということです。正しい記事内容です。

では、流用したのは誰なのか?

maneoはファンド運営業者から依頼を受け、ネット上で投資資金を募る。ホームページ上に事業の概略や利回りなどの条件を載せ、投資家を集めて業者に仲介する役割を担っている。監視委が問題視したのは「グリーンインフラレンディング」という運営業者による多額の不正流用を見過ごしていたことだ。

青文字の部分は、いわゆるmaneoファミリーの仕組みについての説明です。

maneo親会社のmaneoマーケットが、LCレンディングやガイアファンディングなどの「ファンド運営業者」から依頼を受け、maneoマーケットのシステムを使って、ネット上で資金を集めます。

その際に、各案件の概略や利回りなどの情報のサイトへの掲載や、投資家との契約、集まった資金のファンド運営業者への引き渡しなど、実務部分をmaneoマーケットが行っています

そして記事の後半で指摘しているように、ファンド運営業者の中の1社であるグリーンインフラレンディングが不正流用をしていた。

それを見逃した点を監視委が問題としているということです。

maneoはグリーン社の依頼で、北海道での太陽光発電やスリランカでの水力発電事業への融資名目で年利11~14%で投資家を募集。3084人から約130億円を集め同社に仲介した。だが実際には同社はグループ会社の増資など事前の説明と異なる目的に集めた資金を流用していた。

グリフラは太陽光発電などの名目でmaneoマーケットに資金集めを依頼し、maneoマーケットはその名目で投資を募集し、集まった資金をグリフラに渡していた。

赤字の部分、1ヶ所だけ間違っているので補って説明します。

実際にはグリフラから融資を受けた親会社のJCサービスが、グループ会社のJC証券の増資など、事前に説明した発電とは異なる用途に資金を流用していた、ということです。

ここまで、おおむね正確な記事内容です。ショックを受けたのはこの次です。

グリフラは分別管理していなかった?!

衝撃の疑惑

本来はmaneoがグリーン社の資金管理の実態や資金使途を把握する義務を負う。体制が不十分だったmaneoは6日、「業務運営体制のより一層の強化に取り組む」とのコメントを発表した。グリーン社は自己資金と投資家から集めたお金を分けて管理しておらず、焦げ付きが発生する可能性がある。

前半はふむふむと読んでいたのですが、赤字の部分でひっくり返りました。

グリフラって分別管理してなかったの?!

グリフラの取引約款

これが日経の誤報ではなく事実であれば大問題です。

なぜならば、グリフラは取引約款の中で分別管理をすると定めているからです。

第5条第3項

お客様は、営業者がお客様から第1項に基づき預託を受けた金員を、他のお客様の預託した金員と一括して、営業者の固有財産を保管する銀行預金口座とは別に、下記の銀行預金口座にて分別管理することに同意します。

(出典:グリーンインフラレンディング取引約款

預託金は存在する

そして、2017年3月期グリーンインフラレンディング決算書(PDF)を見る限り、預託金は存在します。

AとBの合計の2,888百万円が、投資家がグリフラの口座に振り込んだお金です。

この内、Aの2,711百万円が実際に投資されたお金で、CのグリフラがJCサービスに貸し付けた債権となっています。

そして、グリフラの口座に残っているお金がBの177百万円です。

この177百万円がグリフラ社自身の資産とは別の銀行口座で、分別管理されているべき投資家のお金です。

日経報道ではこれが分別管理されていなかったというのです。にわかには信じがたいですが、事実であればとんでもないことです。

2つの裏切り

これは2つの意味で衝撃です。

投資家を裏切った

まず、グリフラは投資家との間で分別管理をすると約束しておきながら、実際には分別管理をしていなかった。

つまり、投資家との約束を履行しなかった、裏切ったということです。

maneoを裏切った

そしてそれ以上に衝撃なのは、グリフラがmaneoまでも裏切っていたことです。

maneoマーケットを利用するに当たって、グリフラはmaneo側から分別管理を当然求められていたはずです。

そして、それに同意したからこそmaneoマーケットの利用を認められたのでしょう。

にも関わらず分別管理をしなかった。つまり、maneoまでも裏切った。

店子が大家を裏切るとは、しかも業界最大手のmaneoを裏切るとは。衝撃です。

maneoの責任は重い

言うまでもないことですが、maneoの責任は極めて重いと指摘せざるを得ません。

基本中の基本である分別管理をさせていなかった。

投資家を裏切るような業者が募集することを許してしまった。

今回の件で証券取引等監視委員会も指摘していますが、maneoの管理責任は極めて重いです。

叩き潰すべきではない

ただ、ここで僕たちはmaneoを叩き潰すべきではありません。

maneoマーケットのシステムは日本で初めてのものです。

初めてのものですから、どうしても失敗やアクシデントは発生します。

それを非難しつつも受け入れて、さらに前進することを促す。

そういった僕たち消費者の姿勢がない限り、日本で新しいサービスが育つことはありません。

maneoの失敗を指摘し批判すると同時に、maneoがより良い体制を再構築し、しっかりとした業者になることを支持すべきではないでしょうか。

ここでmaneoを叩き潰すことは僕たち投資家の利益にはなりません。

しばらく様子見

とは言え、ちょっと怖い気持ちもあるのが正直なところです。

行政処分の内容が金融庁から発表されるまでは、僕はmaneoとそのファミリーへの投資は控えます

コメント

早期償還

案件の運用が予定より短い期間で終わり、業者が元本を予定より早く投資家に返すことを早期償還といいます。

例えば、運用期間12カ月の予定が6カ月で早期償還になると、受け取る分配金は基本的に半分になります。

ネガティブに捉えられがちですが、業者が確実に売れる物件を選んで案件を組成した証でもあります。

分配原資

分配原資とは分配金の出どころのことです。

例えば、入居者から得る家賃から投資家に分配金を払う場合、分配原資は家賃です。

家賃はインカムゲインですので、分配原資はインカムゲインとも表現できます。

組成

案件を作ることを組成といいます。

  • 投資対象は緑町ハイツ102号室で
  • 利回りは4.5%で
  • 運用期間1年
  • 募集総額2,300万円の案件を作る

こうやって案件が出来上がります。

組成 → 募集 → 運用開始 → 運用終了 → 償還

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングの案件はこのような流れで運営され、その最初の段階が案件の組成です。

元本毀損

元本毀損とは投資したお金が戻ってこなくなることです。

例えば、2,000万円で取得した物件が1,500万円でしか売れなかった場合、元本の一部が戻ってこないことがあります。

また、取得した物件が地震で倒壊し売れなくなったなどで、元本の全額が戻ってこないこともありえます。

クラファン案件の管理手数料

不動産クラファンで区分マンションなどが投資対象になる場合、物件の入居者募集や家賃徴収といった管理業務が行われます。

これらの業務は業者または外部の不動産業者が代行し、そこでは管理手数料が発生します。

案件の利回りはこういった手数料や経費も差し引いた上で計算されたものです。

ですので、投資家が管理手数料を別途支払う必要はありません。

優先出資と劣後出資

不動産クラファンでは一般に投資家と業者が共同で出資し、物件を取得します。

例えば、投資家が2,400万円、業者が600万円出資し、3,000万円の物件を取得するといった感じです。

出資者 出資額
投資家(優先出資) 2,400万円
業者(劣後出資) 600万円
出資総額 3,000万円

この時、投資家分の出資を優先出資業者分の出資を劣後出資といいます。

なぜ、そのような言い方をするのかなど、詳しくは下記記事を参照してください。

優先劣後出資方式と劣後出資比率

キャピタルゲイン型

不動産クラファンの案件は大きくキャピタルゲイン型とインカムゲイン型に分かれます。

投資対象物件を売却した際の売却益を分配原資(分配金の出どころ)とする案件がキャピタルゲイン型です。

一方のインカムゲイン型は運用期間中の家賃収益を分配原資とします。

なお、売却益と家賃収益の両方を分配原資とする併用型の案件もあります。

自社買取

不動産クラファンでは運用期間の最後に物件を不動産投資家など第三者に売却するのが一般的です。

しかし、何らかの事情で売却できなかった場合、自社で物件を買い取ることがあります。

売却できずに元本が戻ってこないところが、業者が買い取ることで元本が戻ってくることになるので、自社買取は投資家にとってメリットです。

劣後出資比率

不動産クラファンでは一般に投資家と業者が共同で出資し、物件を取得します。

例えば、投資家が2,400万円、業者が600万円出資し、3,000万円の物件を取得するといった感じです。

このとき、出資総額に対する業者分の出資額の比率を劣後出資比率といいます。

さきほどの例では20%です。

出資者 出資額 出資比率
投資家 2,400万円 80%
業者 600万円 20%

劣後出資比率が高いほど安全性が高まります。

詳しくは下記記事を参照してください。

優先劣後出資方式と劣後出資比率

償還

案件の運用が終わり、業者が元本を投資家に返すことを償還といいます。

クリック合戦

募集が先着方式の案件では、投資できる人が決まるのは早い者勝ちです。

このため、人気の案件では募集開始と同時に応募が殺到します。

この状態をクリック合戦といいます。

信託受益権

信託受益権とは信託財産から発生する利益を受け取る権利のことです。

詳しくは↓こちらの記事を参照してください。

信託受益権とは?(別タブで開く)

信託受益権とは?(今開いているタブで開く)

抵当権と根抵当権と極度額

抵当権とは借り手が返済できなくなった時に担保を売却し、その代金から他の債権者に優先して返済を受ける権利です。

抵当権は1つの借り入れに対して設定されるため、返済時点で消滅します。

これに対し根抵当権ではあらかじめ融資の上限額を設定し、その範囲内であれば何度でも融資と返済が可能です。

その都度、抵当権の設定登記を行う必要がないため、企業への融資などでよく利用されます。

極度額は根抵当権の融資上限額のことです。

債務履行

まず、「債務」とは他人に対し何らかの行動を行う義務のことです。

そして、債務を実際に行うことを債務履行といいます。

ソーシャルレンディングの場合、借り手(債務者)が返済することや、連帯保証人が借り手に代わって返済することが債務履行にあたります。

LTV

ソーシャルレンディングで使われる用語で、担保評価額に対する融資額の割合をいいます。

例えば、1億円の土地を担保に8千万円を融資する場合、LTVは80%です。

担保が評価額通りに売れるとは限らないため、LTVの数字が小さいほど安全性が高いとされます。

資金使途

ソーシャルレンディングで業者から借りたお金を借り手が何に使うかを資金使途といいます。

延滞

ソーシャルレンディングで借り手が期限内に返済できなくなることを延滞といいます。

また、ソシャレン、不動産クラファンで元本の償還が予定より遅れている状態を延滞と呼ぶことがあります。

業者や投資家によっては「遅延」という表現が使われることもありますが、意味は同じです。