久々に登場のFUELオンラインファンド。
今回のお金の借り手は保育園運営者です。
さて、この保育園屋さん、借りたお金を返してくれるのか?
案件を分析し、投資の是非を判断します!
上場企業案件です!
タップできる目次
FUEL保育園案件の概要
まず最初に今回の案件(以下、FUEL保育園案件)の概要です。
FUELオンラインファンドとは?
FUELはソーシャルレンディングのシステム開発や運営代行を行う会社です。
サービス名 | FUELオンラインファンド |
---|---|
運営会社 | FUEL株式会社 |
運営開始 | 2020年12月 |
最低投資額 | 1万円 |
利回り | 2~5% |
運用期間 | 6~24カ月 |
2020年2月の立ち上げ時からCRE Fundingの運営を代行してきました。
そして同年12月からは、自社でもソーシャルレンディングの運営を行っています。
これまでに募集した案件は、いずれも借り手が上場企業です。
●公式サイト:FUELオンラインファンド
FUELオンラインファンドについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
FUEL保育園案件の基本情報
次にFUEL保育園案件の基本情報です。
- 案件名:保育園みらいオンラインファンド横浜磯子
- 利回り:3.0%
- 運用期間:23カ月
- LTV:87.9%
- 募集総額:2億4,000万円
- 最低投資額:1万円
- 投資単位:1万円
- 投資上限:なし
- 分配:四半期ごと
- 募集開始:2021年5月10日12時30分
- 募集方式:先着方式
利回り3%は若干さみしいですね。
保育園の土地建物に第一順位の抵当権を設定しており、LTVは87.9%です。
2億円を超える大型案件なのはうれしいです。
確実に投資できるね。
クリック合戦なしでしょう!
FUEL保育園案件のポイント
今回のFUEL保育園案件のポイントを説明します。
案件の構図
案件の構図はこんな感じです。
- 貸し手:FUEL
- 実質的には投資家
- 借り手:あかるいみらいアセット
- さくらさくプラスの持分法適用の関連会社
- ↑マザーズ上場企業
- 資金用途:不動産取得(保育園施設)
実際にはFUELとみらいアセットとの間に「さくらさくパワーズ」というさくらさくプラスの100%子会社が入ります。
また、FUEL→パワーズ間は融資ではなく出資です。
これはグループ会社間貸付の形を取ることで貸金業法の対象外とするためです。(FUELは貸金業の登録を受けていない)
ですので実質的には、
- 我々投資家が
- FUEL経由で
- マザーズ関連会社にお金を貸す
ということです。
上場系の会社にお金を貸しますよと。
さくらさくプラス
借り手グループの中核企業であるさくらさくプラスについて見ておきます。
会社名 | さくらさくプラス |
---|---|
設立 | 2017年8月 |
所在地 | 千代田区有楽町1丁目2-2 |
資本金 | 5,000万円 |
従業員数 | 1,105人(連結、2020年8月末) |
事業内容 | 保育所の運営 保育所向け不動産の仲介 |
関連会社 | さくらさくみらい さくらさくパワーズ あかるいみらいアセット Hana TED(ベトナム) |
さくらさくプラスはグループ全体で保育所の運営、保育所施設の開発などを行っています。
現在、60カ所の保育所を運営中で、2021年は7月までに14カ所を新たに開設予定です。
業績も好調なようです。(百万円、2021年は予想)
年度 | 売上高 | 純利益 |
---|---|---|
2017年 | 1,867 | 31 |
2018年 | 3,244 | 366 |
2019年 | 5,154 | 697 |
2020年 | 7,629 | 933 |
2021年 | 9,613 | 1,069 |
順調に成長中ね。
運営中の保育所不動産を取得する
今回、投資家から集めた資金で取得する「太陽の子 磯子第二保育園」はHITOWAキッズライフが運営する保育園です。
2017年4月の開園で定員は48人、現在も運営中です。
新規に建てるんじゃないんだ。
HITOWAグループは子育て支援事業の他に介護、ヘルスケア事業などを行っています。
2020年度のグループ売上高は565億円、保育所と学童施設は合わせて102カ所あります。
保育所のリースバック
今回、さくらさくグループはこの保育所の物件を取得し、HITOWAグループが賃料を払って入居、保育所を運営します。
つまり、
- さくらさくが磯子保育所をHITOWAから買い取る
- HITOWAが資金を得る
- HITOWAが磯子保育所を借りる
- さくらさくに賃料が入る
- HITOWAが磯子保育所を運営する
HITOWAは保育所売却で得た資金で、新しい保育所の開設などを行うのでしょう。
ということでHITOWAが、
- 磯子保育所の不動産を売却し
- 今後は店子として磯子保育所に入居し
- 今まで通り磯子保育所の運営を続ける
不動産の所有者が変わった以外は今まで通り。
リースバックの保育所バージョンですね。
Fundsのあんばい案件と同じです!
FUEL保育園案件の疑問点
今回の案件、疑問点が2つあります。
なぜソシャレンで借りるのか?
利回りが3%ですので、さくらさくグループへの貸付金利は3%以上になります。
マザーズ上場企業ならば銀行からもっと低い金利で借りられるはずです。
それをあえてソシャレンで借りるのにはどんな事情があるのか?
そこがちょっと気になる&不安材料です。
確かに理由が知りたい。
さくらさくは何をしたいのか?
投資家の利回り3%+FUELの手数料で、さくらさくは3%台後半でお金を借ります。
そのお金で保育所の土地建物を仕入れて賃貸で運用して利益を出します。
後述しますが保育所の実質利回りは良くても4%台後半だと思います。
ってことは、差し引きの利益は1%前後です。
あんまり儲かりませんよね?
売却益狙いなんじゃない?
その可能性もあるでしょうけど。
さくらさくが3%台でお金を借りてまで保育所を取得する狙いがイマイチ分からない。
そこが気になっています。
細かいところが気になるもので…
FUEL保育園案件の分析
ここからはFUEL保育園案件の分配金と元本回収について考えていきます。
分配金を受け取れるか?
まず、分配金を受け取れるかです。
必要な分配金は1,380万円
この案件で支払いが必要な分配金は1,380万円です。
- 募集総額:2億4,000万円
- 利回り:3%
- 運用期間:23カ月
- → 必要な分配金:2億4,000万円×3%÷12✕23=1,380万円
受け取れるの?
分配金を受け取れる可能性は高い
保育所の建物を借りるHITOWAが賃料を毎月支払う前提ですが。
分配金を受け取れるかは、さくらさくがこの賃貸事業で必要な利益を出せるか次第です。
必要な利益=分配金は12カ月換算で720万円です。
そして、細かい数字が分からないので推測になりますが、物件の取得費が2億4,000万円だとしましょう。
仮にこの物件の年間純利益が720万円ジャストならば、
この物件の実質利回りは3%ということになります。
都心3区の駅チカ築浅の区分マンションでも3%は超えますよね?
横浜の幼稚園で実質利回り3%はありえない、もっと高いはずです。
例えば4%ならば、年間の利益は
960万円です。
ということで、年間純利益は720万円を超え、分配金を受け取れる可能性は高いと思います。
HITOWAが賃料を払う前提です!
元本を回収できるか?
次に最重点の元本回収です。
必要な売却価格は2億4,000万円
今回の案件で投資家の出資額は2億4,000万円です。
したがって、保育所が2億4,000万円以上で売却できれば元本は全額回収できます。
さて、いくらで売れる?
収益物件として評価額を出すべき
同じ町内の公示地価は平米19.5万円でした。
仮に実勢価格が1.2倍の23.4万円とすると、物件の敷地面積は263平米なので、
土地だけでは6千万円にしかなりません。
上モノがどれだけ高くても2億4千万円は無理ですよね?
やはり、収益物件として評価額を出すべきなようです。
がんばれ~
修行中ですが…
実質利回りが4.9%以下ならばOK
今回の物件の鑑定評価では、
- 評価額(直接還元法):2億7,400万円
- 還元利回り:4.3%
とのことですので、
年間純利益は1,178万円となります。
仮に物件の評価額が投資元本と同額の2億4千万円だとしたら、
物件の実質利回りは4.9%です。
したがって、物件の実質利回りが4.9%よりも低ければ、評価額は2億4千万円以上となり、元本は回収できることになります。
利回りが小さいほど評価額は大きくなるよ。
このあたり難しいですよね。僕もまだ全然分かっていません。勉強してレベルアップします!
千里の道も一歩から!
実質利回りは4.9%以下
調べてみると、隣の町内の1棟マンションの実質利回りが5.0%でした。
- 1棟マンション
- 築10年
- 実質利回り:5.0%
僕の推測ですが、今回の保育園は以下の点で、
- 空室リスクがない
- HITOWAとの賃貸借契約が10年以上残っている
- 滞納リスクが低い
- 認可保育園なので保育料を払うのは自治体
- なのでHITOWAには毎月確実に現金が入る
収益不動産としての価値は1棟マンションよりも高いと思います。
であるならば、実質利回りは1棟マンションの5.0%より低くなる。
つまり、4.9%以下になるので評価額は2億4千万円以上になるのではないでしょうか?
元本は回収できそうね。
不動産の価値が上がると実質利回りは下がります!
売却しないのでは?
ところで、一つ気になったことがありまして。
根抵当権になっている
FUELサイトの案件説明ページで、担保の説明で抵当権ではなく根抵当権になっているのです。
根抵当権にしているってことは、この物件を担保に再度お金を貸す可能性があるということです。
リファイナンス前提では?
ってことは、
- 今回の案件の運用期間終了時に
- 借りた元本をすべて返し
- 再度FUELでお金を集めて
- また借りる
つまりリファイナンスを前提にしている。
前提にはしていないまでも、その可能性を織り込んでいるのではないでしょうか?
そう考えると、そこまで心配はいらないのかもしれません。
僕の推測です!
FUEL保育園案件の投資判断
それでは最後にFUEL保育園案件に投資するかの判断です。
パスします
理由は読者諸兄姉ご推察の通りです。
- 運用期間:23カ月
運用期間が12カ月を超えたら、僕はオートマチックスルーです。
物件の内容を見る前に、運用期間を見た時点でパスが決定しました。笑
頑固だねぇw
さくらさくをどう見るか次第
運用期間は気にならない人はどうすべきか?
HITOWAから保育料は入り続ける
まず、HITOWAは賃貸契約が10年以上残っているので、恐らく保育所の運営を継続するでしょう。
横浜で激烈少子化でも進まない限り、保育料が入ってくるので家賃も払うはず。
となると、さくらさく次第です。
問題なしの可能性が高い
保育所不動産を所有して大家さん商売を続けるならば、2年後にリファイナンスなので問題なし。
売却する場合はLTVが90%近いので、売却損が出る可能性はあります。
その場合もマザーズ上場企業で足元の経営状態も悪くないので、元本は全額返済すると思います。
さすが上場企業。
さくらさくの2年後次第
ただし、さくらさくが2年後に経営が傾いていないことが前提です。
傾いていたら、無い袖は振れないで元本割れの可能性が出てきます。
さくらさくの2年後を満開と見るならば投資OK、五分咲きならば躊躇、葉桜になっていそうならばパスってところかと。
さくらさくの2年後はどうなのか?
みなさん、考えてみてください。
桜は咲くか?
FUELの案件増を期待
さて、これでFUELオンラインファンドの案件募集は3回となりました。
時期 | 利回り | 運用期間 | 募集総額 | 借り手 |
---|---|---|---|---|
2020年12月 | 2.5% | 24カ月 | 3,000万円 | 東証一部 |
2021年1月 | 2~5% | 6カ月 | 5,000万円 | 東証一部 |
2021年5月 | 3% | 23カ月 | 2億4,000万円 | マザーズ |
借り手がすべて上場企業系というのが安心できるポイントですよね。
今回は2億円を超える大型案件。
ついにFUELが本格稼働するようです。
次回の案件にも期待しましょう。
上場系は安心です!
●公式サイト:FUELオンラインファンド
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