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金融庁がソーシャルレンディングの規制強化へ

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金融庁がソーシャルレンディングの規制を強化します。

新規制を盛り込んだ金融商品取引法の改正案を今国会に提出するようです。

この件について僕の考えを述べます。

なお、僕は金融庁が大っきらいです!笑

かなりバイアスがかかった内容ですのでご了承ください。

タロウさん
タロウさん

憎っくき金融庁!

この記事の著者
投資家・ブロガー
タロウ

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファディング専門の投資家です。
2018年にソシャレン・クラファン投資を始め、これまで400件を超える案件に2億3千万円以上を投資し損失ゼロ。
安全性を最重視した投資情報を発信しています。

ソシャレン規制強化の概要

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まず最初に、どのように規制が強化されるかです。

 

日経新聞が報道

今回の規制強化は2023年3月8日付の日本経済新聞で報じられました。

本記事はその内容をもとに書いています。

ネット融資仲介、ずさん運用にメス 金融庁が新規制 - 日本経済新聞
...

 

ソシャレン規制強化の内容

上掲日経記事によると以下のような規制強化が実施されるようです。

  • 運用成績などを示した「運用報告書」の交付を業者に義務付け

報じられた内容はこれだけです。

現時点では概要であり、詳しい内容はこれから出てくるのでしょう。

左野くん
左野くん

期待できそうなの?

規制強化には期待できない

規制強化には期待できないのタイトル画像

金融庁嫌いのバイアスかかりまくりですが、今回の規制強化案は期待できるものとは思えません。

 

何を今さら!

まず、期待以前に「何を今さら!」が、この報に接したソシャレン投資家の一致した感想ではないでしょうか?

 

5年もかかったのか?

読者諸兄姉はご存知の通り、グリーンインフラレンディングに端を発するmaneoファミリーでの大破綻劇が起きたのは2018年です。

グリーンインフラレンディングのサイト画像

それから5年もかかってようやく規制強化かい!

時間かかり過ぎるにもほどがあると思いきや、実はそうではありません。

 

検討開始は2021年秋

2022年6月7日付の時事通信によると、金融庁がソーシャルレンディングの規制強化の検討を始めたのは2021年秋のようなのです。

ソーシャルレンディングをめぐり金融庁は昨年6月、投資先の資金流用を見逃していたとして、ネット金融大手SBIホールディングスの子会社に1カ月間の業務停止命令を出した。この問題を受け、同庁は昨年秋から金融審議会の作業部会で規制強化に向けた議論を始めていた

2021年3月に起きたSBI-SL事件を受けて、同年秋から規制強化の議論を始めたとのこと。

事実、金融審議会の市場制度ワーキング・グループの議事録に「ソーシャルレンディング」の文字が初めて登場するのは2021年12月です。

 

グリフラ事件では規制強化は出なかった

つまり、2018年のグリフラ事件では規制強化はしなかった。

だが、2021年にSBI-SL事件が起こったので、ようやく規制強化に乗り出したということではないでしょうか?

だったら、グリフラのあとでさっさと規制強化に動いとけよ。

そうしておけばSBI-SL事件も防げたかもしれないじゃん。

規制強化まで踏み込まなかった当時の金融庁の判断の誤りじゃないの?

そういう指摘はあって然るべきかと思います。

右田さん
右田さん

金融庁が甘かった!

 

一定の理解はするが

ただ、これについては金融庁にも言い分があると思います。

ワーキング・グループの議事録では、金融庁職員による次のような発言が散見されます。

規制強化をするとしても、イノベーションを過度に阻害することにならないように慎重に検討していただきたい。

ソーシャルレンディングだけでなく仮想通貨もですが、金融庁は新しい技術の導入に比較的積極的だと感じます。

過度に規制することでソシャレンの発展を妨げたくないという考えがあった。

それゆえ、2018年段階では規制強化は行わなかったということであれば、それには一定の理解が示されて良いと思います。

タロウさん
タロウさん

仮想通貨に積極的なのは支持します!

 

運用報告書の導入で被害防止はできない

ただ、それは別として今回の規制強化案でソシャレンでの事故発生を防ぐのは難しいと考えます。

 

運用報告書とは?

今回の日経記事では「運用報告書」の交付を義務付けるとしています。

ファンド業者に運用成績などを示した「運用報告書」を交付するよう義務付ける。ウソの資金使途をうたい、出資者をだますずさんな業者が出ておりメスを入れる。

この運用報告書とはどのようなものなのでしょうか?

 

業者の過去実績の報告書

可能性の一つは業者の通算実績の報告書です。

例えば、Fundsの運営開始から現在までの全案件累計での運用成績の報告書。

仮にそうであるならば、報告書の義務付けで投資家の被害を防ぐことは100%不可能です。

なぜならば、これまで無事故であることは、これからも無事故であることの保証にはならないからです。

左野くん
左野くん

確かに!

グリフラもクラリもトラレンも事故を起こすまでは無事故だったじゃないですか?

無事故実績で投資家を安心させて、資金を集めるだけ集めたところで事件を起こす。

悪意ある業者に無事故実績が悪用されるので、むしろ害があります。

そういう運用報告書であるならば義務付けないでほしいです。

タロウさん
タロウさん

悪夢がまた繰り返される…

 

個別案件ごとの報告書

もう一つの可能性として個別案件ごとの運用報告書が考えられます。

現在運用中の案件について、定期的に運用成績を投資家に報告する。

または、案件の運用が終わるたびに運用成績を報告する。

これであっても問題解決にはなりません。

なぜならば、これまで起きた事件の大半で、業者、または借り手による虚偽があったからです。

運用報告書を義務付けたところで、その正確性が担保されないならば、なんら実効性はありません。

「役所としては義務付けてましたよ~」というエクスキューズのネタができるだけです。

右田さん
右田さん

悪意ある見方w

 

金商法の改正で対応できるのか?

今回の規制強化で最大の問題は金融商品取引法の改正で対応しようとしていることです。

 

借り手の匿名化

日経記事は今回の記事を以下のように締めています。

投資家は高利回りの情報だけで判断せず、貸付先の名称や所在地、資金使途などを確認する必要がある。

これは100%正しいです。

しかし、金融庁が規制強化を金商法の改正で対応しようとしている限り、これを実現するのは不可能です。

なぜならば、「借り手の匿名化」が残るからです。

借り手の匿名化とはソーシャルレンディングにおいて借り手が誰であるかを明示しないことです。

いまでも、複数の業者で匿名化が行われています。

左野くん
左野くん

悪名高き匿名化…

 

借り手匿名化の経緯

2012年に日本でソーシャルレンディングが誕生した当初、借り手は匿名化されていませんでした。

例えばOwnersBookの初期の案件は債権者名だけでなく担保物件の名称や所在地も公開されていました。

それが変わったのが2014年です。

ソシャレンでは投資家が間接的に借り手にお金を貸す形になっています。

これが貸金業務に当たるとなると、我々個々の投資家が貸金業者の登録をしなければならなくなります。

タロウさん
タロウさん

無理っす!

そこで、金融庁は「投資家に借り手が誰か分からないようにする」など3条件を満たす場合、ソシャレンでの投資家の行為は貸金業に当たらないとの見解を示しました。

匿名化していればソシャレンOKということです。

これがいわゆる2014年に行われた匿名化の指導です。

 

匿名化を悪用した不正が発生

しかし、この匿名化によって業者は借り手を隠すことが可能になりました。

その結果、みんなのクレジットやラッキーバンク、そしてグリフラなどで、自社の関連企業などへの不透明な融資が行われた。

匿名化を悪用した不正が多発し、多くの投資家が被害を受けたことは周知の通りです。

 

匿名化解除へ

グリフラ事件発生以前から匿名化は問題視されていました。

そして、2018年2月の内閣府規制改革推進会議を経て、同年6月に決定された規制改革実施計画に匿名化解除が盛り込まれました。

そして翌2019年3月、ついに匿名化解除が実現されたのです。

 

匿名化は残る

ただしその際、匿名化自体は残りました。

「投資家と借り手の接触を禁止するなど」の3条件を満たせば借り手を明示しても良いと、条件付きで匿名化解除が認められた一方、従来の匿名化も残ったのです。

つまり、現在のソシャレン案件は次の2つが併存しています。

  • 条件を満たさず匿名化
  • 条件を満たして匿名化解除

 

匿名化禁止はできない

上述の通り、匿名化はソシャレンの大きなリスクです。

では匿名化を全面禁止できるのか?

匿名化解除によるデメリットは別の議論として、現在の枠組みでは不可能です。

なぜならば、ソシャレンは貸金業法を根拠法としているからです。

これは2018年に新経連が出したクラウドファンディングに係る規制改革要望で明確に指摘されていますが、ソシャレンを想定して制定されていない貸金業法にソシャレンを当てはめたことに無理がありました。

不動産クラファンにおける不特法のように、専用の法令を制定すべきでした。

そんなことは野良ブロガーの僕ごときに言われるまでもなく、金融庁の役人が一番よく分かっているはずです。

金商法をいくら改正したところで、貸金業法を根拠法としている以上、投資家が貸金業を業として行っていない形にする必要がある。

そしてその必要性を2018年に匿名化の指導で認めてしまった以上、金融庁は今さら「必要なしでOKっすよ~」とは口が裂けても言えない。

貸金業法ベースでOKとこれまでしてきた以上、専用の法令を制定するわけにもいかない。

これからも金商法の改正でしのぐしかなく、匿名化は永遠に残り続ける

それゆえ、日経記事が指摘する「貸付先の名称や所在地、資金使途などを確認」は、匿名化された案件では不可能な状態が続くでしょう。

右田さん
右田さん

ウィズ匿名化が続く…

 

初期対応の誤りが永遠の禍根として残る

ということで、後半ダラダラになってしまいましたが、ソシャレン規制強化について解説しました。

日本でのソシャレン誕生から10年以上が経ちましたが、匿名化がいまだにソシャレンのアキレス腱として残っています。

金融庁がどういう理由でソシャレンを貸金業法に当てはめようとしたのか、もちろん僕には分かりません。

もし最初の段階で誰かがその無理を指摘し、別途法律を制定する、または将来制定できる余地を残しておけば。

そうすればユウノシンさんをはじめ多くの犠牲者を出さずに済んだし、今回の規制強化もより有効なものにできたでしょう。

最初のミスがいまだに響いている。

残念で仕方ありません。

タロウさん
タロウさん

犠牲者の無念は活かされず…

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