新たに登場した不動産クラファン「TSON FUNDING」。
第1号案件の募集が12月10日11時に始まります。
最近、新しい業者が増えて、こんがらがっている方も多いのでは?
そこで、ソシャレン、クラファン約50社で会員登録している僕が、案件の詳細を分析し、投資の是非を判断します。
参考になればうれしいです!
タップできる目次
TSON FUNDING第1号案件の概要
それでは、案件の概要からです。
TSON FUNDINGとは?
TSON FUNDINGは2020年10月に運営を開始した不動産投資型クラウドファンディングです。(※1 第1号のもの)
サービス名 | TSON FUNDING |
---|---|
運営会社 | 株式会社TSON |
運営開始 | 2020年10月 |
最低投資額 | 1万円 |
利回り | 6.7% ※1 |
運用期間 | 1年 ※1 |
運営会社のTSONは名古屋の不動産業者です。
プロ投資家だけが売買に参加できるTOKYO PRO Marketに上場しています。
上場企業なのは安心感があるね。
TSON FUNDING第1号案件の基本情報
TSON FUNDING第1号案件の基本情報は以下の通りです。
- 案件名:SMART FUND8号
- 利回り:6.7%
- 運用期間:1年
- 劣後出資比率:20.6%
- 分配:満期一括
- 募集総額:4,050万円
- 最低投資額:5万円
- 出資単位:1万円(最低5万円)
- 出資上限:1人1,000万円
- 募集方式:抽選方式
- 募集期間:12月10日11時~25日13時
なんで8号なの?
電子化の第1号案件
運営会社のTSONは以前から不動産小口化商品を販売してきました。
ただし、販売手続きは紙の書類のやり取りでした。
それがSMART FUND1~7号です。
TSON FUNDINGは紙ベースだった販売方式を電子化し、インターネットで手続きができるようにしたものです。
今回の案件は、
- TSONのSMART FUNDシリーズとしては第8号
- TSON FUNDINGの案件としては第1号
ということです。
実質利回りに注意
今回の案件は利回りに少し注意です。
- 利回り:6.7%
- 運用期間:1年
運用期間が1年で利回りが6.7%となっていますが、
- 振込期限:2021年1月8日
- 運用開始:2021年1月15日
- 運用終了:2022年1月14日
- 償還予定:2022年3月14日
資金が拘束されるのは1年ではなく14カ月です。
ですので、資金拘束期間で見た実質利回りは5.7%です。
- 6.7%÷14×12=5.7%
それでも高水準だよね。
OKだと思います!
定期借地権を活用している
今回の案件ではアパート1棟を取得します。
その割に募集額が4,050万円って安すぎると思いませんか?
実は今回の案件では定期借地権を活用しています。
土地の所有者から土地を借りて自己所有のアパートを建設します。
つまり、今回の案件で取得するのはアパートの建物だけです。
定期借地権を活用すれば、低コストで不動産を取得できるので利回りが向上します。
この定期借地権の活用がTSON FUNDINGの特長です。
TSON FUNDING第1号案件の投資対象物件
投資対象物件はさいたま市の新築アパートです。
- 物件名:SONAEさいたま市緑区
- 所在地:さいたま市緑区松木1-4010
- 築年:2021年5月
- 構造:木造2階建て
- 最寄り:東浦和駅 自転車12分
最寄り駅はJR武蔵野線の東浦和駅です。
浦和って東西南北中に武蔵浦和、浦和美園ってメンバーが多いよね。
URW48!
そこまではない…
メゾネットタイプ4室
部屋は1階と2階を階段でつないで1つの住居にしたメゾネットタイプ4室です。
今回の案件では、次のようにアパートを運用します。
- 出資したお金でアパートを取得し
- 家賃収入を得て
- 運用期間の最後に売却して売却益を得て
- 売却代金で投資家に元本を返済
みんなでアパートの大家になるイメージだよ。
家賃保証が付いている
今回の案件には家賃保証が付いています。
アパートは4室まとめて東京の不動産屋に貸し出され、この不動産屋が入居者を探します。
アパート投資でおなじみのサブリース契約です。
そして、TSONのサブリースは空室保証型で、不動産屋は入居者の有無に関わらず、毎月決まった家賃を大家に支払います。
つまり、アパートが空室でも家賃が保証されるということです。
ここまで案件の概要でした!
TSON FUNDING第1号案件の分析
それでは案件内容の分析です。
分配金は得られるか?
今回は分配金から見ていきます。
必要な分配金の総額
今回の案件で必要な分配金の総額は271.35万円です。
- 利回り:6.7%
- 運用期間:1年
- 募集総額:4,050万円
- → 必要分配金額:4,050万円×6.7%=271.35万円
これが本当に得られるのか見ていきます。
見込まれる家賃収入
この物件の月額賃料は42.8万円です。
だったら楽勝だね。
スイーーート!
この案件の運用期間は2021年1月~2022年1月です。
しかし、アパートが完成するのは2021年5月末です。
まだできてないの!
- 運用開始:2021年1月15日
- 完成予定:2021年5月31日
- 運用終了:2022年1月14日
したがって見込まれる家賃収入は、
- 7カ月分として、42.8万円×6=299.6万円
299.6万円です。
やっぱりOKじゃん!
スイーーート!
家賃保証=分配金保証ではない
299.6万円はサブリースの不動産屋から受け取る家賃です。
ここから、運用コストや公租公課、事業者報酬などが引かれます。
それらの金額次第では、家賃収入だけで分配金を満額受け取ることはできません。
家賃は保証されていますが、分配金が保証されているわけではないのです。
コストとかはいくらかかるの?
分配金を得られるか判断できない
運用コストなどが分かれば、家賃だけで分配金をカバーできるか分かります。
足りない場合は売却益がいくら出れば良いかも算出できます。
ところが、運用にかかるコストなどが示されていないのです。
ですので、分配金を得られるかは判断できません。
こまリータ、セニョリータ!
元本は回収できるか?
次に元本を回収できるかです。
必要な売却額
- 出資総額:5,100万円
- 優先出資:4,050万円(79.4%)
- 劣後出資:1,050万円(20.6%)
投資家の出資分は4,050万円ですので、アパートが4,050万円以上で売れれば元本は全額回収できます。
経費等は無視しています!
販売価格は5,720万
今回の物件「SONAEさいたま市緑区」ですが、楽待に情報が出ていました。
販売価格は5,720万円とのことです。
7掛けでも元本回収できるか。
不動産情報サイトの価格
ただ、5,720万円は売り手の希望価格ですからね。
不動産情報サイトで近隣で築年が比較的近い物件を探してみました。
築年 | 土地面積 | 満室賃料/年 | 価格 | 表面利回り |
---|---|---|---|---|
2002年6月 | 153平米 | 215万円 | 3,580万円 | 6.0% |
2016年12月 | 197平米 | 544万円 | 9,060万円 | 6.0% |
ともに土地付きで、周辺の土地の相場は平米20万円でした。
今回の物件の敷地は326平米なので土地代で6,520万円です。
建物が楽待プライス5,720万円ならば合わせて1億2,240万円となります。
月額家賃が42.8万円なので年間では514万円。
築年 | 土地面積 | 満室賃料/年 | 価格 | 表面利回り |
---|---|---|---|---|
2021年5月 | 326平米 | 514万円 | 1億2,240万円 | 4.2% |
これだけで見るとちょっと高すぎる気が…
家賃が安すぎるんじゃない?
サブリースで不動産屋に引かれてますからね。
それを踏まえると妥当な価格なのかもしれません。
そもそも売れるのか?
価格が妥当であるか以前に、この物件に買い手は付くのでしょうか?
まず、立地が微妙です。(地図上の赤いマーク)
東浦和駅から約3km。
TSON FUNDINGサイトには自転車で12分と書いていますが、徒歩では39分です。
最寄りの松ノ木東公園バス停まで350m、そこから東浦和駅までバスで12~15分。
利便性が良いとは言えません。
また、少し離れると田畑が広がっておりまして。
3密回避と子育てには良い環境でしょうが。
ただし、周辺はベッドタウン化が進んでおり、6~7時台は東浦和駅行きのバスが29本もあります。
また、東浦和駅の乗降客数も増え続けています。
なので、すぐに買い手がつくのかもしれません。
ただ、売却できなかった場合は運用期間が最長で6カ月延長される点に注意です。
やばい気がしてきた…
TSONが買い戻す可能性はある
とは言うものの、不安要素ばかりではありません。
このアパートの現時点での所有者はTSONです。
運用開始と同時に所有権がファンドに移るイメージです。
また、契約書にはTSONが物件を自社で買い取れることが定められています。
対象不動産の売却等について
本事業者は、対象不動産等の売却等(売却し、又は本事業者の固有財産とし若しくは(以下略)
ですので、売却できなかった場合にTSONが自社で買い戻す可能性はあるとも言えます。
上場企業なのでありえる気も…
TSON FUNDING第1号案件の投資判断
以上を踏まえて、TSON FUNDING第1号案件に投資するかの判断です。
情報が少なく判断できない
まず分配金について、上述の通り満額受け取れるかは判断できません。
正直なところ、公開される情報が少ないと感じます。
CREALやジョイントアルファは費用などを収支表の形で示します。
もちろん、僕にその妥当性を判断できるだけの知識はありません。
ですが情報があれば、こうやって分配金が出るのだと理解できますし、これは調べた方が良いのでは?と気付けます。
要は、情報をしっかり出してもらうことで自分で納得して投資できるのです。
それで初めて投資は自己責任です!
TSONは償還できるのか?
もう一つ気になるのが、TSONは元本を償還できるのかです。
最初の方でTSONは以前から不動産小口化商品を扱っていると書きました。
2020年1月の森林再生1号以来、募集した案件は15件、総額6億6,800万円です。
案件 | 募集額 | 償還予定 |
---|---|---|
森林再生1号 | 1億4,800万円 | 2021年4月30日 |
森林再生2号 | 3,100万円 | 2021年6月30日 |
森林再生3号 | 4,800万円 | 2021年6月30日 |
森林再生4号 | 1,550万円 | 2021年7月31日 |
森林再生5号 | 3,500万円 | 2021年7月31日 |
森林再生7号 | 1,550万円 | 2021年8月31日 |
SMART FUND 1号 | 5,300万円 | 2021年8月31日 |
森林再生6号 | 5,400万円 | 2021年8月31日 |
SMART FUND 2号 | 4,750万円 | 2021年9月30日 |
SMART FUND 3号 | 4,050万円 | 2021年10月30日 |
森林再生8号 | 3,650万円 | 2021年7月31日 |
SMART FUND 4号 | 6,600万円 | 2022年1月9日 |
SMART FUND 5号 | 3,200万円 | 2022年1月31日 |
SMART FUND 6号 | 2,150万円 | 2022年2月15日 |
SMART FUND 7号 | 2,400万円 | 2022年3月11日 |
合計 | 6億6,800万円 |
森林再生2号が早期償還しただけで、その他の合計6億3,700万円が未償還です。
東証一部のRimpleでも8カ月で5億6,521万円です。
しかも、都内の区分マンションのRimpleに対して、TSONは郊外のアパートです。
案件 | 所在地 |
---|---|
森林再生1号 | 名古屋市緑区大高町、安城市高木町他 |
森林再生2号 | 愛知県春日井市朝宮町 |
森林再生3号 | 名古屋市北区中味鋺、守山区小幡中 |
森林再生4号 | 北名古屋市弥勒寺東 |
森林再生5号 | 愛知県岩倉市新柳町、岡崎市丸山町 |
森林再生7号 | |
SMART FUND 1号 | 愛知県津島市西愛宕 |
森林再生6号 | 愛知県岡崎市柱 |
SMART FUND 2号 | 東京都日野市神明 |
SMART FUND 3号 | 愛知県江南市田代町郷中 |
森林再生8号 | 名古屋市緑区滝ノ水、稲沢市駅前 |
SMART FUND 4号 | 東京都板橋区小茂根 |
SMART FUND 5号 | 愛知県津島市今市場町 |
SMART FUND 6号 | 愛知県清須市清洲 |
SMART FUND 7号 | 愛知県刈谷市今岡町宮岡 |
TSONは上場企業なので一定の信頼性はあるでしょう。
ただ、こんなに未償還の案件を抱えて大丈夫なのかな?
ちと不安です…
もう少し検討する
情報量については、TSON FUNDINGはまだ第1号案件です。
試行錯誤の段階でしょうから、2号以降に期待したいと思います。
ただ、今回の案件は漠然としたものではありますが不安が残ります。
確信を持たずに投資するのはよろしくない。
募集は抽選方式で応募期間は12月25日までです。
会社、経営者を含めてTSONについてもう少し調べた上で判断します。
抽選だったら、ヒヨコはどっちみち落ちるよ。
それを言わんで!
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