SBIソーシャルレンディング(以下、SBI-SL)が自社の貸付案件について第三者委員会の設置を決定しました。
この件について僕の考えをまとめます。
ポイントは以下の3点です。
- 損失は補填される
- 第三者委員会は損失補填を行うため
- 焦点は行政処分の有無
なお、以下はあくまでも現時点での僕の推測です。
僕は金融や法律のプロでもなんでもないので、居酒屋談義くらいのつもりで読んでください。
また、僕自身は昨年1月にSBI-SLから撤退しており、今回の件の当事者ではありません。
第三者の立場で書いていますので、投資中の方とは感じ方、ものの捉え方に温度差があります。
読んで不快に感じられたらご容赦ください。
悪意はないのでご容赦を!
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通常の元本毀損であれば損失補填しない
今回の件が通常の元本毀損であれば、SBI-SLは損失補填は行わないでしょう。
今回の件の説明
まず、ご存じない方のために今回の件を説明します。
知っている方は次に飛んでください!
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SBI-SLは2021年2月5日に第三者委員会設置に関するお知らせを自社サイトで公開しました。
ポイントは以下の3点です。
- 貸付先の事業運営に重大な懸案事項が生じている
- 第三者委員会を設置し調査を実施する
- SBIグループが協力する
また、この件を伝えた時事通信の記事には次の指摘があります。
- 貸付金の返済遅延や回収不能などの懸念がある事例が確認された
単に借り手が返済不能になっただけであれば、第三者委員会なんて設置しません。
社外の弁護士らを入れて大事にする以上、恐らくこういういことではないでしょうか?
- SBI-SL内部で不当な貸付が行われた
- 当該借り手が返済不能になった
- それにより投資家の元本が毀損される
まさかSBIで…
あくまでも僕の推測です!
ソシャレンに元本毀損はつきもの
ソーシャルレンディングの本質は金貸しです。
金貸しに貸し倒れ=元本毀損はつきものです。
だからこそ、SBI-SLに限らずソシャレン各社は「元本は保証しない」とサイトや契約書で明記しています。
ソシャレンは元本既存の可能性を前提とした投資です。
ノーリスクの投資なんてないからね。
通常の元本毀損であればソシャレンのリスクが顕在化しただけのことであり、業者に損失補填する責任はありません。
損失補填は違法
それ以前の問題として、損失を補填することは違法です。
金融商品取引法(以下、金商法)は第39条で次のように定めています。
金融商品取引業者等は、次に掲げる行為をしてはならない。
有価証券売買取引等につき、当該有価証券等について生じた顧客の損失の全部若しくは一部を補塡し、又はこれらについて生じた顧客の利益に追加するため、当該顧客又は第三者に対し、財産上の利益を提供し、又は第三者に提供させる行為(金商法第39条第1項第3号)
法律で明確に禁じられているのですから、SBI-SLは借り手のデフォルトで生じた投資家の損失を補填することはできません。
補填したらSBI-SLが違法になるんだ…
過去の元本毀損でも補填しなかった
そして実際に、SBI-SLは過去の元本毀損でも補填していません。
SBI-SLでは2018年に不動産バイヤーズローンファンド16号~22号でデフォルトが発生しました。
これにより最大で17.9%の元本毀損が発生しましたが、SBI-SLは投資家の損失を一銭も補填していません。
それだとSBIグループの評判が落ちるんじゃない?
SBIの看板にキズは付かない
通常の元本毀損であれば、それはありえません。
ソシャレンという金貸しのリスクが現実になっただけです。
それで騒いだところで、世間は「欲を出したアホが損をした」としか見ないでしょう。
なにせ日本って「金儲け=汚い」意識が未だに強く、さらに新しいものには徹底して否定から入る国民性ですから。
我々ソシャレン民が損をしたところで、国民は同情なんてしませんよ。ふぅ…
実際、2018年のデフォルトでSBIの株価は下がっていません。
それどころか、その後もSBI証券は順調に口座数を増やし、ついに野村證券を超えました。
「看板にキズを付けないために補填してくれるはず」という期待は幻想です。
損するしかないんだ…
ちょっと待った!
ただしそれは、通常の元本毀損であればです。
不当な元本毀損であれば損失補填する
今回の件が不当、不正な元本毀損であれば、SBI-SLは損失を補填すると僕は思います。
不正による損失は補填できる
金商法第39号は次のように定めています。
第一項の規定(※筆者注、損失補填の禁止)は、同項各号の申込み、約束又は提供が事故による損失の全部又は一部を補塡するために行うものである場合には、適用しない。(金商法第39条第3項)
この「事故」には広く法令に違反する行為が含まれます。(金融商品取引業等に関する内閣府令(以下、内閣府令)第118条)
つまり、不当な元本毀損で投資家が損失を負った場合は補填できるということです。
不正が原因だったらOKなんだ。
不正だとSBIの看板にキズが付く
そして、不正によって投資家に損害を負わせたとなると、SBIの看板にキズが付くでしょう。
株価に影響したり、SBI証券からの顧客流出もあるかもしれません。
さらに、SBIが進めている地方銀行との提携にも影響が出かねません。
さすがに不正だとヤバい!
第三者委員会はキズを最小限にするため?
ところで、SBI-SLはなぜ第三者委員会を設置するのでしょうか?
僕はキズを最小限にするためだと思います。
SBIグループは損失補填したいはず
あくまでも仮にですがSBI-SLで不正が行われた場合、SBIグループとしては、
- 早急に公正な調査を実施した
- 関係者の処分を適切に行った
- 投資家の損失を補填した
などの事実を作ることで信頼回復を図り、SBIグループのキズを最小限にとどめようとするでしょう。
ですので僕は、SBIグループとしては損失補填を行いたいのだと思います。
しかし、損失補填は企業の一存で勝手にできるものではないのです。
以下、素人法解釈です!
損失補填には事前の確認が必要
金商法第39条は次のように定めています。
第一項(中略)第三号の提供にあつては、その補塡に係る損失が事故に起因するものであることにつき、当該金融商品取引業者等があらかじめ内閣総理大臣の確認を受けている場合その他内閣府令で定める場合に限る。(金商法第39条第3項)
つまり、
- 損失を補填する場合は
- その損失が事故によることについて
- 行政による事前確認が必要
ということです。
業者が勝手に事故が原因と決められないのね。
そして、確認を受ける必要がある項目は内閣府令第121条で次のように定められています。
-
金融商品取引業者等の商号、名称又は氏名及び登録番号
-
事故の発生した本店その他の営業所又は事務所の名称及び所在地
-
確認を受けようとする事実に関する次に掲げる事項イ 事故となる行為に関係した代表者等の氏名又は部署の名称ロ 顧客の氏名及び住所(法人にあっては、商号又は名称、主たる営業所又は事務所の所在地並びに代表者の氏名)ハ 事故の概要ニ 補塡に係る顧客の損失が事故に起因するものである理由ホ 申込み若しくは約束又は提供をしようとする財産上の利益の額
-
その他参考となるべき事項
第三者委員会は報告内容の正当性を確保するため?
注目したいのは次の2つです。
あくまでもSBI-SLで不正があった場合の話ですが。
不正の当事者が事故の概要や原因を報告しても、それを受ける行政側としては「本当なの?」ってなりますよね?
なので、行政への報告内容の正当性を確保するために、外部の第三者委員会に調査させるのではないでしょうか?
報告に外部のお墨付きを得たい!
損失は補填されると推測
もしそうであれば、SBI-SLは損失補填を行うために第三者委員会を設置した。
つまり、SBI-SLは損失を補填するつもりであると僕は推測します。
あくまでも推測です!
でも、ホッと一安心!
う~ん、安心して良いのかなぁ…
今後の焦点は行政処分が出るか
過去3年のソシャレンを見てきた僕としては、金融庁の行政処分が出る可能性を考えざるを得ない気がします。
報告先は財務局
さきほどの確認を受けるための報告を提出する先は財務局(=金融庁)です。
法第三十九条第三項ただし書の確認を受けようとする者は、同条第七項の規定による申請書及びその添付書類の正本一通並びにこれらの写し一通を、当該確認に係る事故の発生した本店その他の営業所又は事務所の所在地を管轄する財務局長に提出しなければならない。(内閣府令第120条)
SBI-SLの場合は本店が東京ですので関東財務局に提出です。
で問題は、報告の提出を受けた関東財務局です。
「ソシャレン業務で不正がありましたっ!」って報告を受けて、何もしないってわけにはいかんでしょ?
報告お疲れさまでしたっ!
で、終われるわけねーだろ!
新規募集が停止される可能性
やはり、金融庁として調査を行うことになるのではないでしょうか?
そして、その結果いかんでは一定期間の業務停止命令が出る可能性があります。
業務停止の内容ですが、過去のクラウドバンクなどの事例ではメインは次の2つでした。
-
新規会員募集の停止
- 新規案件募集の停止
新しい案件の募集ができなくなるということです。
そうなるとどうなるの?
リファイナンス前提の借り手に影響が出る
新規案件の募集ができなくなった場合、影響が出るのがリファイナンスを前提としている借り手です。
- 借りているお金を返す
- 同じタイミングで新規案件を募集して資金調達
こうやって資金を回そうとしていた。
それが新規案件で資金調達できなくなると資金ショートを起こします。
これでデフォルト乱発となったのがmaneoマーケットに対する行政処分でした。
グリフラにクラリ…
被害が広がる可能性
SBI-SLでリファイナンス前提の借り手がいるのかは分かりません。
ですが仮にいるならば、新規募集が停止になると困ったことになるでしょう。
いま投資家の間では、問題の案件は宮古島?熱海?などと推測がなされています。
でも、リファ前提の借り手がいて新規募集停止となると、今回の問題案件以外の案件にも影響が拡大する可能性があるわけです。
これを僕は最も恐れています。
まさか金融庁は繰り返さないよね?
そこで先に言っておきたいのですが。
金融庁さん、まさか同じことは繰り返さないですよね?
maneoファミリーの業者に問題があったことは事実でしょう。
しかし、リファイナンス案件をすべて止めたがために、無事に終われるはずだった案件までデフォルトした。
その結果、多くの投資家が期失をくらい、今でも苦しんでいる投資家が山のようにいます。
まさかとは思いますが、同じ愚は繰り返さないですよね?
僕みたいな弱小ブロガーが何を言ったところで、無謬性を誇る金融庁様に影響ゼロなのは分かっていますが。
無力は承知の上で釘を100本くらい刺しておく次第です。
ムダは承知の上で書くだけ書いておきます!
SBI-SLは早急に発表を
なお、以上はあくまでも僕の勝手な推測によるものです。
なおかつ、根がネガティブなので最悪の最悪のパターンを想定しています。
行政処分が必ず出る!とか言っているわけではないので、そこのところはご了解を。
それと、漠然とした発表を金曜の夕方に出して終わりって、SBI-SLの対応はいかがなものでしょうか?
SBI-SLの投資家がどんな気持ちで週末を過ごすかとか考えないのですかね?
もちろん事情はあるのでしょうが、もう少し具体的なことを早急に発表することを期待します。
以上です!
コメント
行政が事故と認めた事案は過去にあるのでしょうか?
さぁ、どうなんでしょうね?
僕は知らないです。
法律が存在を前提としているのだからあるような気がするけど。
金融庁に問い合わせてみられては?
電話で問い合わせできますよ。