不動産クラウドファンディングで新たな動きが。
TSON FUNDINGの案件の募集が不動産BANKで行われます。
TSONの案件が不動産BANKで販売されるということです。
なにゆえ?
クラファン業者の案件が別のクラファン業者で募集される珍しいケース。
自社でも募集できるのに、なぜわざわざ他社で募集を行うのでしょうか?
TSON FUNDINGの狙いを探ります。
おそらく初のケースです!
2月も新業者が登場しています!
タップできる目次
不動産BANKが募集するTSON案件
まず、不動産BANKが募集するTSON FUNDINGの案件を紹介します。
不動産BANKとは?
不動産BANKはファミリーコーポレーションが運営する不動産クラウドファンディングです。
投資対象が中古1棟アパートであることを特長としています。
これまでに約4億円の募集を行っており、すべての案件で利回りは6%です。
利回りが高めだね。
不動産BANK杉並案件
その不動産BANKで今回始めて募集されるTSON FUNDINGの案件が杉並案件です。
杉並案件の概要
- 案件名:杉並区新築1棟アパート
- 利回り:6%
- 運用期間:9カ月
- 募集額:4,770万円
- 劣後比率:10%
- 募集方式:先着
- 募集開始:2024年3月15日
劣後出資比率は10%ですが、匿名組合出資とは別に⾦融機関からの融資が入っています。
このため、値下げ余地は3.8%です。
不動産BANKの標準に合わせて利回りは6%となっています。
TSON FUNDINGとしては高めの利回り
杉並案件はキャンペーン対象で、投資額の1%分のアマゾンギフト券が付与されます。
運用期間が9カ月なので、年利に直すと1.3%アップです。
- 1%÷9カ月×12カ月=1.3%
ってことは実質7.3%!
今年に入ってからTSON FUNDINGの利回りは5.0~5.5%が中心です。
それが今回は7.3%ですので、TSON FUNDINGとしては高めの利回りと言えるでしょう。
満了の可能性あり
これまでの実績から見て不動産BANKの集金力は最大で7千万円弱です。
杉並案件の募集額は4,770万円ですので、満了の可能性は十分にあると思います。
クリック合戦になる?
それはないかと。
杉並案件は委託商品
杉並案件は委託商品
杉並案件はいわゆる委託商品です。
TSON FUNDINGが運用する案件を不動産BANKが募集します。
- TSON FUNDING:案件の運用
- 不動産BANK:案件の募集
TSONが自社の案件を不動産BANKに売ってもらう。
要は販売代行だと考えてください。
売るのだけやってもらうわけだ。
クラファン業者同士では初か?
委託商品はこれまでに72CROWD.や大家どっとこむで募集されています。
しかし、募集したのはいずれも自社ではクラファンをやっていない不動産業者が運用する案件です。
クラファン業者が自社の案件を他のクラファン業者で募集してもらうのは初のケースではないでしょうか。
たとえて言うならば、マクドナルドがモスバーガーにチーズてりたまを売ってもらうようなもので、かなり異例でしょう。
おそらく業界初かと!
TSON FUNDINGの狙いは?
気になるのがTSON FUNDINGの狙いです。
なぜ、不動産BANKで募集をしてもらうのでしょうか?
TSONの集金力は落ちていない
まず思いつくのがTSON FUNDINGの集金力の低下です。
自社で集まらなくなってきたから、他社を利用するのか?
TSONの集金力に大きな変化なし
しかし、それは事実に反します。
TSON FUNDINGの2023年の募集額は月平均3億円台前半で、いずれも満了させています。
また、直近では昨年11月と今年1月に4.5億円を集めており、集金力低下を明確に示すデータはないです。
実は自社で埋めているとか?
自社埋めも明確な根拠なし
自社で埋めている可能性
応募が集まらなかったので、不足分を自社で応募する。
自社で埋めた可能性は否定できないでしょう。
確かに、募集期間の最後でバタバタと埋まるなど、不自然な動きはあります。
また、応募率(応募額÷募集額)も月平均で見ると1.2~1.3倍前後で安定しており、作為的なものを感じなくもないです。
やっぱり自社埋め?
明確な根拠はない
ただ、平均ではなく個別の案件単位で見ると、応募率は1~2倍までかなりバラツキがあります。
明確な根拠がない以上、自社埋めと断定することはできません。
他の狙い、目的を探るべきでしょう。
自転車操業も根拠なし
もう一つ考えられるのは、募集で集めた資金で償還する自転車操業です。
8月から償還額が増える
TSON FUNDINGの2023年の月間償還額はおおむね2~3億円でした。
これが今年8月から5億円に増加します。
時期 | 予定償還額 |
---|---|
2024年8月 | 5億5,180万円 |
2024年9月 | 4億9,470万円 |
2024年10月 | 5億4,450万円 |
償還がこれまでより大きく増えるので、自社で集められない分を他社で集めるという考えです。
ありえるかも!
自社で集金可能
ただ、これも根拠に欠けます。
というのも、TSON FUNDINGは2022年の夏に月間5~6億円を集めているからです。
時期 | 募集額 |
---|---|
2022年6月 | 4億9,170万円 |
2022年7月 | 4億8,297万円 |
2022年8月 | 6億2,345万円 |
仮に自転車操業だとしても自社で集めることは可能であり、不動産BANKに募集してもらう必要性がありません。
自力で自転車こげるよと。
そもそも自転車操業の裏付けがない
それ以前の問題として、そもそも自転車操業の裏付けがないです。
仮に自転車であるならば、月々の募集額と償還額が近似するはずです。
しかし、2023年の月間募集額と償還額の間に有意な相関は認められません。
時期 | 募集額 | 償還額 |
---|---|---|
1月 | 2億7,820万円 | 2億2,720万円 |
2月 | 3億1,950万円 | 2億3,445万円 |
3月 | 2億5,650万円 | 1億9,497万円 |
4月 | 3億8,630万円 | 2億6,055万円 |
5月 | 2億6,870万円 | 7,000万円 |
6月 | 2億9,790万円 | 7,560万円 |
7月 | 3億7,260万円 | 1億1,900万円 |
8月 | 2億5,290万円 | 1億5,490万円 |
9月 | 3億3,480万円 | 3億5,410万円 |
10月 | 3億6,270万円 | 4億5,430万円 |
11月 | 4億5,270万円 | 2億3,310万円 |
12月 | 2億3,040万円 | 2億5,317万円 |
確かに全然バラバラだ。
そもそも自転車であるならば、過去最高の償還額7億円となった今年2月で詰んでいるでしょう。
自転車操業説は根拠のない勘ぐりに過ぎないと思います。
資金調達ルート多角化の試みか?
CAPIMAに続く2例目
他に可能性があるとすれば、資金調達ルート多角化の試みでしょうか。
TSONは2023年9月にソーシャルレンディングのCAPIMAで資金調達をしています。
銀行、TSON FUNDINGの他にも資金調達ルートを確保したい。
そのために、様々な業者を試していて、不動産BANKがその2例目という可能性はあるでしょう。
コストアップでメリットはあるのか?
ただ、今回の利回りは実質7.3%で、TSON FUNDINGの現在の利回りより1.5~2.0%割高です。
これに不動産BANKの手数料も含めるとそれなりのコストアップになるでしょう。
そこまでして他社で資金調達するメリットがあるのかなと。
となるとTSONの狙いは?
う~ん、なぜ不動産BANKで募集するのか、狙いがよく分からないです。
謎です…
不動作BANKの狙いは?
もう一つ気になるのは不動産BANKの狙いです。
なぜ、TSON FUNDINGの案件を募集するのでしょうか?
案件供給と手数料が狙いか?
案件供給に苦戦
考えられるのは案件供給の安定化です。
不動産BANKの2023年の募集は7件だけで、昨年9月の募集のあとは12月と今年1月だけです。
募集時期 | 案件名 | 募集額 |
---|---|---|
2023年1月 | 鎌ケ谷 | 3,600万円 |
2023年2月 | 船橋 | 2,500万円 |
2023年4月 | 平塚 | 3,600万円 |
2023年6月 | 横浜 | 6,700万円 |
2023年9月 | 船橋 | 3,900万円 |
2023年9月 | 松戸 | 8,300万円 |
2023年12月 | 川崎 | 2,500万円 |
2024年1月 | 座間 | 2,750万円 |
案件供給に苦戦しており、TSON FUNDINGの案件を募集することで案件供給の安定化を図れます。
TSONはコンスタントに案件が出るから。
あとは募集代行による手数料収入でしょうか。
他に狙いが思いつかない
他の可能性ですが、不動産BANKはマンション販売の営業ツール型ではないので、名簿目当ての可能性は極めて低いです。
個人情報を入手する場合は必ず表示しますし。
また、CAPIMAのときもそうでしたが、TSONは他社での募集を自社サイトでは紹介しません。
ですので、不動産BANKの会員増にもつながらないはずです。
狙いが思いつかないか…
不動産BANKはなぜ受けたのか?
気になるのは不動産BANKがなぜ今回の件を受けたかです。
TSONは他の業者にも声をかけたと思います。
上述の大家どっとこむのほか、Funvestやバンカーズも可能性ありそうですよね?
それが不動産BANKになったということは、他社は断ったのではないか?
ならば、なぜ不動産BANKは受けたのか?
不動産BANKの狙いがどこにあるのか、どうにもこうにもよく分からないです。
ギブアップです!
投資家はどう対応すべきか?
さて、今回の案件について我々投資家はどう対応すべきでしょうか?
不動産BANKは販売代行のみ
代わりに売るだけ
まず押さえておきたいのは、不動産BANKは代わりに売るだけであることです。
匿名組合契約を締結する相手も不動産BANKではなくTSONです。
案件の運用を行うのはTSONであり、仮に元本毀損しても不動産BANKが責任を取るわけではありません。
もちろん、不動産BANKの信頼性と案件の信頼性も無関係です。
あくまでも販売代行をするだけであることを念頭に置きましょう。
実質的にTSONで投資するのと同じ
販売代行ということは、売っている店が違うだけで商品は同じ。
つまり、TSON FUNDINGで投資するのとまったく同じです。
なので、普段はTSON FUNDINGで投資しないのに今回の案件には投資するならば、そこに合理性があるのか検討の余地があります。
TSONで会員登録してないからは?
理由になるっちゃなるかな…
CAPIMA案件より条件は劣る
それと、昨年9月にCAPIMAで募集された際は、TSON FUNDINGの案件への投資ではなくTSONへの融資でした。
そして、抵当権第二順位ではありましたがLTV80%で担保がついています。
対して今回の杉並案件は物件を新築するキャピタルゲイン型の案件ですので、物件が売却できなければ元本毀損です。
いざとなれば担保で元本を回収できたCAPIMAより条件は劣ると考えます。
TSON投資家は案件の内容で判断を
TSON投資家が投資するのは自然
一方、普段からTSON FUNDINGを使っている投資家が杉並案件に投資するのは自然な動きです。
同じ商品をセブンで買うかファミマで買うかの違いですから。
案件内容で判断を
なお、今回は実質利回りが7.3%と、ここしばらくのTSON FUNDINGの案件に比べて好条件です。
とは言え、元本毀損したら大損ですからね。
投資はあくまでも案件の内容次第。
利回りに踊らされることなく、案件の内容で投資の是非を判断しましょう。
以上、TSON FUNDINGと不動産BANKの初のコラボ案件についてでした。
- 案件名:杉並区新築1棟アパート
- 利回り:6%(実質7.3%)
- 運用期間:9カ月
- 募集額:4,770万円
- 劣後比率:10%
- 募集方式:先着
- 募集開始:2024年3月15日
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