らくたまの翌日償還でクローズアップされることになった、不動産クラウドファンディング、ソーシャルレンディングのムダな拘束期間。
これによる実質利回りの低下にも注目が集まりつつあります。

5%のつもりが実際は4%みたいな。
実質利回りが変わる要因はムダな拘束期間だけではありません。
今回は注意が必要な隠れた実質利回りについて解説します。

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実質利回りとは?
まず最初に、実質利回りとは何かを説明します。
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プチ解説 利回りとは?
拘束期間全体で見た利回り
仮に次のような案件に100万円を投資したとすると、受け取る分配金は2万円です。
- 利回り:4%
- 運用期間:6カ月
- 投資額:100万円
- → 分配金:100万円×4%÷12カ月×6カ月=2万円
プチ解説 案件とは?
プチ解説 分配金とは?
プチ解説 運用期間とは?
仮に前後に3カ月ずつ、分配金が付かないムダな拘束期間があるとします。
- 入金~運用開始:3カ月
- 運用期間:6カ月
- 運用終了~償還:3カ月
プチ解説 償還とは?
この場合、トータルの拘束期間は12カ月です。
100万円、12カ月で分配金2万円ですから、実質的な利回りは2%ですよね?
- 2万円÷100万円=2%
拘束期間全体で見た利回りが実質利回りです。
なお、業者の案件募集で示される利回りを、この記事では表面利回りと呼びます。
上の例ではこうです。
- 表面利回り:4%
- 実質利回り:2%

名目と実際みたいな感じ。
実質利回りの出し方
基本的な出し方
実質利回りの出し方は以下の通りです。
- 分配金÷元本÷拘束期間×12カ月
プチ解説 元本とは?
例を挙げます。
- 分配金:3万円
- 元本:100万円
- 拘束期間:6カ月
- → 実質利回り:3万円÷100万円÷6カ月×12カ月=6%
簡単な出し方
上の出し方では分配金がいくらか計算する必要があります。
業者が案件を出した時に、いちいち分配金を計算して実質利回りを出すのは面倒ですよね?
分配金を計算しなくても良い簡単な出し方はこちらです。
- 表面利回り×運用期間÷拘束期間
例えば次のような案件の場合、実質利回りは4%になります。
- 表面利回り:5%
- 運用期間:12カ月
- 拘束期間:15カ月
- 入金~運用開始:1カ月
- 運用期間:12カ月
- 運用終了~償還:2カ月
- → 実質利回り:5%×12カ月÷15カ月=4%

実際は1%ダウン。
隠れた実質利回りの実例
さて、ここからが本題です。
表面と実質で利回りが変わるのは、ムダな拘束期間だけではありません。
案件詳細をよく読まないと気付かない隠れた実質利回りもあるのです。
実際に募集された案件から2つ紹介します。
CREAL銀座案件
案件の概要
- 利回り:10%
- 運用期間:6カ月
- うしろの拘束期間:1カ月
銀座の土地を転売する案件です。
うしろの拘束期間を踏まえても実質利回りは8.6%。
- 10%×6カ月÷7カ月=8.6%
実質でもCREAL史上最高の利回りでした。

CREALで8%は熱い!
運用期間短縮の可能性
ところが、案件詳細をよく読むと次のように書かれています。
(前略)売却先候補の1社より購入意向表明書の提出を受けております。なお、2025年2月28日に売買契約の締結及び2025年3月31日に売却を予定しております(後略)
この案件の運用開始は3月4日。
仮に3月31日の売却で運用が終了すると、運用期間は1カ月足らずになってしまうのです。

なんと!
なお、買い手の事情などで売却が予定通り進まない可能性もあります。
ですので、CREALが余裕を見て運用期間を6カ月にするのは不当ではありません。

妥当です!
実質利回り大幅ダウン
仮に運用期間が1カ月になった場合、実質利回りは何%になるでしょうか?
120万円投資した場合で見てみましょう。(いくらでも同じ結果になります)
- 表面利回り:10%
- 運用期間:1カ月
- 拘束期間:2カ月
- 運用期間:1カ月
- うしろの拘束期間:1カ月
- 投資額:120万円
- → 分配金:120万円×10%÷12カ月×1カ月=1万円
- → 実質利回り:1万円÷120万円÷2カ月×12カ月=5%

5%!
実は高利回りではなかった
早期売却で運用期間が1カ月になった場合、実質利回りは5%。
史上最高10%との声もありましたが、実は最近のCREALでは平均的な利回りだったのです。
もしかしたら、実質利回り5%を確保するためにCREALが表面利回りを10%にしたのかもしれませんね。
大家どっとこむ久が原案件2次
案件の概要
- 利回り:5%
- 運用期間:7カ月
- うしろの拘束期間:0.5カ月
分譲マンションを新築し売却します。
うしろの拘束期間を踏まえた実質利回りは4.7%です。
- 5%×7カ月÷7.5カ月=4.7%

うしろが短いとダウンも小幅だね。
分配金は10カ月分
この案件はかなり特殊です。
もともと久が原案件は昨年11月に募集されました。
ところが募集額3億8千万円に対して、応募は1億5千万円だけ。
しょうがないので、残った2億3千万円は大家どっとこむが出資しました。
その後、マンションが完成し販売を開始。
1月下旬に全室が完売し案件を無事に終了できる目処が立ったため、大家の2億3千万円分を2次募集として放出することにしました。
2次に応募する投資家が1次の大家分を買い取る形です。

なるほど。
ここでポイントは、2次の投資家は1次の分配金を受け取る権利も得られることです。
久が原案件1次の運用期間は10カ月。
2次の運用期間は7カ月ですが、受け取る分配金は10カ月分です。

ラッキー♪
実質利回りアップ
さて、実質利回りはどうなるでしょうか?
仮に100万円を投資した場合、受け取る分配金は5%の10カ月分で41,667円です。
- 100万円×5%÷12カ月×10カ月=41,667円
2次の運用期間は7カ月、うしろの拘束期間は0.5カ月なので、実質利回りは6.7%になります。
- 分配金:41,667円
- 運用期間:7カ月
- 拘束期間:7.5カ月
- 運用期間:7カ月
- 運用終了~償還:0.5カ月
- 投資額:100万円
- → 実質利回り:41,667円÷100万円÷7.5カ月×12カ月=6.7%
2次の募集で表示されていた利回りは5%。
でも、実質利回りは6.7%だったのです。

これは気付かないよ。
実は美味しい案件だった
ちなみに、拘束期間を無視した表面利回りは7.1%です。
- 41,667円÷100万円÷7カ月×12カ月=7.1%
表面利回りで見ても5%ではなく7.1%だった。
しかも、全室完売済みで元本償還はほぼ確実。
実は美味しい案件だったのです。
案件をしっかり見よう
今回紹介した2つの事例は、案件募集の利回りだけを見ていたら気付かない隠れた実質利回りです。
隠れた実質利回りを見逃さないよう、案件の中身をしっかり見ましょう。

要チェックです!
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