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【案件分析】OwnersBook/渋谷区マンション第2号ファンド第6回

地道にコツコツ案件分析で投資の予行演習中です。

前回に続いてOwnersBookの住宅案件です。

今回は渋谷区のマンションです!

この記事の著者
投資家・ブロガー
タロウ

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファディング専門の投資家です。
2018年にソシャレン・クラファン投資を始め、これまで400件を超える案件に2億円以上を投資し損失ゼロ。
安全性を最重視した投資情報を発信しています。

概要

渋谷区笹塚にマンション1棟を所有する「総合不動産会社B」に対する、このマンションを担保とした貸付です。

  • 業者名:OwnersBook
  • 案件名:渋谷区マンション第2号ファンド第6回
項目 状況
募集総額 8,000万円
期間 25ヶ月
利回り 4.5%
予定収益/10万円 8,908円
利益の配当 四半期ごと
元本の償還 満期後一括
早期償還 可能性あり
募集開始日 2018年4月?日
投資実行日 2018年5月8日
運用終了日 2020年5月20日

返済が2年後で利回り4.5%ですか。う~ん。

なんか最近、OwnersBookの案件の条件が悪くなってる気が?maneoの不動産系をメインにしようかな…

安全性

担保

担保の有無

抵当権順位第2位の不動産担保があります。第1位は銀行融資です。

保証会社の保証、会社代表者の個人保証はありません。

項目 状況
保証会社の保証 なし
不動産担保
個人による保証 なし
抵当権の順位 第2位

財務構造

担保と貸付の構造は以下の通りです。

項目 状況
担保物件の評価額 9億2,300万円
シニアローン額(LTV) 3億6,000万円(39.0%)
根抵当権の極度額(LTV) 3億7,800万円(41.0%)
最大LTV 80.0%
貸付済み額(LTV) 2億6,000万円(28.2%)
今回の貸付額(LTV) 8,000万円(8.7%)
今回貸付時点でのLTV 75.8%

OwnersBookによる担保物件の評価額は9億2,300万円で、抵当順位第1位で銀行が3億6,000万円(担保比率39.0%)の貸付を行っています。

これに対してOwnersBookは抵当順位第2位で極度額3億7,800万円(41.0%)の根抵当権を設定しています。

この内、2億6,000万円(28.2%)をすでに貸付済みです。

そして今回の案件では8,000万円(8.7%)を貸付け、OwnersBookの貸付総額は3億4,000万円(36.8%)、銀行分と合わせたLTVは75.8%となります。

なお、極度額まで3,800万円残っていますが、第7回を作って全額貸し付けるような気がします。ですので最終的にはLTV80%まで行くと予想します。

担保内容

概要

OwnersBookサイトによると担保物件の概要は以下の通りです。

項目 状況
種別 マンション
階数 地上:7階、地下:なし
構造 不明
築年月 2015年1月
所在地 東京都渋谷区笹塚
最寄り駅 京王線笹塚駅
所在地

OwnersBookサイトの地図では渋谷区笹塚全域が対象エリアとなっています。

最寄り駅は明示されていませんが、恐らく京王線笹塚駅、エリア内の場所によっては、前後にある幡ヶ谷駅、代田橋駅も対象となるかもしれません。

部屋

地上7階建ての内、1~6階に1DKと1LDKの賃貸用住居があります。

7階には3LDK1戸があり、今回の貸付先である「総合不動産会社B」の代表者が居住しています。

稼働率

2018年4月1日時点で稼働率は100%とのことです。

賃料

現在の1~6階の共益費込の月坪賃料は平均14,780円とのことです。

外部機関の査定による1~7階の共益費込の月坪賃料は平均15,250円とのことです。

担保の妥当性

物件の特定

賃貸住宅サイトで探しましたが、入居率が100%のためか該当すると思われる物件は見当たりませんでした。

評価額

OwnersBookによる当該担保物件の評価額9億2,300万円は妥当なのか?

調べようと思ったのですが、当該物件の詳細が分からないので調べようがないと言いますか。

とりあえず近隣の物件を探してみました。

最寄り駅 築年月 土地面積 構造 階数 戸数 価格
笹塚 2018年4月 36平米 RC 5階 8戸 1億6,300万円
笹塚 2018年5月 264平米 S 3階 11戸 3億3,500万円
幡ヶ谷 1992年2月 248平米 RC 3階 6戸 2億5,000万円

分かんないなぁ…

最上階が3LDKとのことですので、1フロアに1DKか1LDKを無理して3戸入れると、1~6階で18戸+最上階に3LDK1戸です。

OwnersBookの評価額9億2,300万円が正しいとすれば、1DK(or1LDK)が4,500万円、3LDKが1億円くらいで売れないと計算が合いません。

面積が分からないので調べようがないのですが、どうなのでしょうか?

賃料

渋谷区笹塚に所在する似た条件の物件を探そうとしたのですが、なにせ情報が少なすぎるものでして。

笹塚内で当該担保物件と同じ築3年前後、7階建て前後の、1DK、1LDKの物件の月坪賃料をピックアップしてみました。(共益費込)

月額賃料 専有面積 月坪賃料
14.4万円 40平米 11,880円
17.2万円 44平米 12,900円
15.2万円 39平米 12,860円
13.4万円 34平米 13,000円

当該担保物件の現在の賃料は、共益費込で月坪14,700円、外部専門家の査定は月坪15,250円です。

ちょっと高めに感じます。

公示地価の推移

当該担保物件が所在するとされる渋谷区笹塚の過去4年間の公示地価(1平米あたり)の推移は下記の通りです。

住所 2014年 2015年 2016年 2017年
笹塚1丁目 580千円 593千円 611千円 630千円
笹塚2丁目 860千円 886千円 925千円 960千円

4年間で地価が10%前後上昇しています。担保の価値が急に下がることは考えにくいです。

担保の妥当性の判断

まず、当該担保物件のOwnersBook評価額9億2,300万円ですが、妥当なのか分かりません。

築3年の1DKが4,500万円で売れるのか疑問なのですが、面積も駅からの距離も分からないので、高いのか安いのか分かりませんよね。

賃料は若干高めに感じます。しかし、現時点で満室ですので、入居率に影響するほどの乖離ではないのでしょう。

新宿から京王線で5分の場所ですし、地価が上がっていることからも人気のエリアです。

単身者向けの1DK、1LDKが中心であることからも、物件としての流動性は高いと見込まれます。

以上より、OwnersBookの担保評価額が間違っていないという前提でですが、担保としての妥当性は認められると判断します。

銀行融資の有無

上述の通りシニアローンとして銀行が貸付を行っています

回数 募集時期 貸付額 LTV
第1回 2017年11月 3億6,000万円 39%
第2回 2017年11月 3億6,000万円 39%
第3回 2017年12月 3億6,000万円 39%
第4回 2017年12月 3億6,000万円 39%
第5回 2018年1月 3億6,000万円 39%
今回 2018年4月 3億6,000万円 39%

今回のファンドは第6回目ですが、銀行が第1回から同じ額を貸し付け続けています。(銀行が6回貸したのではなく、最初に貸した分の返済時期が来てないだけだと思います。)

LTV39%まで貸し付けていますので、担保に対する銀行の信用度は高いと判断します。

貸付の妥当性

貸付先企業

貸付先企業である「総合不動産会社B」は東京都渋谷区に所在するとのことです。

事業内容と経営状況

「総合不動産会社B」の事業内容は、主に以下の4つとのことです。

  • 不動産開発事業
  • 不動産投資事業
  • 不動産コンサルティング事業
  • その他投資事業

経営状況については、過去3期に渡り最終黒字でした。

ただし、直近2期は経常赤字で、保有する不動産の売却益で最終黒字としています。

今回の貸付の収益性

今回貸し付ける8,000万円の使途は、不動産投資事業のための事業資金とのことです。

貸付の妥当性の判断

事業内容の詳細や貸付金の詳しい使途が分からないため判断できません。

直近2期の経常赤字が気になるのですが、それを分かった上で銀行が3億6千万円も貸し付けているので、大丈夫なのかな?

安全性の評価

以上より本件の安全性について、

  • 融資先企業が直近2期が経常赤字で不安がある
  • 担保物件の評価額が妥当であるか判断できない
  • 恐らく最終的にLTV80%になる
  • しかし
  • 銀行がLTV39%まで貸し付けている
  • 稼働率、立地から物件の流動性は高い

ことから、本件に対する投資の安全性は高いとまでは言えないが低くはないと判断します。

奥歯に物が挟まったようなはっきりしない言い方で、自分でもイヤになりますね。

案件の信頼性

リピートの有無

今回の貸付は第6回目です。過去の実績があります。

過去の実績

本案件の過去の貸付及び運用実績は以下の通りです。

回数 募集時期 募集金額 応募率 運用状況 予定
利回り
確定
利回り
予定
運用期間
確定
運用期間
第1回 2017年11月 1億円 100% 運用中 4.5% 25ヶ月
第2回 2017年11月 4,000万円 100% 運用中 4.5% 25ヶ月
第3回 2017年12月 2,500万円 100% 運用中 4.5% 25ヶ月
第4回 2017年12月 2,500万円 100% 運用中 4.5% 25ヶ月
第5回 2018年1月 7,000万円 100% 運用中 4.5% 23ヶ月
今回 2018年4月 8,000万円 100% 4.5% 25ヶ月

今までの5回で合計2億6千万円を貸し付けています。利回りは4.5%で運用期間は第5回を除いて25ヶ月です。

第1回から半年も経っていませんので、実績から案件の信頼性を判断するのは難しいです。

僕の判断

以上を踏まえて僕の判断です。

投資の是非

担保物件の評価額が妥当なのか判断できない。これに尽きます。不安感をゼロにできません。

銀行が4割近く貸し付けているし、過去5回はすべて募集が満額に達しています。信頼性もきっと高いのでしょう。

ただ、不安を持った状態で利回り4.5%の25ヶ月案件にあえて投資する必要があるのか?

OwnersBookの自己申告を信頼できる人には、本案件は投資するに値すると判断します。

投資金額

僕はソーシャルレンディングはOwnersBookを一押しで信頼していますが、なにせ小心者なので同社の自己申告をそのまま鵜呑みにはできません。

したがって、この案件には投資しません。

投資は自己責任。自分で完全に納得できない案件には投資しない

僕は基本的にこのスタンスを守ります。

++++++++++++

OwnersBookで投資するメリットとデメリットは以下の記事を参考にしてください。

投資初心者にOwnersBookをオススメする11の理由と4つのデメリット
オーナーズブックは投資初心者に最適のソーシャルレンディング業者の一つです。オススメする11の理由と4つのデメリットを紹介します。上場企業の不動産のプロ集団が運営するOwnersBook。強さの秘密は担保です。しかしそれが同時に弱点を生み出しています。

コメント

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途中解約

ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングでは投資を行う期間、言い換えると、業者にお金を渡して戻ってくるまでの期間が事前に決まっています。

その期間の途中で契約を破棄し、お金を返してもらうのが途中解約です。

ソシャレン、クラファンともにほとんどの業者で途中解約は認められていません。

途中解約ができるのは大家どっとこむなどごく一部です。

基本的に運用期間が終わるまでお金は戻ってこないと考えてください。

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デビュー案件

業者が運営を開始後、初めて募集する第1号案件のことを、このブログではデビュー案件と呼んでいます。

このブログが独自に使っている用語であり、一般用語ではありません。

デビュー案件は一般に安全性、利回りともに高いことが多いです。

また、運営開始直後で会員がまだ少ないため、競争率が低く投資しやすいです。

デビュー案件はおすすめだと僕は思っています。

軍用地案件

軍用地案件はソーシャルレンディングのPocket Fundingが扱っている案件です。

担保が投資用不動産として人気が高い軍用地であるため、元本をほぼ確実に回収できることから、安全性が非常に高い人気の案件です。

なぜ、軍用地案件で元本をほぼ確実に回収できるのかは、この狭いスペースでは説明できません。

3分で読めますので、こちらの記事を参照してください。

軍用地案件の安全性が高い理由

1棟アパート、1棟マンション

不動産クラウドファンディングで「1棟アパート、1棟マンション」という表現を使う場合、アパートやマンション丸々1棟が投資対象であることを表します。

逆に投資対象が部屋単位である場合は「区分マンション」という表現を使います。

(区分アパートというのは聞いたことがありません)

海外案件

ソーシャルレンディングでは投資家のお金を借りるのが海外の企業であったり、借り手が日本企業であっても資金使途が海外企業への出資であるなど、投資家のお金の最終的な行先が海外である案件を海外案件といいます。

不動産クラファンでは投資家のお金で取得するのが海外の不動産である案件を海外案件といいます。

一般に海外案件は利回りが高い一方、海外ゆえにリスクが高くなることが多いです。

投資においてリターンとリスクはワンセットであり、ハイリターン・ローリスクはありえません。

初心者は海外案件には手を出さないことを強くおすすめします。

分散投資

ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングで分散投資とは、利用する業者や投資する案件、案件のタイプなどを集中させず、複数に分ける投資手法のことです。

例えば、ソシャレンで1つの業者だけを使っている場合、その業者が倒産するとすべての資産を失うことになります。

また、不動産クラファンで東京の物件だけに投資していると、東京の地価の下落が全投資額に影響を及ぼしますよね?

分散投資をすることで大きな被害を防ぎ、万が一の場合でも被害を小さく済ませることができます。

事故

ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングで分配金の支払いや元本の償還が遅れたり、元本が戻ってこなくなるなどのトラブルを、このブログでは「事故」と表現しています。

業者

ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングの運営会社のことを、このブログでは「業者」と呼んでいます。

FundsやCREAL、バンカーズ、いずれも業者です。

Fundsのサイトの画像

「事業者」という表現を使っているメディアもあります。

満了

ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングで募集額満額の応募が集まることを、このブログでは「満了」と表現しています。

募集額1億2千万円の案件で、応募が1億2千万円集まった状態が満了です。

満了のイメージ画像

「完売」という表現を使っているメディアもあります。

担保順位

1つの担保に複数の貸し手がいる場合の、貸したお金を回収する優先順位のことです。

例えば、評価額1億円の土地を担保に3者が下のように融資したとします。

担保順位 貸し手 融資額
第一順位 悪徳銀行 6千万円
第二順位 腹黒信金 2千万円
第三順位 山田さん 1千万円

借り手が返済できなくなり担保を処分するも、8千万円でしか売れなかった。

この場合、まず悪徳銀行が6千万円を回収、次に腹黒信金が2千万円を回収します。

第三順位の山田さんは1円も回収できません。

ソシャレン業者の担保順位が低い場合は注意が必要です。

源泉徴収税

ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングでは、業者が20.42%の所得税を引いてから投資家に分配金を支払います。

この20.42%の所得税のことを源泉徴収税といいます。

引かれた源泉徴収税は業者が税務署に納めます。

壁芯面積

マンションの部屋の面積を測る際に、壁の中心線を基準に出した面積を壁芯面積といいます。

一方、我々が普通に使う壁の内側の線を基準に出した面積は内法面積です。

壁芯面積と内法面積の説明図

1口単位と最低口数

1口単位とは投資できる金額の単位です。

例えば1口=10万円の案件では、20万円、70万円と10万円単位で投資できます。

ですが、13万円や99万円では投資できません。

最低口数とは投資する際に最低限必要な口数です。

例えば以下の案件の場合、

  • 1口単位:1万円
  • 最低口数:2口

最低2万円から1万円単位で投資できます。

右田さん
右田さん

2万円の次は3万円だよ。

こんな感じに別ウィンドウが開き、ここで用語の解説などをします。

右下の「close」か別ウィンドウの外の部分をタップすると、別ウィンドウが閉まり記事に戻ります。

不成立

不成立とは案件の募集を行ったが、事情により案件を実行できなくなることです。

例えば、応募が最低成立金額に達しない場合、案件を実行できず不成立となります。

また、不動産クラファンで応募は順調に集まっていたものの、取得予定だった不動産に不備が見つかったため取得が中止になり、案件が不成立となることもありえます。

逆に成立は応募が集まり案件を実行できるようになることです。

最低成立金額

例えば、ソーシャルレンディングで「投資家から5千万円集めて企業に貸す」という案件があるとします。

この案件を募集して10万円しか集まらなかったら、ぜんぜん足りないので貸せませんよね?

でも、不足が数百万円ならば、その分は業者が自社で資金を出して合計5千万円とし、企業への融資を実行できるかもしれません。

そこで、業者が募集の際に「4千万円以上集まれば、満額集まらなくても不足分は自社で負担して融資を実行します」と約束します。

この場合の4千万円が最低成立金額です。

つまり、最低これだけ集まれば案件を実行しますよというラインのことです。

貸付金利

ソーシャルレンディングでは投資家から集めたお金を企業などに貸し、得られた利益を投資家に分配します。

例えば、企業に7%で貸し、ソシャレン業者が利益を2%取り、5%を投資家に分配します。

ソーシャルレンディングの貸付金利の説明図

企業に貸す際の金利(上図の7%)が貸付金利です。

上場企業系

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングで「上場企業系の業者」とは、業者自身やその親会社などが上場企業である業者を指します。

上場企業は信用力が高いことから、上場企業系の業者が運営するソシャレン、不動産クラファンは信頼性、安全性が高いと多くの投資家に認識されています。

ただし、「上場企業系=100%安全」とは限らないので注意が必要です。

運用と運用期間

不動産クラウドファンディングにおいて運用とは、投資家から集めた資金で取得した不動産を、賃貸したり売却したりすることで利益を生み出すことをいいます。

運用を行う期間は案件ごとにあらかじめ決められており、これを運用期間といいます。

マスターリース契約

不動産クラウドファンディングでは投資家の資金で不動産クラファン業者が物件を取得し、入居者から家賃を得ます。

しかし、入居者が見つからなければ家賃が入らず、投資家が分配金を得られなくなります。

そこで、不動産クラファン業者が不動産業者と次のような契約を結びます。

  1. 不動産クラファン業者が不動産業者に部屋を貸す
  2. 不動産業者が入居者に部屋を貸す
  3. 入居者が見つからなくても不動産業者は毎月の家賃を不動産クラファン業者に払う

マスターリース

これがマスターリース契約です。

マスターリース契約により投資家は入居者が見つからないリスクから隔離され、投資の安全性が向上します。

部分当選

ソーシャルレンディングと不動産クラウドファンディングの募集には、早い者勝ちの先着方式の他に、応募した人の中から投資できる人を抽選で決める抽選方式があります。

抽選方式では、50万円で応募して当選したら50万円投資できるのが基本です。

しかし、50万円の内、30万円分だけ当選する(=30万円だけ投資できる)こともあります。

これが部分当選です。

当選者の最後の1人が残額を割り当てられて部分当選になる場合の他、多くの人を当選にするために業者が全員を部分当選にする場合などがあります。

借り手企業

ソーシャルレンディングでは投資家から集めたお金を、ソシャレン業者が企業に貸します。

投資家のお金を借りるのが借り手企業です。

ソーシャルレンディングの仕組み

そして、借り手企業が支払う利息が、投資家が受け取る分配金となります。

一方で、借り手企業が倒産したり返済不能になると、投資家のお金が戻ってこないことも。

ソーシャルレンディングのリスク

ですので、ちゃんと返済できるのか?ソーシャルレンディングでは借り手企業の見極めが非常に重要です。

満室賃料

満室賃料とは、その物件が満室の場合に得られる想定賃料のことです。

全4室の1棟アパートで、各部屋の賃料が以下の場合、

  • 101号室:4.5万円
  • 102号室:4.5万円
  • 201号室:5.5万円
  • 202号室:5.5万円

満室賃料は月間20万円、年間240万円です。

空室リスク

空室リスクとは投資対象物件に入居者がつかず、空室で家賃収入を得られなくなるリスクです。

匿名組合型と任意組合型

不動産クラウドファンディングを含む不動産特定共同事業は、主に匿名組合型と任意組合型に分かれます。

主な違いは一般に下表の通りです。

匿名組合型 タイプ 任意組合型
匿名組合契約 契約 任意組合契約
なし 物件の所有権 あり
少なめ 最低出資額 多め
短め 運用期間 長め
有限責任 責任 無限責任
雑所得 所得区分 不動産所得

物件が倒壊して隣接する建物に被害が及んだ場合、任意組合型では出資額を超えて賠償責任が発生します。

匿名組合型の場合は責任範囲は出資額が上限であり、最悪でも全損で済みます。

任意組合型は所得区分が不動産所得で有利なため、相続など節税対策に使われることが多いです。

不動産クラファンではほとんどの案件が匿名組合型です。

不動産特定共同事業

不動産特定共同事業は次のような事業です。

  1. 複数の投資家から出資を受け
  2. 集まった資金で不動産を取得、運用し
  3. 得られた利益を投資家に分配する

多くの場合、1億円の1棟マンションを100口の持ち分に分割し、1口100万円で販売するといった、不動産小口化商品の形を取ります。

不動産特定共同事業のうち、募集などをインターネットを使って行うのが不動産クラウドファンディングです。

不動産小口化商品

不動産小口化商品は不動産を小口の持分に分割して販売する不動産投資商品です。

例えば、1億円の1棟マンションを1口100万円の持分100口に分割し、1口単位で販売します。

仮にこのマンションで1,000万円の利益が出た場合、1口投資した人は10万円、5口投資した人は50万円を得るイメージです。

不動産クラファンの場合、持分には利益の分配を受ける権利が含まれますが、物件の所有権は含まれません。

 

デポジット口座

デポジット口座とは業者内で投資家ごとに設置されるお財布のようなものです。

デポジット口座方式の業者では、投資家は事前に銀行から業者にお金を振り込み、そのお金は業者内のデポジット口座で保管されます。

デポジット口座

そして、デポジット口座のお金で案件に投資します。

また、分配金や償還された元本はデポジット口座で保管され、投資家が必要なときに出金申請し、自分の銀行口座に引き出します。

デポジット口座

 

売却リスク

不動産において、物件が予定通りの価格で売却できない、もしくは、売却そのものができない可能性を売却リスクといいます。

売却リスクが現実化すると、投資家には次のような不利益が生じる場合があります。

  • 分配金が予定額を下回る
  • 分配を受けられない
  • 元本の一部が戻ってこない
  • 元本のすべてが戻ってこない

流動性

不動産において、売買のしやすさや、現金化のしやすさを流動性といいます。

都心の一等地など需要が高く売りやすい物件は「流動性が高い」、逆に農村の空き家など需要が低く売りにくい物件は「流動性が低い」です。

譲渡

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングで自分の出資持分(利益の分配や元本の償還を受ける権利)を、第三者に譲り渡すことを譲渡といいます。

例えば、〇〇FUNDINGで10万円投資し、それを第三者(〇〇FUNDINGを含む)に10万円(もしくはそれ以外の金額)で買い取ってもらうイメージです。

入金と出金

投資するお金をソシャレン、クラファン業者の銀行口座に振り込むことを入金といいます。

運用が終わったお金が業者から投資家の銀行口座に振り込まれることを出金といいます。

元本

ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングで、投資家が出資(投資)したお金のことを元本といいます。

リフォームとリノベーション

リフォーム、リノベーションともに、住宅の改修や改築を指します。

両者の違いはリフォームは「元の状態に戻す」ことであり、例えば壁の張替えや外壁の塗替えはリフォームです。

対して、リノベーションはリフォームよりも大がかりな改修、改築を行うことで「住宅の機能や価値を高める」ことを指します。

例えば、床暖房の新設や、壁を撤去して広々としたLDKへの間取りの変更はリノベーションです。

リフォームが老朽化で800万円に下がった物件の価値を元の1,000万円に戻すのに対し、リノベーションでは機能を付加して1,200万円に高めるイメージです。

分配と分配金

ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングで、運用で得られた利益を投資家に支払うことを分配といいます。

また、支払われる利益を分配金と呼びます。

案件

ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングで、募集される1つ1つの投資商品のことを案件と呼びます。

この用語は次のように使われます。

  • 〇〇業者から新しい案件が出た
  • 今度の案件は利回りが高い
  • 先週は△△案件に10万円投資した
  • □□業者は先月は3案件募集があった
  • ◇◇案件に応募したが抽選で落選した

すいません、上手く説明できなくて。

区分マンション

マンションを部屋単位で購入し投資する場合、「区分マンションに投資する」といった表現をします。

対して、1棟単位で購入、投資する場合は「1棟マンションに投資する」といいます。

独立した部屋1つ1つが区分マンションであり、面積や間取りを問いません。

ワンルームでも4LDKでも区分マンションです。

大島てる

大島てるは全国の事故物件情報を掲載するウェブサイト、及び、そのサイトを運営する会社の名称です。

先着方式と抽選方式

ソーシャルレンディングと不動産クラウドファンディングの募集方式は2つあります。

一つは募集開始と同時によ~いどんで早い者勝ちで投資できる人が決まる先着方式です。

もう一つは募集期間中に応募した人の中から抽選で投資できる人を決める抽選方式です。

成立前書面

成立前書面(契約成立前書面、契約締結前交付書面)は、ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングで案件に応募する前に確認する書類です。

確認することで応募できるようになります。

成立前書面の確認画面

案件の詳細情報や契約内容などが書かれており、契約書に相当するものだと考えてください。

多くの業者で募集開始前から確認が可能です。

サイトに書かれていない情報も多いので、事前に必ず確認することを強くおすすめします。

モニタリング

ソーシャルレンディングにおいてモニタリングとは、借り手が融資契約を守れるか、ソシャレン業者が監視することをいいます。

業者によって異なりますが具体的な作業としては、定期的な借り手企業の訪問、経営者などへのヒアリング、財務書類のチェックなどがあります。

定期的にモニタリングを行うことで借り手の異常などを早期に察知し、貸し倒れを防ぐことができます。

このため、業者のモニタリングの実施とその精度は投資家にとって重要です。

あと入金と事前入金

投資するお金を業者に入金する方法は2つあります。

一つは先着や抽選の結果、投資できることが決まってから業者の口座に振り込むあと入金方式です。

もう一つは募集開始前に業者のデポジット口座への入金が必要な事前入金方式です。

デポジット口座

デポジット口座のお金は応募した案件への出資に充当されます。

ただし、抽選に落選などで投資できなくなると、入金したお金がデポジット口座で寝ることになります。

さらに、このお金を自分の口座に出金する際の振込手数料が投資家負担の業者もあります。

投資家にとってはあと入金の方が有利です。

 

早期償還

ソーシャルレンディングで借り手が予定より早く返済したり、不動産クラウドファンディングで物件が予定より早く売れることがあります。

そういった理由で案件の運用が予定より短い期間で終わり、業者が元本を予定より早く投資家に返すことを早期償還といいます。

例えば、運用期間12カ月の予定が6カ月で早期償還になると、受け取る分配金は基本的に半分になります。

ネガティブに捉えられがちですが、業者が確実に返済できる借り手、売れる物件を選んで案件を組成した証でもあります。

分配原資

分配原資とは分配金の出どころのことです。

例えば、入居者から得る家賃から投資家に分配金を払う場合、分配原資は家賃です。

家賃はインカムゲインですので、分配原資はインカムゲインとも表現できます。

組成

案件を作ることを組成といいます。

  • 投資対象は緑町ハイツ102号室で
  • 利回りは4.5%で
  • 運用期間1年
  • 募集総額2,300万円の案件を作る

こうやって案件が出来上がります。

組成 → 募集 → 運用開始 → 運用終了 → 償還

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングの案件はこのような流れで運営され、その最初の段階が案件の組成です。

元本毀損

元本毀損(元本割れ)とは投資したお金の一部、または、すべてが戻ってこなくなることです。

例えば、不動産クラウドファンディングで2,000万円で取得した物件が1,500万円でしか売れなかった場合、元本の一部が戻ってこないことがあります。

また、取得した物件が地震で倒壊し売れなくなった、ソーシャルレンディングで借り手企業が倒産したなどで、元本の全額が戻ってこないこともありえます。

クラファン案件の管理手数料

不動産クラファンで区分マンションなどが投資対象になる場合、物件の入居者募集や家賃徴収といった管理業務が行われます。

これらの業務は業者または外部の不動産業者が代行し、そこでは管理手数料が発生します。

案件の利回りはこういった手数料や経費も差し引いた上で計算されたものです。

ですので、投資家が管理手数料を別途支払う必要はありません。

優先出資と劣後出資

不動産クラファンでは一般に投資家と業者が共同で出資し、物件を取得します。

例えば、投資家が2,400万円、業者が600万円出資し、3,000万円の物件を取得するといった感じです。

出資者 出資額
投資家(優先出資) 2,400万円
業者(劣後出資) 600万円
出資総額 3,000万円

この時、投資家分の出資を優先出資業者分の出資を劣後出資といいます。

なぜ、そのような言い方をするのかなど、詳しくは下記記事を参照してください。

優先劣後出資方式と劣後出資比率

キャピタルゲイン型

不動産クラファンの案件は大きくキャピタルゲイン型とインカムゲイン型に分かれます。

投資対象物件を売却した際の売却益を分配原資(分配金の出どころ)とする案件がキャピタルゲイン型です。

一方のインカムゲイン型は運用期間中の家賃収益を分配原資とします。

なお、売却益と家賃収益の両方を分配原資とする併用型の案件もあります。

自社買取

不動産クラファンでは運用期間の最後に物件を不動産投資家など第三者に売却するのが一般的です。

しかし、何らかの事情で売却できなかった場合、自社で物件を買い取ることがあります。

売却できずに元本が戻ってこないところが、業者が買い取ることで元本が戻ってくることになるので、自社買取は投資家にとってメリットです。

インカムゲイン型の案件では、最初から自社買取の予定で案件を組成することもあります。

劣後出資比率

不動産クラファンでは一般に投資家と業者が共同で出資し、物件を取得します。

例えば、投資家が2,400万円、業者が600万円出資し、3,000万円のマンションを取得するといった感じです。

このとき、出資総額に対する業者分の出資額の比率を劣後出資比率といいます。

さきほどの例では20%です。

出資者 出資額 出資比率
投資家 2,400万円 80%
業者 600万円 20%
合計 3,000万円

そして、劣後出資比率が高いほど安全性が高まります。

右田さん
右田さん

数字が大きいほど安全だよ。

なぜ高いほど安全なのか?

詳しくは下記記事を参照してください。

優先劣後出資方式と劣後出資比率

償還

案件の運用が終わり、業者が元本を投資家に返すこと、業者から投資家に元本が戻ってくることを償還といいます。

クリック合戦

募集が先着方式の案件では、投資できる人が決まるのは早い者勝ちです。

このため、人気の案件では募集開始と同時に応募が殺到します。

この状態をクリック合戦といいます。

信託受益権

信託受益権とは信託財産から発生する利益を受け取る権利のことです。

詳しくは↓こちらの記事を参照してください。

信託受益権とは?(別タブで開く)

信託受益権とは?(今開いているタブで開く)

抵当権と根抵当権と極度額

抵当権とは借り手が返済できなくなった時に担保を売却し、その代金から他の債権者に優先して返済を受ける権利です。

抵当権は1つの借り入れに対して設定されるため、返済時点で消滅します。

これに対し根抵当権ではあらかじめ融資の上限額を設定し、その範囲内であれば何度でも融資と返済が可能です。

その都度、抵当権の設定登記を行う必要がないため、企業への融資などでよく利用されます。

極度額は根抵当権の融資上限額のことです。

債務履行

まず、「債務」とは他人に対し何らかの行動を行う義務のことです。

そして、債務を実際に行うことを債務履行といいます。

ソーシャルレンディングの場合、借り手(債務者)が利払いや元本の返済をすることや、連帯保証人が借り手に代わってそれらを行うことが債務履行にあたります。

逆に、借り手が経営悪化などに至り、利払いや元本返済をしない(できなくなる)ことが債務不履行です。

LTV

ソーシャルレンディングで使われる用語で、担保評価額に対する融資額の割合をいいます。

例えば、1億円の土地を担保に8千万円を融資する場合、LTVは80%です。

担保が評価額通りに売れるとは限らないため、LTVの数字が小さいほど安全性が高いとされます。

資金使途

ソーシャルレンディングで業者から借りたお金を借り手が何に使うかを資金使途といいます。

延滞

ソーシャルレンディングで借り手が期限内に返済できなくなることを延滞といいます。

また、ソシャレン、不動産クラファンで分配金の支払いや元本の償還が予定より遅れている状態を延滞と呼ぶことがあります。

業者や投資家によっては「遅延」という表現が使われることもありますが、意味は同じです。