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環境省、JCサービスに再生エネ補助金など4億3000万円を返還命令

グリーンインフラレンディングを巡る一件で新たな動きです。

太陽光発電に関する補助事業の実施に不適切な点があったとして、環境省がJCサービスに対して補助金等4億3千万円の返還を命じました

事件の詳細とマスコミ各社の報道をまとめます。

この記事の著者
投資家・ブロガー
タロウ

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファディング専門の投資家です。
2018年にソシャレン・クラファン投資を始め、これまで400件を超える案件に2億円以上を投資し損失ゼロ。
安全性を最重視した投資情報を発信しています。

これまでのまとめ

その前にグリフラの一件の登場人物を簡単にまとめておきます。今までに起きている問題は2つです。

資金の流用

まず、再エネ事業者のJCサービスは子会社のグリフラとmaneoの親会社のmaneoマーケットを通じて、投資家から資金を集めていました。

ところが、事前に投資家に説明していたのとは別の目的に、集めた資金を流用していました。

この件で、maneoマーケットが管理責任を問われ、今週末にも金融庁から行政処分が下る見込みです。

細野議員への貸付

もう一つは、同じくJCサービス子会社のJC証券が、昨年の衆院選期間中に細野豪志議員に5千万円の貸付を行っていた件です。

細野氏がこれを法律に基づいて適切に報告していなかった疑いが出ています。

また、細野氏に渡った5千万円がJCサービスから出たものであることが分かっています。

ただし、これが投資家から集めた資金であるか、つまり、上の図で赤矢印の資金と青矢印の資金が同一であるかは明らかになっていません

今回の事件の概要

さて、今回の事件です。話は5年前にさかのぼります。

モデル事業の事業者に選定

環境庁は2013年3月に再エネ関連のモデル事業の事業者に、JCサービスなど6社を選定しました。

”平成24年度再生可能エネルギー導入のための蓄電池制御等実証モデル事業の採択案件について”(環境省)

JCサービスが採用された事業の所在地は鹿児島県徳之島町で、太陽光発電システムに蓄電池を組み合わせます

太陽光発電は天気などにより発電量に波があります。

そこで、発電量が多い時に余分な電力を蓄電池に貯め、少ない時に蓄電池に貯めた分で補う。ザックリこういう仕組みです。

補助金を受けた

そして、JCサービスは本事業を実施するにあたって、環境省から補助金の交付を受けました。

その受け取った補助金は2億9,696万9千円でした。

はい、そうです。あなたが納めた税金から出ています。笑

環境省の発表

この事業について昨日(7月11日)環境省から発表がありました。

「再生可能エネルギー導入のための蓄電池制御等モデル事業」における補助金返還命令について(環境省)

内容をまとめます。

検査を実施

環境省はJCサービスが実施した事業について、下記の検査を行いました。

  • 7月4日:JCサービス東京事務所に立入検査
  • 7月5・6日:鹿児島県徳之島町の当該太陽光発電所で実地調査

検査の結果

立入検査、実地調査の結果、次の事実が判明しました。

  • JCサービスが取得した蓄電池は、設備完成後は一度も利用されていない。
  • JCサービスが取得した蓄電池の一部が屋外に放置されるなど、不適切に管理されている。
  • JCサービスは蓄電池の試運転を行ったとして、これに要した費用の補助金を得ていたが、実際には試運転は行われていなかった。

端的に言うと、補助金をもらっておきながら、ちゃんとやっていなかった、ということです。

処分内容

これを受けて環境省はJCサービスに対して下記を命令しました。

  • 交付した補助金2億9,696万9千円全額の返還
  • 加算金(違反金)1億3,600万円の支払い

合わせて4億3千万円の支払いをJCサービスに命じたということです。

マスコミ各社の報道

本件についてのマスコミ各社の報道内容を、時系列で要点だけまとめます。なお、カッコ書き、赤字、太字は僕が付けたものです。

ロイター

再生エネルギーの補助金返還命令(7月11日16時10分)

  • 補助金を受けた事業を適切に実施しなかったとして、環境省はJCサービスに補助金2億9,600万円と加算金1億3,600万円の支払いを命じた。
  • JCサービスは細野元環境相に5千万円の資金提供をした証券会社(JC証券)の親会社。
  • 補助金の交付が2014年で細野氏への資金提供と時期が離れているため、環境省は「補助金と資金提供を結び付けるのは無理がある」とした。
  • 環境省は2013年に徳之島町でのJCサービスの計画をモデル事業として採択し、完成後の2014年に補助金を交付した。

JCサービスに補助金を出したのが環境省。JCサービスが子会社経由で資金提供した相手が元環境大臣の細野氏。

マスコミじゃなくても飛び付く関係ですが、環境省のコメント通りこの2つの案件を結び付けるのは無理があると思います。

時事通信

環境省、再生エネ補助金の返還命令=関連会社が細野氏に資金(7月11日20時58分)

  • 環境省はJCサービスに対して加算金を含む補助金4億3千万円の返還を命令した。
  • 太陽光発電に大型蓄電池を導入する事業で補助金を受けたが、一度も蓄電池を可動させていなかった。
  • JCサービスは細野氏に5千万円を貸し付けた証券会社(JC証券)の親会社。
  • また、ファンド運営会社グリーンインフラレンディングの親会社

おいおい、時事通信、グリフラの名前出すなよ。ただでさえソシャレン業界は逆風なんだから…

日本テレビ

「JCサービス」に補助金の全額返還命令(7月11日22時57分)

  • 再エネ促進事業を国に申請し3億円の補助金を得ながら、実際には事業を行っていなかったとして、環境省はJCサービスに補助金の全額返還を命じた。
  • JCサービスは蓄電池を購入したが一度も使用していなかった。
  • 環境省は3億円の使い道を調査中で、蓄電池の購入などに2億円以上使ったことが判明している。
  • しかし、少なくとも600万円余の使途が不明
  • JCサービスは細野元環境相に5千万円を融通した証券会社(JC証券)の親会社。

使途不明金まで出ているようです。

テレビ朝日

環境省が4億円超を返還命令 補助事業を実施せず(7月12日5時58分)

  • 補助金を受けた事業を実施しなかったとして、環境省はJCサービスに4億3千万円の返還を命じた。
  • JCサービスは徳之島で太陽光発電を行うとして3億円の補助金を受けた。
  • しかし、太陽光システムは一度も可動せず、600万円の使途不明金も見つかった。
  • 環境省は違約金と合わせて4億3千万円の返還を命令した。
  • JCサービス関連会社のJC証券を巡っては、細野氏が5千万円の融資を受けながら報告書に記載していなかったことが分かっている。

マスコミはモナ男と結びつけたいらしい

環境省のコメント通り、補助金を受けたのが2014年、細野氏に資金提供をしたのが2017年ですので、この2つを関連付けようとするのは無理があります。

にもかかわらず、どのマスコミも細野氏5千万円事件に触れています。

政治スキャンダルに関連付けて、読者、視聴者の耳目を引こうとする。

毎度ながらマスコミのやり方にうんざりします。

それより、グリフラの一件がなければ環境省は今回の件に気付かなかったはず。

つまり、環境省は補助金を交付したあとは、ろくにチェックしてなかったということです。

マスコミはそっちを突っ込めよと言いたいのですが…

グリフラ投資家への影響は?

今回のJCサービスのスキャンダル。グリーンインフラレンディングに投資済みの投資家への影響はあるでしょうか?僕はないと思います。

グリフラの未返済額は135億円です。ここで4億取られたところで大勢に影響ないですよね。

また、これでJCサービスのイメージが悪くなるって、いやいや、すでにムッチャ悪いですから。

ということで、あまり良いニュアンスではないですが、グリフラ投資家に影響はないと想います。

やはりソシャレンはちゃんとした手堅い業者でやるべきですね。

コメント

  1. とある投資家の黙示録 より:

    使途不明金は大樹に行ったお金じゃないですか?
    一連の流れからそれ以外思いつかないです。

    • なんだかなー より:

      この使途不明金は大樹ではないです。

      とある海外在住の日本人に領収書無しで手渡してるお金かと。

      大樹にも飲み代、交友費として領収書無しでお金を手渡してるようです。

      その他JCサービスは領収書無しで案件を買ったり脱税の手伝いもしてるようです。

    • タロウ タロウ より:

      大樹ってのは僕も疑問ですね。
      3億もらってその内のたった600万って。
      一桁違うような気が。

  2. 命令の裏を邪推 より:

    ろくにチェックしていないことを批判される覚悟で発表したこと
    立入検査から返還命令までの期間が短いことから、おそらく指導をして改善がなければ返還命令という手順を踏まずに返還命令を出していること
    環境省はグリフラかJCサービスの何かを掴んで慌てて返還命令を出したのではないか

    • タロウ タロウ より:

      なるほど、そういう可能性もあるかもですね。
      しかし何をつかんだのか知りませんが、僕たち投資家にとってろくでもないものであることは間違いないでしょうね。苦笑
      ほんと、勘弁してほしいわ~

上場企業系

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングで「上場企業系」とは、運営会社やその親会社が上場企業であることを指します。

上場企業は信用力が高いことから、上場企業系の業者が運営するソシャレン、不動産クラファンは信頼性、安全性が高いと考える投資家が多いです。

ただし、「上場企業系=100%安全」とは限らないので注意が必要です。

貸付金利

ソーシャルレンディングでは投資家から集めたお金を企業などに貸し、得られた利益を投資家に分配します。

例えば、企業に7%で貸し、ソシャレン業者が利益を2%取り、5%を投資家に分配します。

ソーシャルレンディングの貸付金利の説明図

企業に貸す際の金利(上図の7%)が貸付金利です。

上場企業系

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングで「上場企業系」とは、運営会社やその親会社が上場企業であることを指します。

上場企業は信用力が高いことから、上場企業系の業者が運営するソシャレン、不動産クラファンは信頼性、安全性が高いと考える投資家が多いです。

ただし、「上場企業系=100%安全」とは限らないので注意が必要です。

運用と運用期間

不動産クラウドファンディングにおいて運用とは、投資家から集めた資金で取得した不動産を、賃貸したり売却したりすることで利益を生み出すことをいいます。

運用を行う期間は案件ごとにあらかじめ決められており、これを運用期間といいます。

マスターリース契約

不動産クラウドファンディングでは投資家の資金で不動産クラファン業者が物件を取得し、入居者から家賃を得ます。

しかし、入居者が見つからなければ家賃が入らず、投資家が分配金を得られなくなります。

そこで、不動産クラファン業者が不動産業者と次のような契約を結びます。

  1. 不動産クラファン業者が不動産業者に部屋を貸す
  2. 不動産業者が入居者に部屋を貸す
  3. 入居者が見つからなくても不動産業者は毎月の家賃を不動産クラファン業者に払う

マスターリース

これがマスターリース契約です。

マスターリース契約により投資家は入居者が見つからないリスクから隔離され、投資の安全性が向上します。

部分当選

ソーシャルレンディングと不動産クラウドファンディングの募集には、早い者勝ちの先着方式の他に、応募した人の中から投資できる人を抽選で決める抽選方式があります。

抽選方式では、50万円で応募して当選したら50万円投資できるのが基本です。

しかし、50万円の内、30万円分だけ当選する(=30万円だけ投資できる)こともあります。

これが部分当選です。

当選者の最後の1人が残額を割り当てられて部分当選になる場合の他、多くの人を当選にするために業者が全員を部分当選にする場合などがあります。

借り手企業

ソーシャルレンディングでは投資家から集めたお金を、ソシャレン業者が企業に貸します。

ソーシャルレンディングの仕組み

案件の募集で集められた投資家のお金を借りるのが借り手企業です。

借り手企業が倒産したり返済不能になると、投資家のお金が戻ってこない場合があります。

ソーシャルレンディングのリスク

ですので、ちゃんと返済できるのか?ソーシャルレンディングでは借り手企業の見極めが非常に重要です。

満室賃料

満室賃料とは、その物件が満室の場合に得られる想定賃料のことです。

全4室の1棟アパートで、各部屋の賃料が以下の場合、

  • 101号室:4.5万円
  • 102号室:4.5万円
  • 201号室:5.5万円
  • 202号室:5.5万円

満室賃料は月間20万円、年間240万円です。

空室リスク

空室リスクとは投資対象物件に入居者がつかず、空室で家賃収入を得られなくなるリスクです。

匿名組合型と任意組合型

不動産クラウドファンディングを含む不動産特定共同事業は、主に匿名組合型と任意組合型に分かれます。

主な違いは一般に下表の通りです。

匿名組合型 タイプ 任意組合型
匿名組合契約 契約 任意組合契約
なし 物件の所有権 あり
少なめ 最低出資額 多め
短め 運用期間 長め
有限責任 責任 無限責任
雑所得 所得区分 不動産所得

物件が倒壊して隣接する建物に被害が及んだ場合、任意組合型では出資額を超えて賠償責任が発生します。

匿名組合型の場合は責任範囲は出資額が上限であり、最悪でも全損で済みます。

任意組合型は所得区分が不動産所得で有利なため、相続など節税対策に使われることが多いです。

不動産クラファンではほとんどの案件が匿名組合型です。

不動産特定共同事業

不動産特定共同事業は次のような事業です。

  1. 複数の投資家から出資を受け
  2. 集まった資金で不動産を取得、運用し
  3. 得られた利益を投資家に分配する

多くの場合、1億円の1棟マンションを100口の持ち分に分割し、1口100万円で販売するといった、不動産小口化商品の形を取ります。

不動産特定共同事業のうち、募集などをインターネットを使って行うのが不動産クラウドファンディングです。

不動産小口化商品

不動産小口化商品は不動産を小口の持分に分割して販売する不動産投資商品です。

例えば、1億円の1棟マンションを1口100万円の持分100口に分割し、1口単位で販売します。

仮にこのマンションで1,000万円の利益が出た場合、1口投資した人は10万円、5口投資した人は50万円を得るイメージです。

不動産クラファンの場合、持分には利益の分配を受ける権利が含まれますが、物件の所有権は含まれません。

 

デポジット口座

デポジット口座とは業者内で投資家ごとに設置されるお財布のようなものです。

デポジット口座方式の業者では、投資家は事前に銀行から業者にお金を振り込み、そのお金は業者内のデポジット口座で保管されます。

デポジット口座

そして、デポジット口座のお金で案件に投資します。

また、分配金や償還された元本はデポジット口座で保管され、投資家が必要なときに出金申請し、自分の銀行口座に引き出します。

デポジット口座

 

売却リスク

不動産において、物件が予定通りの価格で売却できない、もしくは、売却そのものができない可能性を売却リスクといいます。

売却リスクが現実化すると、投資家には次のような不利益が生じる場合があります。

  • 分配金が予定額を下回る
  • 分配を受けられない
  • 元本の一部が戻ってこない
  • 元本のすべてが戻ってこない

流動性

不動産において、売買のしやすさや、現金化のしやすさを流動性といいます。

都心の一等地など需要が高く売りやすい物件は「流動性が高い」、逆に農村の空き家など需要が低く売りにくい物件は「流動性が低い」です。

譲渡

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングで自分の出資持分(利益の分配や元本の償還を受ける権利)を、第三者に譲り渡すことを譲渡といいます。

例えば、〇〇FUNDINGで10万円投資し、それを第三者(〇〇FUNDINGを含む)に10万円(もしくはそれ以外の金額)で買い取ってもらうイメージです。

入金と出金

投資するお金をソシャレン、クラファン業者の銀行口座に振り込むことを入金といいます。

運用が終わったお金が業者から投資家の銀行口座に振り込まれることを出金といいます。

元本

ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングで、投資家が出資(投資)したお金のことを元本といいます。

リフォームとリノベーション

リフォーム、リノベーションともに、住宅の改修や改築を指します。

両者の違いはリフォームは「元の状態に戻す」ことであり、例えば壁の張替えや外壁の塗替えはリフォームです。

対して、リノベーションはリフォームよりも大がかりな改修、改築を行うことで「住宅の機能や価値を高める」ことを指します。

例えば、床暖房の新設や、壁を撤去して広々としたLDKへの間取りの変更はリノベーションです。

リフォームが老朽化で800万円に下がった物件の価値を元の1,000万円に戻すのに対し、リノベーションでは機能を付加して1,200万円に高めるイメージです。

分配と分配金

ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングで、運用で得られた利益を投資家に支払うことを分配といいます。

また、支払われる利益を分配金と呼びます。

案件

ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングで、募集される1つ1つの投資商品のことを案件と呼びます。

この用語は次のように使われます。

  • 〇〇業者から新しい案件が出た
  • 今度の案件は利回りが高い
  • 先週は△△案件に10万円投資した
  • □□業者は先月は3案件募集があった
  • ◇◇案件に応募したが抽選で落選した

すいません、上手く説明できなくて。

区分マンション

マンションを部屋単位で購入し投資する場合、「区分マンションに投資する」といった表現をします。

対して、1棟単位で購入、投資する場合は「1棟マンションに投資する」といいます。

独立した部屋1つ1つが区分マンションであり、面積や間取りを問いません。

ワンルームでも4LDKでも区分マンションです。

大島てる

大島てるは全国の事故物件情報を掲載するウェブサイト、及び、そのサイトを運営する会社の名称です。

先着方式と抽選方式

ソーシャルレンディングと不動産クラウドファンディングの募集方式は2つあります。

一つは募集開始と同時によ~いどんで早い者勝ちで投資できる人が決まる先着方式です。

もう一つは募集期間中に応募した人の中から抽選で投資できる人を決める抽選方式です。

成立前書面

成立前書面(契約成立前書面、契約締結前交付書面)は、ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングで案件に応募する前に確認する書類です。

確認することで応募できるようになります。

成立前書面の確認画面

案件の詳細情報や契約内容などが書かれており、契約書に相当するものだと考えてください。

多くの業者で募集開始前から確認が可能です。

サイトに書かれていない情報も多いので、事前に必ず確認することを強くおすすめします。

モニタリング

ソーシャルレンディングにおいてモニタリングとは、借り手が融資契約を守れるか、ソシャレン業者が監視することをいいます。

業者によって異なりますが具体的な作業としては、定期的な借り手企業の訪問、経営者などへのヒアリング、財務書類のチェックなどがあります。

定期的にモニタリングを行うことで借り手の異常などを早期に察知し、貸し倒れを防ぐことができます。

このため、業者のモニタリングの実施とその精度は投資家にとって重要です。

あと入金と事前入金

投資するお金を業者に入金する方法は2つあります。

一つは先着や抽選の結果、投資できることが決まってから業者の口座に振り込むあと入金方式です。

もう一つは募集開始前に業者のデポジット口座への入金が必要な事前入金方式です。

デポジット口座

デポジット口座のお金は応募した案件への出資に充当されます。

ただし、抽選に落選などで投資できなくなると、入金したお金がデポジット口座で寝ることになります。

さらに、このお金を自分の口座に出金する際の振込手数料が投資家負担の業者もあります。

投資家にとってはあと入金の方が有利です。

 

早期償還

ソーシャルレンディングで借り手が予定より早く返済したり、不動産クラウドファンディングで物件が予定より早く売れることがあります。

そういった理由で案件の運用が予定より短い期間で終わり、業者が元本を予定より早く投資家に返すことを早期償還といいます。

例えば、運用期間12カ月の予定が6カ月で早期償還になると、受け取る分配金は基本的に半分になります。

ネガティブに捉えられがちですが、業者が確実に返済できる借り手、売れる物件を選んで案件を組成した証でもあります。

分配原資

分配原資とは分配金の出どころのことです。

例えば、入居者から得る家賃から投資家に分配金を払う場合、分配原資は家賃です。

家賃はインカムゲインですので、分配原資はインカムゲインとも表現できます。

組成

案件を作ることを組成といいます。

  • 投資対象は緑町ハイツ102号室で
  • 利回りは4.5%で
  • 運用期間1年
  • 募集総額2,300万円の案件を作る

こうやって案件が出来上がります。

組成 → 募集 → 運用開始 → 運用終了 → 償還

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングの案件はこのような流れで運営され、その最初の段階が案件の組成です。

元本毀損

元本毀損(元本割れ)とは投資したお金の一部、または、すべてが戻ってこなくなることです。

例えば、不動産クラウドファンディングで2,000万円で取得した物件が1,500万円でしか売れなかった場合、元本の一部が戻ってこないことがあります。

また、取得した物件が地震で倒壊し売れなくなった、ソーシャルレンディングで借り手企業が倒産したなどで、元本の全額が戻ってこないこともありえます。

クラファン案件の管理手数料

不動産クラファンで区分マンションなどが投資対象になる場合、物件の入居者募集や家賃徴収といった管理業務が行われます。

これらの業務は業者または外部の不動産業者が代行し、そこでは管理手数料が発生します。

案件の利回りはこういった手数料や経費も差し引いた上で計算されたものです。

ですので、投資家が管理手数料を別途支払う必要はありません。

優先出資と劣後出資

不動産クラファンでは一般に投資家と業者が共同で出資し、物件を取得します。

例えば、投資家が2,400万円、業者が600万円出資し、3,000万円の物件を取得するといった感じです。

出資者 出資額
投資家(優先出資) 2,400万円
業者(劣後出資) 600万円
出資総額 3,000万円

この時、投資家分の出資を優先出資業者分の出資を劣後出資といいます。

なぜ、そのような言い方をするのかなど、詳しくは下記記事を参照してください。

優先劣後出資方式と劣後出資比率

キャピタルゲイン型

不動産クラファンの案件は大きくキャピタルゲイン型とインカムゲイン型に分かれます。

投資対象物件を売却した際の売却益を分配原資(分配金の出どころ)とする案件がキャピタルゲイン型です。

一方のインカムゲイン型は運用期間中の家賃収益を分配原資とします。

なお、売却益と家賃収益の両方を分配原資とする併用型の案件もあります。

自社買取

不動産クラファンでは運用期間の最後に物件を不動産投資家など第三者に売却するのが一般的です。

しかし、何らかの事情で売却できなかった場合、自社で物件を買い取ることがあります。

売却できずに元本が戻ってこないところが、業者が買い取ることで元本が戻ってくることになるので、自社買取は投資家にとってメリットです。

インカムゲイン型の案件では、最初から自社買取の予定で案件を組成することもあります。

劣後出資比率

不動産クラファンでは一般に投資家と業者が共同で出資し、物件を取得します。

例えば、投資家が2,400万円、業者が600万円出資し、3,000万円のマンションを取得するといった感じです。

このとき、出資総額に対する業者分の出資額の比率を劣後出資比率といいます。

さきほどの例では20%です。

出資者 出資額 出資比率
投資家 2,400万円 80%
業者 600万円 20%
合計 3,000万円

そして、劣後出資比率が高いほど安全性が高まります。

右田さん
右田さん

数字が大きいほど安全だよ。

なぜ高いほど安全なのか?

詳しくは下記記事を参照してください。

優先劣後出資方式と劣後出資比率

償還

案件の運用が終わり、業者が元本を投資家に返すことを償還といいます。

クリック合戦

募集が先着方式の案件では、投資できる人が決まるのは早い者勝ちです。

このため、人気の案件では募集開始と同時に応募が殺到します。

この状態をクリック合戦といいます。

信託受益権

信託受益権とは信託財産から発生する利益を受け取る権利のことです。

詳しくは↓こちらの記事を参照してください。

信託受益権とは?(別タブで開く)

信託受益権とは?(今開いているタブで開く)

抵当権と根抵当権と極度額

抵当権とは借り手が返済できなくなった時に担保を売却し、その代金から他の債権者に優先して返済を受ける権利です。

抵当権は1つの借り入れに対して設定されるため、返済時点で消滅します。

これに対し根抵当権ではあらかじめ融資の上限額を設定し、その範囲内であれば何度でも融資と返済が可能です。

その都度、抵当権の設定登記を行う必要がないため、企業への融資などでよく利用されます。

極度額は根抵当権の融資上限額のことです。

債務履行

まず、「債務」とは他人に対し何らかの行動を行う義務のことです。

そして、債務を実際に行うことを債務履行といいます。

ソーシャルレンディングの場合、借り手(債務者)が利払いや元本の返済をすることや、連帯保証人が借り手に代わってそれらを行うことが債務履行にあたります。

逆に、借り手が経営悪化などに至り、利払いや元本返済をしない(できなくなる)ことが債務不履行です。

LTV

ソーシャルレンディングで使われる用語で、担保評価額に対する融資額の割合をいいます。

例えば、1億円の土地を担保に8千万円を融資する場合、LTVは80%です。

担保が評価額通りに売れるとは限らないため、LTVの数字が小さいほど安全性が高いとされます。

資金使途

ソーシャルレンディングで業者から借りたお金を借り手が何に使うかを資金使途といいます。

延滞

ソーシャルレンディングで借り手が期限内に返済できなくなることを延滞といいます。

また、ソシャレン、不動産クラファンで分配金の支払いや元本の償還が予定より遅れている状態を延滞と呼ぶことがあります。

業者や投資家によっては「遅延」という表現が使われることもありますが、意味は同じです。