ソーシャルレンディングや不動産投資型クラウドファンディングのキャッシュバック。
「所得区分は一時所得」と書いてあるサイトやブログが多いですが。
キャッシュバックの所得区分は雑所得です。
その理由や雑所得になることによる影響などを説明します。
確定申告で必要な知識です!
タップできる目次
キャッシュバックは人気のキャンペーン
ソーシャルレンディングや不動産クラファンでは、集客のためのキャンペーンがしばしば行われます。
キャンペーン特典の事例
キャンペーンでは様々な特典が提供されます。
以下は過去に提供された特典の事例です。
業者名 | 特典内容 |
---|---|
SAMURAI FUND | アマゾンギフト券 QUOカード ビットコイン お肉券 |
CRE Funding | キャッシュバック |
クラウドクレジット | アマゾンギフト券 PayPayギフトカード キャッシュバック |
クラウドバンク | キャッシュバック |
CREAL | キャッシュバック |
Pocket Funding | 沖縄県産ギフト |
僕はポケファンで石垣牛をもらいました!
キャッシュバックが一番人気
このうち、キャッシュバックは次のようなものです。
- 10万円以上の投資で現金3千円をプレゼント
- 投資額の0.5%を現金で還元
利回りが実質的にアップするので、人気が非常に高いです。
利回りが0.5%アップすると考えると大きいよね。
キャッシュバックの所得区分は雑所得
このキャッシュバックの所得区分は雑所得です。
所得区分とは?
所得は以下の10種類に分けられます。(国税庁タックスアンサー:所得の区分のあらまし)
- 利子所得
- 配当所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 給与所得
- 退職所得
- 山林所得
- 譲渡所得
- 一時所得
- 雑所得
どれに該当するかによって税率や税金のかかり方が変わってきます。
確定申告の際には所得区分ごとに所得を申告するので、どれに該当するかを知っておく必要があります。
クラウドバンクは「雑所得」説
キャッシュバックの所得区分はどれに該当するのか?
自社サイト内で明示しているのはクラウドバンクだけです。
Q:キャンペーンによるキャッシュバックの所得区分はどのようになりますか?
A:キャンペーンによるキャッシュバックの所得区分は、事業者以外の個人のお客様の場合、雑所得にあたります。(クラウドバンク:よくある質問)
微妙な問題でキッチリ明言する姿勢は立派です!
大勢は「一時所得」説
ただ、ソシャレン、クラファン各社で雑所得説を唱えているのはクラウドバンクだけです。
僕がこれまでに問い合わせた業者はいずれも一時所得説でした。
また、ソシャクラ系のサイト、ブログは、ほぼすべてが一時所得説です。
どちらが正しいのか所得税法などを読んでみたのですがイマイチ分からない。
そこで、国税庁に問い合わせてみました。
どうやって問い合わせたの?
電話です。国税庁はていねいに答えてくれますよ!
国税庁の回答は「雑所得」
以下、国税庁との電話のやり取りを再現します。
- タロウ:ある所得がどの所得区分になるかうかがいたいのですが。
- 国税庁氏:どのような所得ですか?
- タロウ:投資した額の0.5%をキャッシュバックみたいな所得です。
- 国税庁氏:キャッシュバックは投資したお金に対してですよね?
- タロウ:はい、そのとおりです。
- 国税庁氏:投資はどんな投資ですか?
- タロウ:ソシャレンと不動産クラファンです。
- 国税庁氏:でしたら雑所得です。
間髪入れずスパッと即答でした。
一時所得じゃないのか、念のため確認。
- タロウ:あの、一時所得って書いてるサイトが多いんですが…
- 国税庁氏:えっと、投資に伴って発生してるんですよね?
- タロウ:おっしゃるとおりです。
- 国税庁氏:ならば雑所得です。投資に伴ってなので。
- タロウ:え、投資関連の所得は雑所得だと?
- 国税庁氏:株とかは別ですよ。
- タロウ:あ、配当所得とか譲渡所得とか以外の投資関連は雑所得だと?
- 国税庁氏:基本的にそうです。
ソシャレン、クラファンのキャッシュバックは雑所得。
一時所得ではないというのが国税庁の回答でした。
なんで一時所得じゃないの?
キャッシュバックが一時所得ではない理由
なぜキャッシュバックは一時所得ではないのか?
そもそも、一時所得とは何なのか?
国税庁氏とのやり取りから考えると、どうやらこういうことのようです。
一時所得は棚ぼた所得
一時所得について所得税法第34条は次のように定めています。
一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう。(所得税法第34条)
ポイントは太字の部分です。
- 一時所得=営利目的の行為から生じた所得以外の所得
それはつまり、
- 営利目的の行為から生じた所得は一時所得ではない
ということです。
「稼ぎまっせ~!」みたいに儲ける気満々でゲットした所得ではなく、棚ぼた的に入ってきた所得。
それが一時所得です。
予定外で入ってきたラッキーな所得って感じね。
投資による所得は一時所得にあたらない
これに対して、投資は思いっきり「儲けまっせ~!」な営利目的の行為です。
営利目的の行為である投資で生じた所得は一時所得に該当しません。
利子所得など他の8つの所得区分にも該当しないならば、雑所得になります。
だから、ソシャレン、クラファンの所得は雑所得なのか!
キャッシュバックは雑所得
そして、キャッシュバックもまた投資に伴って発生する所得です。
営利目的の行為である投資で生じたキャッシュバックは一時所得に該当しない。
他の8つの所得区分にも該当しない。
したがって、キャッシュバックは雑所得に該当する。
どうやら、こういう理屈みたいです。
異論がある方は国税庁にお問い合わせください!
バリアを張ったな。
アマゾンギフト券も雑所得に該当
そして、キャシュバック以外のキャンペーン特典も雑所得に該当します。
キャッシュバック以外も雑所得に該当する
ちょっと気になることがあったので、ついでに国税庁氏に聞いてみました。
- タロウ:キャッシュバック以外にもキャンペーンってありまして。
- 国税庁氏:例えば?
- タロウ:アマギフとか王将の割引クーポンとか石垣牛とか。
- 国税庁氏:なるほど。
- タロウ:これ、所得にあたるんですかね?
- 国税庁氏:あたります。
- タロウ:え~っ!!!
なんと、キャッシュバックだけでなく、アマゾンギフト券(SAMURAI FUND)や王将の10%割引クーポン(Funds)、石垣牛(Pocket Funding)なども雑所得に該当するというのです。
該当するんだったら確定申告しないとヤバいじゃん!
そこはお上も目をつぶる
実は僕、キャンペーンでアマゾンギフト券を何度かもらっています。
でも、所得になるって知らなかったので確定申告していません。
ヤバい。超ヤバい!
- タロウ:実は昨年分の確定申告でアマギフ申告してないんですよ。
- 国税庁氏:キャンペーンでアマギフをもらったわけですね。
- タロウ:そうですそうです。これ、脱税っすか?!
- 国税庁氏:いや、厳密に法に照らせば所得なんですが。
- タロウ:はいはい。
- 国税庁氏:金額的に大きいものでもないですし。
- タロウ:はいはいはい。
- 国税庁氏:まぁその、なんと言うかですね。
- タロウ:そこはお上も目をつぶると!
- 国税庁氏:まぁ、そういうニュアンスと言いますか。笑
所得税法に厳密に照らせば、現金以外も所得にあたります。
ですので、アマゾンギフト券は額面で、王将クーポンは実際に割り引きされた金額で、石垣牛は時価で計算して確定申告が必要です。
ですが、石垣牛の時価計算とか大変ですし、そもそも大した金額ではないですし。
お上もそこまで厳密には言わんよ、ということみたいです。
キャッシュバック以外は見逃してもらえそうなニュアンスでした!
所得区分の違いによる税金への影響
ところで、キャッシュバックの所得区分が一時所得ではなく雑所得であることは、税金に大きな影響を与えます。
結論から言うと、納める税金が大幅に増えます。
一時所得、雑所得ともに総合課税方式
一時所得、雑所得ともに課税方式は総合課税です。
給与なども含めた課税所得の総額で税率が決まります。
課税所得額 | 税率 |
---|---|
195万円以下 | 5% |
195万円超~330万円以下 | 10% |
330万円超~695万円以下 | 20% |
695万円超~900万円以下 | 23% |
900万円超~1,800万円以下 | 33% |
1,800万円超~4,000万円以下 | 40% |
4,000万円超 | 45% |
例えば、課税所得額が500万円の場合、キャッシュバックにかかる所得税の税率は20%です。
同じキャッシュバックでも人によって税率が変わるのね。
一時所得には特別控除がある
一時所得の場合、所得の全額に所得税がかかるのではありません。
一時所得から経費と50万円の特別控除を引いた残額の半分に所得税がかかります。(所得税法第22条第2項、第34条第2項、第3項)
- 課税所得=(一時所得の合計-経費-50万円)÷2
例えば一時所得の合計が70万円で経費がない場合、(70万円-50万円)÷2=10万円に所得税がかかります。
ポイントは50万円がマイナスされること。
ですので、一時所得の合計が50万円以下であれば所得税は発生しません。
一時所得が10万円だろうが20万円だろうが、50万円で消えてなくなるので所得税はゼロです。
キャッシュバックが一時所得であれば、ほぼすべての投資家が税金ゼロです!
雑所得には特別控除がない
これに対して雑所得には特別控除がなく、経費を除いた全額が課税所得です。
- 課税所得=雑所得の合計-経費
例えば、所得税率が20%の人がキャッシュバックで1万円を受け取ったとします。
キャッシュバックが一時所得であれば50万円ですべて消えるので所得税はゼロです。
しかし、キャッシュバックは雑所得なので、1万円×20%=2千円の所得税が発生します。
一時所得だったら2千円払わなくて済むのに…
住民税も発生する
さらに、住民税も発生します。
住民税の税率は所得に関わらず一律10%です。
そして、住民税の課税所得額の出し方は所得税の場合と同じです。
ですので、キャッシュバックが一時所得であれば50万円で消えてなくなるのですが。
キャッシュバックは雑所得なので経費を除いた全額に10%の住民税がかかります。
住民税も取られちゃうんだ…
雑所得なので税金が増える
以上より、仮に次のような状況の場合、
- 所得税率:20%
- キャッシュバック:1万円
所得税と住民税は次のようになります。
- もし一時所得だったら
- 所得税:ゼロ
- 住民税:ゼロ
- 実際は雑所得なので
- 所得税:1万円×20%=2千円
- 住民税:1万円×10%=1千円
キャッシュバックが一時所得であれば税金はゼロなのですが。
残念ながら雑所得なので、所得税、住民税あわせて3千円の税金が発生します。
僕に文句言わないでください!笑
キャッシュバックの所得区分のまとめ
最後に要点をまとめます。
- キャッシュバックとは
- 投資額に応じて現金を還元
- キャッシュバックは雑所得
- 一時所得ではない
- 一時所得は棚ぼた所得
- 投資は営利目的の行為なので一時所得に該当しない
- 利子所得などに該当しなければ雑所得になる
- キャッシュバックは営利目的の行為で生じた所得なので雑所得
- アマギフなども雑所得
- 厳密に言えば確定申告が必要
- 実際にはスルーしてくれるみたい
- 所得区分の違いによる影響
- 一時所得は50万円の特別控除がある
- → 所得税、住民税ともにゼロ
- 雑所得は特別控除がない
- → 所得税、住民税ともに発生
ということで、僕たち投資家にとってキビシイ事実が発覚してしまいました。
トホホ…
2つ申告します
で、僕はどうするかですが。
来年の確定申告から次の2つについて額面で申告します。
- キャッシュバック
- アマゾンギフト券
アマギフは金券なので現金相当です。
現金のキャッシュバックを申告する以上、アマギフも申告しないと論理矛盾かな?と。
そして、取られる税額がしれているからです。
10万円投資で0.5%キャッシュバックだと500円。
所得税20%、住民税10%として150円です。
アマギフ3千円でも30%で900円でしょ。
だったら正直に申告して脱税リスクをゼロにするほうが賢明じゃないかなと。
脱税の前科がつくくらいなら、少額だし払っておいたほうが良いかもね。
年間取引報告書の問題
気になるのは年間取引報告書です。
年間取引報告書が各業者から税務署に提出されますが、この中にキャッシュバックなどは記載されていません。
なのに確定申告書に記載するとややこしいことにならないかな?
僕は郵送で確定申告を行うので、その際に一筆添えようかなと思っています。
1年あるのでゆっくり考えます!
キャッシュバックはお得
なお当たり前のことですが、取られる税金よりも差し引きで受け取るキャッシュバックのほうが多いです。
- キャッシュバック1万円
- 所得税20%
- 住民税10%の場合
- 取られる税金:3千円
- 所得税:2千円
- 住民税:1千円
- 差し引きの受取額:7千円
税金を取られてもなお、自分の資産が7千円増えます。
ですので、キャッシュバックは利用したほうが絶対にオトクです。
「税金を取られるからキャッシュバックは損だ!」などと誤解なさらないように。
差し引きのトータルで考えないとね。
最近のキャッシュバック
最近のキャッシュバックは次の2つです。
- CREAL
- 投資額の0.5%を還元
- 条件:10万円以上の投資
- CRE Funding
- 投資額の0.5%を還元
- 条件:なし
CRE Fundingは7月21日募集開始なので、今から会員登録しても間に合います。
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