グリーンインフラレンディングとJCサービスに関する一連の不祥事。
maneoマーケットに対して行政処分が下されました。
業務改善命令の全文と詳細説明、僕が感じた懸念点を以下にまとめます。
タップできる目次
事件の概要
今回の事件の概要をザックリまとめます。ご存知の方は次の項目へレッツゴー!
資金の目的外使用
JCサービスは子会社のグリーンインフラレンディング(以下、グリフラ)と、maneo子会社のmaneoマーケット(以下、マネマー)を経由して、投資家から資金を集めていました。
つまり、「投資家→マネマー→グリフラ→JCサービス」というお金の流れです。
JCサービスとグリフラは集めた資金の使い道を「太陽光発電所の建設費用など」と説明していました。
そして、マネマーも投資家に対してそのまま説明して、資金を集めていました。
ところが、JCサービスは集めた資金の一部を、説明したのとは違う用途に使っていました。
結果として、マネマーは投資家に虚偽の説明をしたことになりました。あらあら。
これについて証券取引等監視委員会が、マネマーの管理体制に不備があるとしました。
要は、マネマーが資金の不正使用をしたわけではないけど、きっちり管理していなかった。
JCサービスとグリフラの説明をそのまま信じて投資家にスルーパスしてた。
さらに、グリフラ→JCサービスと渡った資金が、ちゃんと使われているかチェックしていなかった。
「こら、マネマー、お前は大家やろ。店子をしっかり管理せんかい!」ということです。
細野ルート
もう一つの問題はモナ男ルートです。マスコミはむしろこっちを必要以上に意図的に事実を捻じ曲げながら大々的に煽り立てていました。(←僕はそうとうご立腹でございます!)
昨年の衆議院選挙期間中に、JCサービスの子会社であるJC証券が、細野豪志議員に5千万円を提供しました。
これを細野氏が適切に報告しなかった疑いが持たれています。
今回のグリフラの一件ですが、細野ルートで捜査が先に始まり、その中でグリフラの件が発覚しました。とんだとばっちりです。
なお、細野氏への5千万円がJCサービスから渡ったものであることは明らかになっていますが、それが投資家からグリフラ経由で渡ったものであることは認定されていません。
行政処分の内容(詳細説明)
それではここからマネマーに対する行政処分の内容を詳細に説明していきます。
なお、以下では財務省関東財務局の「maneoマーケット株式会社に対する行政処分について」全文を掲載するとともに、その内容について説明します。
本文中のカッコ書き、赤字、太字は僕によるものです。それではいきます!
1.maneoマーケット株式会社(本店:東京都千代田区、法人番号5010401091384、第二種金融商品取引業)(以下「当社」という。)に対する検査の結果、以下の問題が認められたことから、証券取引等監視委員会より行政処分を求める勧告が行われた。(平成30年7月6日付)
先週金曜日(7月6日)に証券取引等監視委員会(以下、監視委)が、マネマーへの行政処分を総理大臣と金融庁に勧告しました。
それから1週間経って行政処分が下されました。
当社(マネマー)は、当社ウェブサイトにおいて、多数の事業会社を営業者とするファンドの取得勧誘(以下「プラットフォーム事業」という。)を行っている。
グリフラとかLCレンディングがマネマーを通して投資家から資金を集める、いわゆるmaneoファミリーの仕組みのことです。
当社は、平成28年10月5日以降、プラットフォーム事業において株式会社グリ ーンインフラレンディング(以下「GIL社」という。)を営業者とするファンドの取得勧誘を行っており、同29年12月末における当該ファンドの出資者数は3,084名、貸付残高は約103億円となっている。
マネマーはグリフラの案件募集をやってました。そして、3千人から100億円を集めてましたよ、と。
今回検査において、当社の業務運営の状況を検証したところ、GIL社を営業者とするファンドにおいて、以下の問題が認められた。
ここまでは事実の説明。ここからが本題です。
(1)ファンドの取得勧誘に関し、虚偽の表示をした行為
当社(マネマー)は、GIL社を営業者とするファンドの取得勧誘において、ファンド毎に特定された太陽光発電所やバイオマス発電所等の再生可能エネルギー事業の開発資金等にファンド資金を支出する旨を表示しており、GIL社は調達した資金を主にGIL社の親会社である甲社(JCサービス)の関係会社(エスクローファイナンス)を経由して甲社(JCサービス)に貸し付け、甲社(JCサービス)が各種事業等に投融資を行っている。
最初の方で僕は投資家からのお金の流れを「投資家→マネマー→グリフラ→JCサービス」と説明しましたが、実際にはグリフラとJCサービスの間にエスクローファイナンス株式会社(以下、エ社)が入っていました。
つまり、「投資家→マネマー→グリフラ→エ社→JCサービス」だったということです。
エ社は貸金業免許を持つ金融業者で、JCサービスと資本業務提携をしています。
しかし、甲社(JCサービス)においては、ファンドから貸し付けられた資金及び自己の固有の事業に係る資金について、区分管理することなく、ほぼ全ての資金を1つの口座で入出金している状態となっている。
マネマーで投資家から集めた資金と、JCサービスのその他の資金を、口座を分けずにごっちゃにしていたということです。
今回検査において、甲社(JCサービス)が、(マネマー→グリフラ→エ社経由で)入金されたファンド資金をウェブサイト上で表示した出資対象事業に支出しているか検証したところ、出資対象事業と異なる事業等へ支出している事例が多数認められた。
投資家に対して「太陽光発電所作るよ~」と説明して集めたお金を、JCサービスが太陽光以外に使っていた。
そういうのがたくさん見つかりましたよ、と。
当社(マネマー)は、この間において取得勧誘を行ったファンドのウェブサイト上の資金使途の表示と実際の資金使途が同一となっているかについて確認せず、事実と異なる表示のまま取得勧誘を継続している。この結果、当社(マネマー)は、ファンドの取得勧誘に関して、虚偽の表示を行っているものと認められる。
マネマーはグリフラの説明をすっかり信じて、投資家に「太陽光だよ~」と説明しました。
ところが、JCサービスは太陽光以外に使いました。
このため、意図的にではなく結果的にだけど、「太陽光だよ~」というマネマーの説明がウソになってしまった、ということです。
実際、マネマーもだまされたようなものです。
でも、マネマーはmaneoファミリーという仕組みを使って、投資家に対してファンド募集の代行業を行い、それでグリフラその他から手数料収益を得ていたわけです。
金もらって商売している以上、グリフラなど店子の管理責任は問われて然るべきです。
「だって、僕ちゃんだまされっちゃったんだも~ん!」では通用しないよ、ってことです。
(2)当社(マネマー)の管理上の問題点
上記(1)の状況が看過されてきた原因は、当社(マネマー)においては、法令上、虚偽表示等の禁止行為が規定されているにもかかわらず、(投資家から集めた)ファンド資金の使途等の確認を甲社(JCサービス)の関係会社(エ社)に一任し、甲社(JCサービス)における資金管理の実態や資金の使途を(マネマー自身で)把握できる管理態勢を構築していないことによるものと認められる。
マネマーが投資家から集めた資金は、グリフラなどを経由してJCサービスに渡りました。
ところが、その資金をJCサービスがどのように使っているかのチェックを、マネマーは自分でやらずにエ社に丸投げしていました。
このため、不正使用をマネマー自身で把握できない、ズタボロな管理体制になっていた、ということです。
ここまでが監視委による調査の結果説明。そしてここから判決の言い渡しです。
当社(マネマー)の上記(1)の行為(結果として投資家にウソの説明をしていたこと)は、平成29年法律第37号による改正前の金融商品取引法第38条第8号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第2号に掲げる「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、虚偽の表示を(略)する行為」に該当するものと認められる。
結果としてだけど「発電所だよ~」と説明したのが、ウソの説明になっていた。
これが法律に違反してますよ、と。
また、当社の上記(2)の状況(管理体制がズタボロだったこと)は、金融商品取引法第51条に規定する「業務の運営に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。
マネマーのズタボロ管理体制が金商法51条に該当しますよ、と。
金商法51条?何それ美味しいの?という方のために。
金融商品取引法第51条:内閣総理大臣は、金融商品取引業者(この場合、マネマー)の業務の運営(maneoファミリーでの投資家からの資金募集)又は財産の状況に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、当該金融商品取引業者(マネマー)に対し、業務の方法の変更その他業務の運営又は財産の状況の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
つまり、ズタボロ管理がこの51条に該当するので、安倍総理はマネマーに業務の方法の変更などを命ずることができますよ。
なので、安倍総理に代わって財務省関東財務局が業務改善を命じますよ、つまり、マネマーに業務改善命令をしますよ、ということです。
2.このため、本日、当社に対し、金融商品取引法第51条の規定に基づき、以下の行政処分を行った。
で、下記の通り業務改善が命じられました。
○ 業務改善命令
(1) 今般の法令違反(ウソの説明)及び投資者保護上問題のある業務運営(ズタボロ管理)について、責任の所在を明確にするとともに、発生原因を究明し、改善対応策を策定実行すること。
今回のことについて、誰がクソだったか、なんでこんな事になったか、しっかり調べて改善策を立ててキチッと実行しろよ、と。
(2) 金融商品取引業者として必要な営業者(グリフラとかLCレンディングとかmaneoファミリーのこと)の選定・管理に関する業務運営態勢等を再構築すること。
大家として店子の選び方や管理の仕方について、体制や仕組みをもう一回きっちり作り直せ、ボケ、と。
(3) 本件行政処分の内容及び改善対応策について、全ての顧客を対象に、適切な説明を実施し、説明結果を報告すること。
これを読んでいるあなたや僕を含む、マネマー系の投資家のみなさま方に、きっちり詫び入れて回って、その結果を関東財務局様に報告せぇよ、と。
(4) 顧客からの問い合わせ等に対して、誠実かつ適切に対応するとともに、投資者間の公平性に配慮しつつ、投資者保護に万全の措置を講ずること。
僕やあなたがマネマーに問い合わせた時に、面倒くさそうに対応したり、通り一遍の回答したり、なめたまねをさらすなよ、と。
また、グリフラの投資家に早い者勝ちとか、返還時期が遅い人にゼニが回らんとか、ええかげんな投資家保護をしたら張り倒されるぞ、と。
(5) 上記(1)から(4)までの対応について、平成30年8月13日までに、進捗状況及び対応結果について報告すること。
以上について1ヶ月以内に雁首揃えて報告に来なかった日には、お前ら乾燥させて切り刻んでJCサービスのバイオマス発電所の燃料にしたるぞ、と。
だいたいこういう内容です。
業務改善命令への感想
僕が読んで感じたことを何点か。
穏便に済んだ
何よりもまずこれです。業務停止命令が出なくて良かった。
新規案件の募集がストップしたら、さくらレンディングとかスマートレンドとか、maneoファミリーの小さな業者に影響が出かねませんよね。
それを避けられて良かった。
返済の公平性が命じられた
命令の4つ目です。
(4) 顧客からの問い合わせ等に対して、誠実かつ適切に対応するとともに、投資者間の公平性に配慮しつつ、投資者保護に万全の措置を講ずること。
グリフラ投資家への返済ですが、これからJCサービスが持つ発電所などを処分するなどして行うでしょう。
その際に、案件の満了時期が早い人から順番に返還とかなると、遅い人には十分に返還されなくなる。
つい最近投資した人とか、ほとんど返ってこなくなりますよね。
これについて、仮に損をすることになっても、少なくとも投資家間で不公平が出ないようにしろと命じられた。
このことも良かったと思います。
懸念点
逆に懸念点が一つあります。命令の2つ目です。
(2) 金融商品取引業者として必要な営業者(グリフラとかLCレンディングとかmaneoファミリーのこと)の選定・管理に関する業務運営態勢等を再構築すること。
営業者の選定はともかく、管理をどこまでできるのでしょうか?
だって、ファミリーと言っても別の会社ですから。
例えば、LCレンディングはこれから医療系の案件を増やしますが、それを実質的に運営しているのはLCホールディングスです。
つまり、本当に管理しようと思ったら、マネマーがLCホールディングスに対して報告を求めるとか、内部に入ってチェックするとかが必要になるでしょう。
よその会社相手にそこまでできるでしょうか?
きっちり機能する管理体制を本当に作れるのか、僕は疑問です。
maneoで投資するか?
先月から続いたグリフラ協奏曲がなんとか終りを迎えました。
業務停止という最悪の事態は回避できましたが、グリフラ投資家の資産がどうなるか、先行きは予断を許しません。
ところで、あなたはこれからmaneoに投資しますか?
僕は投資します。ただ、今回の一件でmaneoの姿勢にいささかがっかりした部分があります。
監視委が入っているという事情はあったのでしょうが、正直なところ投資家のことをあまり考えていない。少なくとも投資家ファーストではない印象を受けました。
根拠はありません。僕の漠然とした印象です。
maneoは大手で案件も多いですので、これからもmaneoへの投資は続けます。
ただ、気持ちがちょっと離れたので、上手く言えませんがドライな付き合い方になると思います。
もちろん、僕のこの印象をmaneoがいつか塗り替えてくれることは期待しますが。
コメント
今回、分別管理などをしていないことなどから、金融庁が金融商品取引法違反と認定したわけですから、そもそも匿名組合契約は有効ではないという解釈ができると思っています。ご意見いかがでしょうか。
それは我々が解釈する問題ではなく、行政が判断する問題だと思います。
で、監視委も金融庁も無効だとは判断しなかったし、今般の関東財務局の発表の中でも無効とはされていない。
なので、解釈はご自由にですが、契約が無効になることはないと考えます。