当ブログは広告を含みます

maneoマーケットへの行政処分・業務改善命令の詳細説明と懸念点

グリーンインフラレンディングとJCサービスに関する一連の不祥事。

maneoマーケットに対して行政処分が下されました。

業務改善命令の全文と詳細説明、僕が感じた懸念点を以下にまとめます。

この記事の著者
投資家・ブロガー
タロウ

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファディング専門の投資家です。
2018年にソシャレン・クラファン投資を始め、これまで400件を超える案件に2億円以上を投資し損失ゼロ。
安全性を最重視した投資情報を発信しています。

事件の概要

今回の事件の概要をザックリまとめます。ご存知の方は次の項目へレッツゴー!

資金の目的外使用

JCサービスは子会社のグリーンインフラレンディング(以下、グリフラ)と、maneo子会社のmaneoマーケット(以下、マネマー)を経由して、投資家から資金を集めていました。

つまり、「投資家→マネマー→グリフラ→JCサービス」というお金の流れです。

JCサービスとグリフラは集めた資金の使い道を「太陽光発電所の建設費用など」と説明していました。

そして、マネマーも投資家に対してそのまま説明して、資金を集めていました。

ところが、JCサービスは集めた資金の一部を、説明したのとは違う用途に使っていました

結果として、マネマーは投資家に虚偽の説明をしたことになりました。あらあら。

これについて証券取引等監視委員会が、マネマーの管理体制に不備があるとしました。

要は、マネマーが資金の不正使用をしたわけではないけど、きっちり管理していなかった

JCサービスとグリフラの説明をそのまま信じて投資家にスルーパスしてた。

さらに、グリフラ→JCサービスと渡った資金が、ちゃんと使われているかチェックしていなかった。

こら、マネマー、お前は大家やろ。店子をしっかり管理せんかい!」ということです。

細野ルート

もう一つの問題はモナ男ルートです。マスコミはむしろこっちを必要以上に意図的に事実を捻じ曲げながら大々的に煽り立てていました。(←僕はそうとうご立腹でございます!)

昨年の衆議院選挙期間中に、JCサービスの子会社であるJC証券が、細野豪志議員に5千万円を提供しました。

これを細野氏が適切に報告しなかった疑いが持たれています。

今回のグリフラの一件ですが、細野ルートで捜査が先に始まり、その中でグリフラの件が発覚しました。とんだとばっちりです。

なお、細野氏への5千万円がJCサービスから渡ったものであることは明らかになっていますが、それが投資家からグリフラ経由で渡ったものであることは認定されていません

行政処分の内容(詳細説明)

それではここからマネマーに対する行政処分の内容を詳細に説明していきます。

なお、以下では財務省関東財務局の「maneoマーケット株式会社に対する行政処分について」全文を掲載するとともに、その内容について説明します。

本文中のカッコ書き、赤字、太字は僕によるものです。それではいきます!

1.maneoマーケット株式会社(本店:東京都千代田区、法人番号5010401091384、第二種金融商品取引業)(以下「当社」という。)に対する検査の結果、以下の問題が認められたことから、証券取引等監視委員会より行政処分を求める勧告が行われた。(平成30年7月6日付)

先週金曜日(7月6日)に証券取引等監視委員会(以下、監視委)が、マネマーへの行政処分を総理大臣と金融庁に勧告しました。

それから1週間経って行政処分が下されました。

当社(マネマー)は、当社ウェブサイトにおいて、多数の事業会社を営業者とするファンドの取得勧誘(以下「プラットフォーム事業」という。)を行っている。

グリフラとかLCレンディングがマネマーを通して投資家から資金を集める、いわゆるmaneoファミリーの仕組みのことです。

当社は、平成28年10月5日以降、プラットフォーム事業において株式会社グリ ーンインフラレンディング(以下「GIL社」という。)を営業者とするファンドの取得勧誘を行っており、同29年12月末における当該ファンドの出資者数は3,084名、貸付残高は約103億円となっている。

マネマーはグリフラの案件募集をやってました。そして、3千人から100億円を集めてましたよ、と。

今回検査において、当社の業務運営の状況を検証したところ、GIL社を営業者とするファンドにおいて、以下の問題が認められた。

ここまでは事実の説明。ここからが本題です。

(1)ファンドの取得勧誘に関し、虚偽の表示をした行為
当社(マネマー)は、GIL社を営業者とするファンドの取得勧誘において、ファンド毎に特定された太陽光発電所やバイオマス発電所等の再生可能エネルギー事業の開発資金等にファンド資金を支出する旨を表示しており、GIL社は調達した資金を主にGIL社の親会社である甲社(JCサービス)の関係会社(エスクローファイナンス)を経由して甲社(JCサービス)に貸し付け、甲社(JCサービス)が各種事業等に投融資を行っている。

最初の方で僕は投資家からのお金の流れを「投資家→マネマー→グリフラ→JCサービス」と説明しましたが、実際にはグリフラとJCサービスの間にエスクローファイナンス株式会社(以下、エ社)が入っていました。

つまり、「投資家→マネマー→グリフラ→エ社→JCサービス」だったということです。

エ社は貸金業免許を持つ金融業者で、JCサービスと資本業務提携をしています。

しかし、甲社(JCサービス)においては、ファンドから貸し付けられた資金及び自己の固有の事業に係る資金について、区分管理することなく、ほぼ全ての資金を1つの口座で入出金している状態となっている。

マネマーで投資家から集めた資金と、JCサービスのその他の資金を、口座を分けずにごっちゃにしていたということです。

今回検査において、甲社(JCサービス)が、(マネマー→グリフラ→エ社経由で)入金されたファンド資金をウェブサイト上で表示した出資対象事業に支出しているか検証したところ、出資対象事業と異なる事業等へ支出している事例が多数認められた

投資家に対して「太陽光発電所作るよ~」と説明して集めたお金を、JCサービスが太陽光以外に使っていた。

そういうのがたくさん見つかりましたよ、と。

当社(マネマー)は、この間において取得勧誘を行ったファンドのウェブサイト上の資金使途の表示と実際の資金使途が同一となっているかについて確認せず、事実と異なる表示のまま取得勧誘を継続している。この結果、当社(マネマー)は、ファンドの取得勧誘に関して、虚偽の表示を行っているものと認められる

マネマーはグリフラの説明をすっかり信じて、投資家に「太陽光だよ~」と説明しました。

ところが、JCサービスは太陽光以外に使いました。

このため、意図的にではなく結果的にだけど、「太陽光だよ~」というマネマーの説明がウソになってしまった、ということです。

実際、マネマーもだまされたようなものです。

でも、マネマーはmaneoファミリーという仕組みを使って、投資家に対してファンド募集の代行業を行い、それでグリフラその他から手数料収益を得ていたわけです。

金もらって商売している以上、グリフラなど店子の管理責任は問われて然るべきです。

「だって、僕ちゃんだまされっちゃったんだも~ん!」では通用しないよ、ってことです。

(2)当社(マネマー)の管理上の問題点
上記(1)の状況が看過されてきた原因は、当社(マネマー)においては、法令上、虚偽表示等の禁止行為が規定されているにもかかわらず、(投資家から集めた)ファンド資金の使途等の確認を甲社(JCサービス)の関係会社(エ社)に一任し、甲社(JCサービス)における資金管理の実態や資金の使途を(マネマー自身で)把握できる管理態勢を構築していないことによるものと認められる。

マネマーが投資家から集めた資金は、グリフラなどを経由してJCサービスに渡りました。

ところが、その資金をJCサービスがどのように使っているかのチェックを、マネマーは自分でやらずにエ社に丸投げしていました。

このため、不正使用をマネマー自身で把握できない、ズタボロな管理体制になっていた、ということです。

ここまでが監視委による調査の結果説明。そしてここから判決の言い渡しです。

当社(マネマー)の上記(1)の行為(結果として投資家にウソの説明をしていたこと)は、平成29年法律第37号による改正前の金融商品取引法第38条第8号に基づく金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第2号に掲げる「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、虚偽の表示を(略)する行為」に該当するものと認められる。

結果としてだけど「発電所だよ~」と説明したのが、ウソの説明になっていた。

これが法律に違反してますよ、と。

また、当社の上記(2)の状況(管理体制がズタボロだったこと)は、金融商品取引法第51条に規定する「業務の運営に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるとき」に該当するものと認められる。

マネマーのズタボロ管理体制が金商法51条に該当しますよ、と。

金商法51条?何それ美味しいの?という方のために。

金融商品取引法第51条:内閣総理大臣は、金融商品取引業者(この場合、マネマー)の業務の運営(maneoファミリーでの投資家からの資金募集)又は財産の状況に関し、公益又は投資者保護のため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、当該金融商品取引業者(マネマー)に対し、業務の方法の変更その他業務の運営又は財産の状況の改善に必要な措置をとるべきことを命ずることができる

つまり、ズタボロ管理がこの51条に該当するので、安倍総理はマネマーに業務の方法の変更などを命ずることができますよ。

なので、安倍総理に代わって財務省関東財務局が業務改善を命じますよ、つまり、マネマーに業務改善命令をしますよ、ということです。

2.このため、本日、当社に対し、金融商品取引法第51条の規定に基づき、以下の行政処分を行った。

で、下記の通り業務改善が命じられました。

○ 業務改善命令
(1) 今般の法令違反(ウソの説明)及び投資者保護上問題のある業務運営(ズタボロ管理)について、責任の所在を明確にするとともに、発生原因を究明し、改善対応策を策定実行すること

今回のことについて、誰がクソだったか、なんでこんな事になったか、しっかり調べて改善策を立ててキチッと実行しろよ、と。

(2) 金融商品取引業者として必要な営業者(グリフラとかLCレンディングとかmaneoファミリーのこと)の選定・管理に関する業務運営態勢等を再構築すること。

大家として店子の選び方や管理の仕方について、体制や仕組みをもう一回きっちり作り直せ、ボケ、と。

(3) 本件行政処分の内容及び改善対応策について、全ての顧客を対象に、適切な説明を実施し、説明結果を報告すること。

これを読んでいるあなたや僕を含む、マネマー系の投資家のみなさま方に、きっちり詫び入れて回って、その結果を関東財務局様に報告せぇよ、と。

(4) 顧客からの問い合わせ等に対して、誠実かつ適切に対応するとともに、投資者間の公平性に配慮しつつ、投資者保護に万全の措置を講ずること。

僕やあなたがマネマーに問い合わせた時に、面倒くさそうに対応したり、通り一遍の回答したり、なめたまねをさらすなよ、と。

また、グリフラの投資家に早い者勝ちとか、返還時期が遅い人にゼニが回らんとか、ええかげんな投資家保護をしたら張り倒されるぞ、と。

(5) 上記(1)から(4)までの対応について、平成30年8月13日までに、進捗状況及び対応結果について報告すること。

以上について1ヶ月以内に雁首揃えて報告に来なかった日には、お前ら乾燥させて切り刻んでJCサービスのバイオマス発電所の燃料にしたるぞ、と。

だいたいこういう内容です。

業務改善命令への感想

僕が読んで感じたことを何点か。

穏便に済んだ

何よりもまずこれです。業務停止命令が出なくて良かった

新規案件の募集がストップしたら、さくらレンディングとかスマートレンドとか、maneoファミリーの小さな業者に影響が出かねませんよね。

それを避けられて良かった。

返済の公平性が命じられた

命令の4つ目です。

(4) 顧客からの問い合わせ等に対して、誠実かつ適切に対応するとともに、投資者間の公平性に配慮しつつ、投資者保護に万全の措置を講ずること。

グリフラ投資家への返済ですが、これからJCサービスが持つ発電所などを処分するなどして行うでしょう。

その際に、案件の満了時期が早い人から順番に返還とかなると、遅い人には十分に返還されなくなる。

つい最近投資した人とか、ほとんど返ってこなくなりますよね。

これについて、仮に損をすることになっても、少なくとも投資家間で不公平が出ないようにしろと命じられた

このことも良かったと思います。

懸念点

逆に懸念点が一つあります。命令の2つ目です。

(2) 金融商品取引業者として必要な営業者(グリフラとかLCレンディングとかmaneoファミリーのこと)の選定・管理に関する業務運営態勢等を再構築すること。

営業者の選定はともかく、管理をどこまでできるのでしょうか?

だって、ファミリーと言っても別の会社ですから。

例えば、LCレンディングはこれから医療系の案件を増やしますが、それを実質的に運営しているのはLCホールディングスです。

つまり、本当に管理しようと思ったら、マネマーがLCホールディングスに対して報告を求めるとか、内部に入ってチェックするとかが必要になるでしょう。

よその会社相手にそこまでできるでしょうか?

きっちり機能する管理体制を本当に作れるのか、僕は疑問です。

maneoで投資するか?

先月から続いたグリフラ協奏曲がなんとか終りを迎えました。

業務停止という最悪の事態は回避できましたが、グリフラ投資家の資産がどうなるか、先行きは予断を許しません。

ところで、あなたはこれからmaneoに投資しますか?

僕は投資します。ただ、今回の一件でmaneoの姿勢にいささかがっかりした部分があります。

監視委が入っているという事情はあったのでしょうが、正直なところ投資家のことをあまり考えていない。少なくとも投資家ファーストではない印象を受けました

根拠はありません。僕の漠然とした印象です。

maneoは大手で案件も多いですので、これからもmaneoへの投資は続けます。

ただ、気持ちがちょっと離れたので、上手く言えませんがドライな付き合い方になると思います。

もちろん、僕のこの印象をmaneoがいつか塗り替えてくれることは期待しますが。

コメント

  1. hiro より:

    今回、分別管理などをしていないことなどから、金融庁が金融商品取引法違反と認定したわけですから、そもそも匿名組合契約は有効ではないという解釈ができると思っています。ご意見いかがでしょうか。

    • タロウ タロウ より:

      それは我々が解釈する問題ではなく、行政が判断する問題だと思います。
      で、監視委も金融庁も無効だとは判断しなかったし、今般の関東財務局の発表の中でも無効とはされていない。
      なので、解釈はご自由にですが、契約が無効になることはないと考えます。

上場企業系

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングで「上場企業系」とは、運営会社やその親会社が上場企業であることを指します。

上場企業は信用力が高いことから、上場企業系の業者が運営するソシャレン、不動産クラファンは信頼性、安全性が高いと考える投資家が多いです。

ただし、「上場企業系=100%安全」とは限らないので注意が必要です。

貸付金利

ソーシャルレンディングでは投資家から集めたお金を企業などに貸し、得られた利益を投資家に分配します。

例えば、企業に7%で貸し、ソシャレン業者が利益を2%取り、5%を投資家に分配します。

ソーシャルレンディングの貸付金利の説明図

企業に貸す際の金利(上図の7%)が貸付金利です。

上場企業系

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングで「上場企業系」とは、運営会社やその親会社が上場企業であることを指します。

上場企業は信用力が高いことから、上場企業系の業者が運営するソシャレン、不動産クラファンは信頼性、安全性が高いと考える投資家が多いです。

ただし、「上場企業系=100%安全」とは限らないので注意が必要です。

運用と運用期間

不動産クラウドファンディングにおいて運用とは、投資家から集めた資金で取得した不動産を、賃貸したり売却したりすることで利益を生み出すことをいいます。

運用を行う期間は案件ごとにあらかじめ決められており、これを運用期間といいます。

マスターリース契約

不動産クラウドファンディングでは投資家の資金で不動産クラファン業者が物件を取得し、入居者から家賃を得ます。

しかし、入居者が見つからなければ家賃が入らず、投資家が分配金を得られなくなります。

そこで、不動産クラファン業者が不動産業者と次のような契約を結びます。

  1. 不動産クラファン業者が不動産業者に部屋を貸す
  2. 不動産業者が入居者に部屋を貸す
  3. 入居者が見つからなくても不動産業者は毎月の家賃を不動産クラファン業者に払う

マスターリース

これがマスターリース契約です。

マスターリース契約により投資家は入居者が見つからないリスクから隔離され、投資の安全性が向上します。

部分当選

ソーシャルレンディングと不動産クラウドファンディングの募集には、早い者勝ちの先着方式の他に、応募した人の中から投資できる人を抽選で決める抽選方式があります。

抽選方式では、50万円で応募して当選したら50万円投資できるのが基本です。

しかし、50万円の内、30万円分だけ当選する(=30万円だけ投資できる)こともあります。

これが部分当選です。

当選者の最後の1人が残額を割り当てられて部分当選になる場合の他、多くの人を当選にするために業者が全員を部分当選にする場合などがあります。

借り手企業

ソーシャルレンディングでは投資家から集めたお金を、ソシャレン業者が企業に貸します。

ソーシャルレンディングの仕組み

案件の募集で集められた投資家のお金を借りるのが借り手企業です。

借り手企業が倒産したり返済不能になると、投資家のお金が戻ってこない場合があります。

ソーシャルレンディングのリスク

ですので、ちゃんと返済できるのか?ソーシャルレンディングでは借り手企業の見極めが非常に重要です。

満室賃料

満室賃料とは、その物件が満室の場合に得られる想定賃料のことです。

全4室の1棟アパートで、各部屋の賃料が以下の場合、

  • 101号室:4.5万円
  • 102号室:4.5万円
  • 201号室:5.5万円
  • 202号室:5.5万円

満室賃料は月間20万円、年間240万円です。

空室リスク

空室リスクとは投資対象物件に入居者がつかず、空室で家賃収入を得られなくなるリスクです。

匿名組合型と任意組合型

不動産クラウドファンディングを含む不動産特定共同事業は、主に匿名組合型と任意組合型に分かれます。

主な違いは一般に下表の通りです。

匿名組合型 タイプ 任意組合型
匿名組合契約 契約 任意組合契約
なし 物件の所有権 あり
少なめ 最低出資額 多め
短め 運用期間 長め
有限責任 責任 無限責任
雑所得 所得区分 不動産所得

物件が倒壊して隣接する建物に被害が及んだ場合、任意組合型では出資額を超えて賠償責任が発生します。

匿名組合型の場合は責任範囲は出資額が上限であり、最悪でも全損で済みます。

任意組合型は所得区分が不動産所得で有利なため、相続など節税対策に使われることが多いです。

不動産クラファンではほとんどの案件が匿名組合型です。

不動産特定共同事業

不動産特定共同事業は次のような事業です。

  1. 複数の投資家から出資を受け
  2. 集まった資金で不動産を取得、運用し
  3. 得られた利益を投資家に分配する

多くの場合、1億円の1棟マンションを100口の持ち分に分割し、1口100万円で販売するといった、不動産小口化商品の形を取ります。

不動産特定共同事業のうち、募集などをインターネットを使って行うのが不動産クラウドファンディングです。

不動産小口化商品

不動産小口化商品は不動産を小口の持分に分割して販売する不動産投資商品です。

例えば、1億円の1棟マンションを1口100万円の持分100口に分割し、1口単位で販売します。

仮にこのマンションで1,000万円の利益が出た場合、1口投資した人は10万円、5口投資した人は50万円を得るイメージです。

不動産クラファンの場合、持分には利益の分配を受ける権利が含まれますが、物件の所有権は含まれません。

 

デポジット口座

デポジット口座とは業者内で投資家ごとに設置されるお財布のようなものです。

デポジット口座方式の業者では、投資家は事前に銀行から業者にお金を振り込み、そのお金は業者内のデポジット口座で保管されます。

デポジット口座

そして、デポジット口座のお金で案件に投資します。

また、分配金や償還された元本はデポジット口座で保管され、投資家が必要なときに出金申請し、自分の銀行口座に引き出します。

デポジット口座

 

売却リスク

不動産において、物件が予定通りの価格で売却できない、もしくは、売却そのものができない可能性を売却リスクといいます。

売却リスクが現実化すると、投資家には次のような不利益が生じる場合があります。

  • 分配金が予定額を下回る
  • 分配を受けられない
  • 元本の一部が戻ってこない
  • 元本のすべてが戻ってこない

流動性

不動産において、売買のしやすさや、現金化のしやすさを流動性といいます。

都心の一等地など需要が高く売りやすい物件は「流動性が高い」、逆に農村の空き家など需要が低く売りにくい物件は「流動性が低い」です。

譲渡

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングで自分の出資持分(利益の分配や元本の償還を受ける権利)を、第三者に譲り渡すことを譲渡といいます。

例えば、〇〇FUNDINGで10万円投資し、それを第三者(〇〇FUNDINGを含む)に10万円(もしくはそれ以外の金額)で買い取ってもらうイメージです。

入金と出金

投資するお金をソシャレン、クラファン業者の銀行口座に振り込むことを入金といいます。

運用が終わったお金が業者から投資家の銀行口座に振り込まれることを出金といいます。

元本

ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングで、投資家が出資(投資)したお金のことを元本といいます。

リフォームとリノベーション

リフォーム、リノベーションともに、住宅の改修や改築を指します。

両者の違いはリフォームは「元の状態に戻す」ことであり、例えば壁の張替えや外壁の塗替えはリフォームです。

対して、リノベーションはリフォームよりも大がかりな改修、改築を行うことで「住宅の機能や価値を高める」ことを指します。

例えば、床暖房の新設や、壁を撤去して広々としたLDKへの間取りの変更はリノベーションです。

リフォームが老朽化で800万円に下がった物件の価値を元の1,000万円に戻すのに対し、リノベーションでは機能を付加して1,200万円に高めるイメージです。

分配と分配金

ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングで、運用で得られた利益を投資家に支払うことを分配といいます。

また、支払われる利益を分配金と呼びます。

案件

ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングで、募集される1つ1つの投資商品のことを案件と呼びます。

この用語は次のように使われます。

  • 〇〇業者から新しい案件が出た
  • 今度の案件は利回りが高い
  • 先週は△△案件に10万円投資した
  • □□業者は先月は3案件募集があった
  • ◇◇案件に応募したが抽選で落選した

すいません、上手く説明できなくて。

区分マンション

マンションを部屋単位で購入し投資する場合、「区分マンションに投資する」といった表現をします。

対して、1棟単位で購入、投資する場合は「1棟マンションに投資する」といいます。

独立した部屋1つ1つが区分マンションであり、面積や間取りを問いません。

ワンルームでも4LDKでも区分マンションです。

大島てる

大島てるは全国の事故物件情報を掲載するウェブサイト、及び、そのサイトを運営する会社の名称です。

先着方式と抽選方式

ソーシャルレンディングと不動産クラウドファンディングの募集方式は2つあります。

一つは募集開始と同時によ~いどんで早い者勝ちで投資できる人が決まる先着方式です。

もう一つは募集期間中に応募した人の中から抽選で投資できる人を決める抽選方式です。

成立前書面

成立前書面(契約成立前書面、契約締結前交付書面)は、ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングで案件に応募する前に確認する書類です。

確認することで応募できるようになります。

成立前書面の確認画面

案件の詳細情報や契約内容などが書かれており、契約書に相当するものだと考えてください。

多くの業者で募集開始前から確認が可能です。

サイトに書かれていない情報も多いので、事前に必ず確認することを強くおすすめします。

モニタリング

ソーシャルレンディングにおいてモニタリングとは、借り手が融資契約を守れるか、ソシャレン業者が監視することをいいます。

業者によって異なりますが具体的な作業としては、定期的な借り手企業の訪問、経営者などへのヒアリング、財務書類のチェックなどがあります。

定期的にモニタリングを行うことで借り手の異常などを早期に察知し、貸し倒れを防ぐことができます。

このため、業者のモニタリングの実施とその精度は投資家にとって重要です。

あと入金と事前入金

投資するお金を業者に入金する方法は2つあります。

一つは先着や抽選の結果、投資できることが決まってから業者の口座に振り込むあと入金方式です。

もう一つは募集開始前に業者のデポジット口座への入金が必要な事前入金方式です。

デポジット口座

デポジット口座のお金は応募した案件への出資に充当されます。

ただし、抽選に落選などで投資できなくなると、入金したお金がデポジット口座で寝ることになります。

さらに、このお金を自分の口座に出金する際の振込手数料が投資家負担の業者もあります。

投資家にとってはあと入金の方が有利です。

 

早期償還

ソーシャルレンディングで借り手が予定より早く返済したり、不動産クラウドファンディングで物件が予定より早く売れることがあります。

そういった理由で案件の運用が予定より短い期間で終わり、業者が元本を予定より早く投資家に返すことを早期償還といいます。

例えば、運用期間12カ月の予定が6カ月で早期償還になると、受け取る分配金は基本的に半分になります。

ネガティブに捉えられがちですが、業者が確実に返済できる借り手、売れる物件を選んで案件を組成した証でもあります。

分配原資

分配原資とは分配金の出どころのことです。

例えば、入居者から得る家賃から投資家に分配金を払う場合、分配原資は家賃です。

家賃はインカムゲインですので、分配原資はインカムゲインとも表現できます。

組成

案件を作ることを組成といいます。

  • 投資対象は緑町ハイツ102号室で
  • 利回りは4.5%で
  • 運用期間1年
  • 募集総額2,300万円の案件を作る

こうやって案件が出来上がります。

組成 → 募集 → 運用開始 → 運用終了 → 償還

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングの案件はこのような流れで運営され、その最初の段階が案件の組成です。

元本毀損

元本毀損(元本割れ)とは投資したお金の一部、または、すべてが戻ってこなくなることです。

例えば、不動産クラウドファンディングで2,000万円で取得した物件が1,500万円でしか売れなかった場合、元本の一部が戻ってこないことがあります。

また、取得した物件が地震で倒壊し売れなくなった、ソーシャルレンディングで借り手企業が倒産したなどで、元本の全額が戻ってこないこともありえます。

クラファン案件の管理手数料

不動産クラファンで区分マンションなどが投資対象になる場合、物件の入居者募集や家賃徴収といった管理業務が行われます。

これらの業務は業者または外部の不動産業者が代行し、そこでは管理手数料が発生します。

案件の利回りはこういった手数料や経費も差し引いた上で計算されたものです。

ですので、投資家が管理手数料を別途支払う必要はありません。

優先出資と劣後出資

不動産クラファンでは一般に投資家と業者が共同で出資し、物件を取得します。

例えば、投資家が2,400万円、業者が600万円出資し、3,000万円の物件を取得するといった感じです。

出資者 出資額
投資家(優先出資) 2,400万円
業者(劣後出資) 600万円
出資総額 3,000万円

この時、投資家分の出資を優先出資業者分の出資を劣後出資といいます。

なぜ、そのような言い方をするのかなど、詳しくは下記記事を参照してください。

優先劣後出資方式と劣後出資比率

キャピタルゲイン型

不動産クラファンの案件は大きくキャピタルゲイン型とインカムゲイン型に分かれます。

投資対象物件を売却した際の売却益を分配原資(分配金の出どころ)とする案件がキャピタルゲイン型です。

一方のインカムゲイン型は運用期間中の家賃収益を分配原資とします。

なお、売却益と家賃収益の両方を分配原資とする併用型の案件もあります。

自社買取

不動産クラファンでは運用期間の最後に物件を不動産投資家など第三者に売却するのが一般的です。

しかし、何らかの事情で売却できなかった場合、自社で物件を買い取ることがあります。

売却できずに元本が戻ってこないところが、業者が買い取ることで元本が戻ってくることになるので、自社買取は投資家にとってメリットです。

インカムゲイン型の案件では、最初から自社買取の予定で案件を組成することもあります。

劣後出資比率

不動産クラファンでは一般に投資家と業者が共同で出資し、物件を取得します。

例えば、投資家が2,400万円、業者が600万円出資し、3,000万円のマンションを取得するといった感じです。

このとき、出資総額に対する業者分の出資額の比率を劣後出資比率といいます。

さきほどの例では20%です。

出資者 出資額 出資比率
投資家 2,400万円 80%
業者 600万円 20%
合計 3,000万円

そして、劣後出資比率が高いほど安全性が高まります。

右田さん
右田さん

数字が大きいほど安全だよ。

なぜ高いほど安全なのか?

詳しくは下記記事を参照してください。

優先劣後出資方式と劣後出資比率

償還

案件の運用が終わり、業者が元本を投資家に返すことを償還といいます。

クリック合戦

募集が先着方式の案件では、投資できる人が決まるのは早い者勝ちです。

このため、人気の案件では募集開始と同時に応募が殺到します。

この状態をクリック合戦といいます。

信託受益権

信託受益権とは信託財産から発生する利益を受け取る権利のことです。

詳しくは↓こちらの記事を参照してください。

信託受益権とは?(別タブで開く)

信託受益権とは?(今開いているタブで開く)

抵当権と根抵当権と極度額

抵当権とは借り手が返済できなくなった時に担保を売却し、その代金から他の債権者に優先して返済を受ける権利です。

抵当権は1つの借り入れに対して設定されるため、返済時点で消滅します。

これに対し根抵当権ではあらかじめ融資の上限額を設定し、その範囲内であれば何度でも融資と返済が可能です。

その都度、抵当権の設定登記を行う必要がないため、企業への融資などでよく利用されます。

極度額は根抵当権の融資上限額のことです。

債務履行

まず、「債務」とは他人に対し何らかの行動を行う義務のことです。

そして、債務を実際に行うことを債務履行といいます。

ソーシャルレンディングの場合、借り手(債務者)が利払いや元本の返済をすることや、連帯保証人が借り手に代わってそれらを行うことが債務履行にあたります。

逆に、借り手が経営悪化などに至り、利払いや元本返済をしない(できなくなる)ことが債務不履行です。

LTV

ソーシャルレンディングで使われる用語で、担保評価額に対する融資額の割合をいいます。

例えば、1億円の土地を担保に8千万円を融資する場合、LTVは80%です。

担保が評価額通りに売れるとは限らないため、LTVの数字が小さいほど安全性が高いとされます。

資金使途

ソーシャルレンディングで業者から借りたお金を借り手が何に使うかを資金使途といいます。

延滞

ソーシャルレンディングで借り手が期限内に返済できなくなることを延滞といいます。

また、ソシャレン、不動産クラファンで分配金の支払いや元本の償還が予定より遅れている状態を延滞と呼ぶことがあります。

業者や投資家によっては「遅延」という表現が使われることもありますが、意味は同じです。