基礎控除とは何か?
この記事を読めば、
- ソーシャルレンディングと不動産投資型クラウドファンディングで
- 所得税を計算する際の
- 基礎控除の扱いと
- 基礎控除を使った節税の仕方
が分かります。
基礎控除はすべての納税者に関係する所得控除です。
基礎控除は簡単だよ!
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基礎控除の概要
まず最初に、基礎控除の重点を説明します。
- すべての納税者について
- 一定の金額が
- 課税所得から引かれる
その結果、
- 課税所得が少なくなるので
- 税金が安くなる
です。
基礎控除が適用される条件と控除額
それでは、基礎控除の具体的な内容について説明します。
基礎控除は簡単なのでサクッと説明するよ!
基礎控除が適用される条件
基礎控除はすべての納税者に適用されます。(所法第86条)
ですので、基礎控除を受けるために必要な条件はありません。
基礎控除の控除額
基礎控除の控除額は以下の通りです。
納税者の年齢や収入に関係なく一律ってことか。
基礎控除の節税効果
基礎控除によって課税所得が減りますので、その減った分にかかるはずだった税金を払わなくて済むことになります。
仮に、ある人の所得税率が20%である場合(住民税は一律10%)、
- 所得税の減額:38万円×20%=7万6千円
- 住民税の減額:33万円×10%=3万3千円
基礎控除によるこの人の節税効果は、所得税、住民税合わせて10万9千円です。
控除された38万円と33万円にかかるはずだった税金を節税できるってことね。
基礎控除の注意点
注意点やポイントをいくつか挙げておきます。
控除額が変わる
所得税は2020年分から、住民税は2021年分から、基礎控除の控除額が変わります。
新しい控除額は下表の通りです。
合計所得金額 | 所得税 | 住民税 |
---|---|---|
2,400万円以下 | 48万円 | 43万円 |
2,400万円超~2,450万円以下 | 32万円 | 29万円 |
2,450万円超~2,500万円以下 | 16万円 | 15万円 |
2,500万円超 | 0円 | 0円 |
今までと違って収入によって控除額が変わるのか。
2,500万円を超えると基礎控除を受けられなくなるのね。ま、私には関係ない話だけど。
収入が勤務先からの給与だけである会社員やパートタイマーの場合、収入から給与所得控除を引いた金額だと考えて差し支えありません。
103万円の壁(所得税)
会社員やパートタイマーなど給与所得者の場合、所得税について少なくとも次の2つの控除を絶対に受けることができます。
- 給与所得控除:最低65万円
- 基礎控除:38万円
つまり、給与収入から必ず65万円と38万円が引かれるので、年収が103万円以下であれば課税所得がゼロ円になり、所得税が発生しないということです。
これがいわゆる「103万円の壁」です。
副業は別枠
ただし、103万円の壁は収入が給与収入だけの場合の話です。
それ以外の収入がある場合、例えば
- 給与収入:103万円
- ソーシャルレンディングの分配金:10万円
このような場合ですと、
- 給与所得:103万円ー65万円=38万円
- 雑所得(ソシャレン分):10万円
- → 課税所得=38万円+10万円ー38万円(基礎控除)=10万円
となりますので、10万円に対する所得税が発生します。
65万円を引き算できるのは給与収入からだけってことか。
2020年以降も103万円の壁
なお、さきほど説明した通り、2020年分以降は所得税の基礎控除額が48万円になります。
しかし、同じく2020年分から給与所得控除が55万円に下がります。
したがって、48万円+55万円=103万円となり、103万円の壁は変わりません。
113万円の壁にはならないってことね。
100万円の壁(住民税)
合計所得金額が35万円以下である場合、住民税は課せられません。(地法附則第3条の3)
給与所得者の場合、「合計所得金額=給与収入ー給与所得控除(最低65万円)」であるため、
- 合計所得金額 ≦ 35万円
- → 給与収入ー65万円 ≦ 35万円
- → 給与収入 ≦ 100万円
となりますので、年収が100万円以下であれば住民税は発生しません。
これがいわゆる「100万円の壁」です。
控除額が35万円になるのではない
この35万円を「住民税の非課税限度額」といいますが、これは住民税の基礎控除額とは別物です。
例えば、年収が105万円の場合、
- 給与収入:105万円
- 給与所得控除:65万円
- 基礎控除:33万円
- → 課税所得=105万円ー65万円ー33万円=7万円
となり、7万円に対して住民税がかかります。
105万円ー65万円ー35万円=5万円となるのではありません。
基礎控除が35万円に変わるわけではないってことだね。
基礎控除を受けるための手続き
基礎控除を受けるために必要な手続きや書類などについて説明します。
給与所得者の場合
会社員やパートタイマーなどの給与所得者の場合、必要な手続きはありません。
提出や添付が必要な書類もありません。
一切何もすることなく基礎控除を受けることができます。
非給与所得者の場合
自営業者やフリーランサーなどの非給与所得者の場合、確定申告を行うことで基礎控除を受けることができます。
確定申告書の基礎控除欄に金額の記入が必要ですので注意しましょう。
なお、必要な提出書類等はありません。
住民税の基礎控除の手続き
給与所得者は住民税についても基礎控除の手続きは必要ありません。
非給与所得者についても、確定申告を行えば基礎控除の手続きは不要です。
基礎控除はとにかく簡単で楽ちんだよ!
ソーシャルレンディングと基礎控除
ソーシャルレンディングや不動産投資型クラウドファンディングの分配金は雑所得に区分されます。
そして、雑所得も含めたすべての所得から基礎控除が引かれます。
ですので、パートタイマーなどでソシャレン、不動産クラファンの分配金が38万円以内に収まれば、税金はかかりません。
- 給与収入:65万円
- 給与所得控除:65万円
- → 給与所得:0円
- 雑所得(ソシャレン分配金):38万円
- → 課税所得:0円+38万円ー38万円(基礎控除)=0円
なお、ソシャレンの他に株で収益があったり、副業での収入などがある場合、それらの合計が38万円を超えると、当然税金がかかります。
サラリーマンのおこづかい稼ぎレベルでソーシャルレンディングをするならば、収益を38万円以内に納めるのがオトクだよ!
基礎控除のまとめ
最後に基礎控除の要点をまとめます。
- 基礎控除はすべての納税者が受けられます
- 条件などは一切ありません
- 基礎控除の控除額は
- 所得税:38万円
- 住民税:33万円
- 2020年以降変わります
- 基礎控除を受けるための手続きは
- 給与所得者:不要
- 非給与所得者:確定申告
- 提出書類:不要
- ソシャレンも38万円以内なら非課税
- ただし、それ以外の副収入がない場合
基礎控除は誰もが無条件に受けられる所得控除です。
非給与所得者は確定申告で記入を忘れると受けられませんので、そこだけ注意しましょう。
書き忘れで38万円はデカイよ!
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