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【雑損控除】ソーシャルレンディングの所得税の算出と所得控除

雑損控除とは何か?

この記事を読めば、

  1. ソーシャルレンディングと不動産投資型クラウドファンディングで
  2. 所得税を計算する際の
  3. 雑損控除の扱いと
  4. 雑損控除を使った節税の仕方

が分かります。

それではさっそく説明スタートです!

タロウさん
タロウさん

初心者向けにできるだけ詳しく分かりやすく説明するよ!

以下で「所法」は所得税法、「所令」は所得税法施行令、「TA」は国税庁タックスアンサーを表します。
この記事の著者
投資家・ブロガー
タロウ

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファディング専門の投資家です。
2018年にソシャレン・クラファン投資を始め、これまで400件を超える案件に2億円以上を投資し損失ゼロ。
安全性を最重視した投資情報を発信しています。

雑損控除の概要

まず最初に、雑損控除のポイントをザックリ説明します。

  1. 台風などで被害を受けた場合に
  2. 課税所得から
  3. 一定額を減らす

その結果、

  1. 課税所得が少なくなるので
  2. 税金が安くなる

何となく分かると思いますが。

もう少し具体的にイメージできるように説明します。

タロウさん
タロウさん

どうして税金が安くなるのか説明するよ!

納税者の資産が損害を受けた

例えば、ある人が次のような状況だったとします。(所得税率20%の場合、所得税額=課税所得×20%-427,500円)

  • 課税所得:600万円
  • 所得税率:20%
  • 所得税:600万円×20%-427,500円=772,500円

ところが台風が来て、この人の家が床下浸水しました。

損害を受けて大変なのに、所得税を80万円近くも取るのは酷ですよね?

雑損控除で税負担を減らす

そこで例えば、課税所得額を200万円減らしてあげます。

すると、

  • 新しい課税所得:400万円
  • 所得税率:20%
  • 新しい所得税:400万円×20%-427,500円=372,500円

払わないといけない所得税が40万円も減りました!

このように、課税所得を減らす(控除する)ことで損害を受けた人が負担する税金を減らします

これが雑損控除です。

タロウさん
タロウさん

雑損控除は損害を受けた人に対する、税制上の救済措置だよ!

雑損控除が適用される損害

雑損控除は損害への救済措置ですが、何にでも適用されるわけではありません。

所得税法では雑損控除を次のように定義しています。

  1. 災害や盗難などによって
  2. 資産が損害を受けた場合に
  3. 適用される控除

(典拠:所法第72条

つまり、この条件を満たす損害についてのみ、雑損控除は適用されます。

では、「災害や盗難など」と「資産」とは何を指すのでしょうか?

タロウさん
タロウさん

雑損控除が適用される「災害や盗難など」と「資産」を見ていくよ!

雑損控除が適用される「災害や盗難など」

雑損控除が適用される「災害や盗難など」とは、以下のいずれかです。

  1. 冷害、雪害、干害、落雷、噴火、震災、風水害などの自然現象の異変による災害
  2. 鉱害、火薬類の爆発、火災などの人為による異常な災害
  3. 害虫、害獣などの生物による異常な災害
  4. 盗難
  5. 横領

(典拠:所法第72条所令第9条TA No.1110

左野くん
左野くん

地震や台風などの天災や、大規模な人災が対象ってことだね。

雑損控除が適用される「資産」

「資産」とは、以下のいずれにも該当しない資産です。

  1. 生活に通常必要でない資産
    1. 競走馬など賭博の手段となる動産
    2. 別荘など趣味、娯楽、保養、鑑賞のための不動産
    3. ゴルフ会員権など趣味、娯楽、保養、鑑賞のための動産
  2. 生活に通常必要な動産の内、以下のa、b双方に該当する動産
    1. 宝石、貴金属、真珠等、及びそれらの製品、書画、骨董品、美術工芸品
    2. 1個または1組の価額が30万円を超えるもの
  3. 棚卸資産や事業用固定資産(建物、機械など)など

(典拠:所法第72条所令第178条TA No.1110

右田さん
右田さん

普段から住んでいる家とか、その家で使っている冷蔵庫とか、なくなると生活に困る普通の資産、ってことね。

雑損控除の対象は天災などで損害を受けた普通の資産

以上より、雑損控除の対象となるのは、

  1. 地震などの天災や大規模な人災で損害を受けた
  2. いつも住んでいる家などの普通の資産

です。

ですので、不審火で軽井沢の別荘が全焼したといったケースは、雑損控除の対象にはなりません。

タロウさん
タロウさん

とんでもない災害で普段の暮らしにダメージを受けた人を救済する。それが雑損控除だよ!

雑損控除が適用される人

雑損控除は誰でも受けることができるわけではありません。

例えば、熊本地震で損害を受けた人の、青森に住んでいる友人が控除を受けるとか変ですよね?

雑損控除の対象となる人についても、所得税法で定められています。

タロウさん
タロウさん

雑損控除を受けられる人を見ていくよ!

雑損控除が適用される人の定義

雑損控除を受けることができるのは、以下のいずれかに該当する人です。

  1. 災害や盗難などにより資産が損害を受けた本人
  2. 損害を受けた本人と
    1. 生計を一にする配偶者またはその他の親族であり
    2. なおかつ、その年の総所得が38万円以下である者

(典拠:所法第72条所令第205条TA No.1110

左野くん
左野くん

要するに被害を受けた本人とその家族ってことだね。

「生計を一にする」については、この下のHINT欄で詳しく説明しますが。

基本的に「同じ財布で生計を立てている家族」と考えてください。

雑損控除が適用される人の具体例

雑損控除の対象となる人を、具体的に考えてみましょう。

例えば台風で家が浸水した場合、次のような人には雑損控除が適用されます。

  1. その家の世帯主
  2. 世帯主の収入で暮らしていて同居している家族
    1. ただし、その年の総所得が38万円以下
  3. 同居していないが世帯主の収入で暮らしている家族
    1. ただし、その年の総所得が38万円以下

3は例えば、親の仕送りを受けて東京で一人暮らしをしている大学生などです。

右田さん
右田さん

一緒に暮らしていなくてもOKなの?

タロウさん
タロウさん

同じ財布で暮らしている=「生計を一にしている」なのでOKだよ!

雑損控除の非対象者の具体例

逆に雑損控除が適用されないのは、例えば次のような人です。

  1. 世帯主の収入で暮らし同居しているが、その年の総所得が38万円超の家族
  2. 世帯主と同居しているが、生計は世帯主と別である家族

2は例えば、親が建てた二世帯住宅に親とは別生計で暮らしている息子夫婦です。

家が浸水して息子夫婦所有の車が受けた損害については、息子夫婦が雑損控除を受けられます。

しかし家の損害については、所有者である親と「生計を一にしていない」ため、息子夫婦が雑損控除を受けることはできません。

タロウさん
タロウさん

「生計を一にする」=同じ財布で暮らしているかが大きなポイントだよ!

生計を一にする」については、「生活費をともにしている」と考えてください。ですから、サラリーマンの夫の給与で暮らしている主婦や子供、祖父母はこれに該当します。共働きの場合も同様です。
また、夫が単身赴任していたり、子供が進学で一人暮らしをしていても、夫の給与で家族が暮らしていたり、子供に仕送りをしている場合などは「生計を一にする」に該当します。
逆に二世帯住宅で親夫婦と子供夫婦が同居していて、お互いに収入があって生活費を別会計にしている場合は、「生計を一にする」には該当しません。
雑損控除は日本国内から住民票を抜いて海外に居住している非居住者も受けることができます。
2020年度からは「38万円以下」が「48万円以下」に変わります。

雑損控除で控除される金額

さて、資産が損害を受けた場合、雑損控除で所得からいくら控除されるのでしょうか?

控除される金額の算出方法を見ていきます。

タロウさん
タロウさん

雑損控除の控除額の出し方を説明するよ!

雑損控除の控除額の算出式

雑損控除の控除額の出し方は、損害を受けた原因によって異なります。

  1. 盗難・横領の場合
    1. 差引損失額-所得の10%
  2. 天災・人災の場合(以下の多い方)
    1. 災害関連支出-5万円
    2. 差引損失額-所得の10%

(典拠:所法第72条所令第206条TA No.1110

災害関連支出と差引損失額とは何か?

以下、天災などの場合で説明していきます。

災害関連支出

災害関連支出とは、災害で受けた損害に伴って発生した支出です。

例えば次のようなものです。

  • 地震で倒壊した家屋の取り壊し費用
  • 浸水で使えなくなった家財の撤去費用
  • 浸水で家屋内に堆積した土砂の除去費用
  • 地震で半壊した家屋の倒壊を防止するための費用
左野くん
左野くん

損害を受けた資産が新たに生み出したコスト、ってことだね。

差引損失額

差引損失額はちょっとややこしいです。

  • 差引損失額=損失額+災害関連支出-補填金
    • 損失額:資産の損失の価額
    • 災害関連支出:損失に関連する支出
    • 補填金:保険金や損害賠償金
右田さん
右田さん

う~ん、ピンとこないなぁ。

ですよね。

次のようなケースで考えてみましょう。(数字は適当です。)

  1. 地震で家屋が倒壊した(時価600万円)
  2. 倒壊した家屋を撤去した(費用100万円)
  3. 地震保険が支払われた(保険金200万円)

図で示すとこんな感じです。

地震で受けた損害が家屋600万円、関連してその撤去で100万円。

でも、保険金で200万円入ってきた。

その結果、差し引きの損失が500万円ってことです。

タロウさん
タロウさん

マイナスとプラスでトータルいくらになったか、ってことだよ!

控除額の決定

天災・人災の場合の雑損控除の控除額は、次の2つの多い方でしたよね。

  1. 災害関連支出-5万円
  2. 差引損失額-所得の10%

どちらになるか、さきほどの例で考えてみます。

  1. 地震で家屋が倒壊した(時価600万円)
  2. 倒壊した家屋を撤去した(費用100万円)
  3. 地震保険が支払われた(保険金200万円)

仮にこの人の年間所得が500万円だった場合、

  1. 災害関連支出-5万円
    • 100万円-5万円=95万円
  2. 差引損失額-所得の10%
    • 500万円-50万円=450万円

したがって、雑損控除の控除額は450万円となります。

タロウさん
タロウさん

課税所得から450万円が引かれるので、その分だけ税金が安くなるよ!

雑損控除の節税効果

雑損控除で税金はどれくらい安くなるのでしょうか?

タロウさん
タロウさん

雑損控除がどれくらい節税につながるか見てみるよ!

所得税と住民税が安くなる

例えば、雑損控除による控除額が100万円だった場合、100万円にかかっていた所得税と住民税が安くなります。

仮にこの人の所得税が20%だとすると(住民税は定率で10%)、

  • 所得税:100万円×20%=20万円
  • 住民税:100万円×10%=10万円

合わせて30万円、節税できます。

税金がゼロになる場合も

また、さきほどの地震で家が倒壊した例では、

  • 所得:500万円
  • 雑損控除:450万円

でした。

この時点で、課税所得=500万円ー450万円=50万円です。

基礎控除が38万円(住民税は33万円)ありますし、会社などに勤めていたら給与所得控除が65万円あります。

さらに、健康保険や国民年金など社会保険にも入っているはずですので、社会保険料控除も適用されます。

ですので、最終的にこの人の課税所得はゼロになり、所得税、住民税ともにゼロになるでしょう。

左野くん
左野くん

税金の知識があれば、困ったときに税金を少なくできるのか。

右田さん
右田さん

税金の勉強は大切だね。

雑損控除を受けるための手続き

雑損控除を受けるための手続きを説明します。

また、これに関して繰越控除を紹介します。

タロウさん
タロウさん

雑損控除の繰越控除は重要だよ!

雑損控除は確定申告で適用

雑損控除は確定申告をすることで適用されます。

会社員などで年末調整をしている場合でも、雑損控除を受けるには確定申告が必要です。

なお、損害の程度や所得額によっては、雑損控除よりも災害減免法の適用を受けた方が有利な場合があります。

市町村役場や税務署に相談しましょう。

雑損控除の繰越控除

「差引損失額-所得の10%」で、差引損失額が大きくて単年で控除しきれない場合があります。

例えば次のようなケースです。

  • 差引損失額:2,000万円
  • 所得:400万円
  • 雑損控除額:2,000万円-40万円=1,960万円

1,960万円控除できるのに所得が400万円なので、1,560万円が控除できずに残ってしまいますよね?

この残った分を、翌年度から3年間に渡って繰り越すことができます。

これを繰越控除といいます。(所令第204条

繰越控除は3年間

仮にさきほどの例で、損害を受けたのが令和2年だったとします。

この場合、令和2年度以降の確定申告で次のようになります。

  • 令和2年度:所得400万円-控除400万円(残り控除額:1,560万円)
  • 令和3年度:所得400万円-控除400万円(残り控除額:1,160万円)
  • 令和4年度:所得400万円-控除400万円(残り控除額:760万円)
  • 令和5年度:所得400万円-控除400万円(残り控除額:360万円)

合計4年間に渡って課税所得をゼロにすることができます。

なお、最後に残った360万円を令和6年度の確定申告で控除することはできません。

雑損控除の繰越控除は最長で翌年度から3年間です。

タロウさん
タロウさん

災害で大きな損害を受けたときは、繰越控除を思い出してね!

ソーシャルレンディングと雑損控除

ソーシャルレンディングや不動産投資型クラウドファンディングでは、担保や投資先が不動産であることが多いです。

ソシャレンや不動産クラファンで雑損控除を活用することはできるでしょうか?

タロウさん
タロウさん

雑損控除を使ってソシャレンで節税できるか考えるよ!

生活に通常必要な資産ではない

結論から言うと、ソシャレン、不動産クラファンに雑損控除を適用することはできません。

例えば、こういったケースが想定されますが。

  1. 不動産クラファンに投資した
  2. 投資対象のマンションが地震で倒壊した
  3. 分配金を得られず元本も償還されなかった

最初の方で説明した通り、雑損控除の対象となるのは次のような資産です。

  • 損害を受けた本人や家族にとって生活に通常必要な資産

投資対象のマンションは、投資家の「生活に通常必要」な資産ではありません。

したがって、雑損控除の適用対象とはなりません。

ソーシャルレンディングの場合も同様です。

左野くん
左野くん

雑損控除は災害で普段の暮らしにダメージを受けた人を救うものだからね。

雑損控除のまとめ

長くなりましたので最後に重点をまとめます。

  1. 雑損控除は災害で損害を受けた人への救済措置です
  2. 雑損控除を受けると
    1. 課税所得が減るので
    2. 負担する税金が減ります
  3. 雑損控除の対象は
    1. 大きな天災や人災で損害を受けた
    2. 生活に通常必要な資産です
  4. 雑損控除が適用される人は
    1. 損害を受けた本人と
    2. 生計が一である家族です
  5. 雑損控除の控除額は次の2つの多い方です
    1. 災害関連支出-5万円
    2. 差引損失額-所得の10%
  6. 雑損控除では次の2つが安くなります
    1. 所得税
    2. 住民税
  7. 雑損控除の適用を受けるには確定申告が必要です
  8. 雑損控除は最大3年間繰り越せます
  9. ソーシャルレンディングに雑損控除は適用されません

災害で損害を受けた人を救うのが雑損控除です。

運悪く災害に遭ったときは、この記事を思い出してください。

タロウさん
タロウさん

早く生活を立て直せるように、雑損控除が税負担を軽くするよ!

コメント

上場企業系

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングで「上場企業系」とは、運営会社やその親会社が上場企業であることを指します。

上場企業は信用力が高いことから、上場企業系の業者が運営するソシャレン、不動産クラファンは信頼性、安全性が高いと考える投資家が多いです。

ただし、「上場企業系=100%安全」とは限らないので注意が必要です。

貸付金利

ソーシャルレンディングでは投資家から集めたお金を企業などに貸し、得られた利益を投資家に分配します。

例えば、企業に7%で貸し、ソシャレン業者が利益を2%取り、5%を投資家に分配します。

ソーシャルレンディングの貸付金利の説明図

企業に貸す際の金利(上図の7%)が貸付金利です。

上場企業系

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングで「上場企業系」とは、運営会社やその親会社が上場企業であることを指します。

上場企業は信用力が高いことから、上場企業系の業者が運営するソシャレン、不動産クラファンは信頼性、安全性が高いと考える投資家が多いです。

ただし、「上場企業系=100%安全」とは限らないので注意が必要です。

運用と運用期間

不動産クラウドファンディングにおいて運用とは、投資家から集めた資金で取得した不動産を、賃貸したり売却したりすることで利益を生み出すことをいいます。

運用を行う期間は案件ごとにあらかじめ決められており、これを運用期間といいます。

マスターリース契約

不動産クラウドファンディングでは投資家の資金で不動産クラファン業者が物件を取得し、入居者から家賃を得ます。

しかし、入居者が見つからなければ家賃が入らず、投資家が分配金を得られなくなります。

そこで、不動産クラファン業者が不動産業者と次のような契約を結びます。

  1. 不動産クラファン業者が不動産業者に部屋を貸す
  2. 不動産業者が入居者に部屋を貸す
  3. 入居者が見つからなくても不動産業者は毎月の家賃を不動産クラファン業者に払う

マスターリース

これがマスターリース契約です。

マスターリース契約により投資家は入居者が見つからないリスクから隔離され、投資の安全性が向上します。

部分当選

ソーシャルレンディングと不動産クラウドファンディングの募集には、早い者勝ちの先着方式の他に、応募した人の中から投資できる人を抽選で決める抽選方式があります。

抽選方式では、50万円で応募して当選したら50万円投資できるのが基本です。

しかし、50万円の内、30万円分だけ当選する(=30万円だけ投資できる)こともあります。

これが部分当選です。

当選者の最後の1人が残額を割り当てられて部分当選になる場合の他、多くの人を当選にするために業者が全員を部分当選にする場合などがあります。

借り手企業

ソーシャルレンディングでは投資家から集めたお金を、ソシャレン業者が企業に貸します。

ソーシャルレンディングの仕組み

案件の募集で集められた投資家のお金を借りるのが借り手企業です。

借り手企業が倒産したり返済不能になると、投資家のお金が戻ってこない場合があります。

ソーシャルレンディングのリスク

ですので、ちゃんと返済できるのか?ソーシャルレンディングでは借り手企業の見極めが非常に重要です。

満室賃料

満室賃料とは、その物件が満室の場合に得られる想定賃料のことです。

全4室の1棟アパートで、各部屋の賃料が以下の場合、

  • 101号室:4.5万円
  • 102号室:4.5万円
  • 201号室:5.5万円
  • 202号室:5.5万円

満室賃料は月間20万円、年間240万円です。

空室リスク

空室リスクとは投資対象物件に入居者がつかず、空室で家賃収入を得られなくなるリスクです。

匿名組合型と任意組合型

不動産クラウドファンディングを含む不動産特定共同事業は、主に匿名組合型と任意組合型に分かれます。

主な違いは一般に下表の通りです。

匿名組合型 タイプ 任意組合型
匿名組合契約 契約 任意組合契約
なし 物件の所有権 あり
少なめ 最低出資額 多め
短め 運用期間 長め
有限責任 責任 無限責任
雑所得 所得区分 不動産所得

物件が倒壊して隣接する建物に被害が及んだ場合、任意組合型では出資額を超えて賠償責任が発生します。

匿名組合型の場合は責任範囲は出資額が上限であり、最悪でも全損で済みます。

任意組合型は所得区分が不動産所得で有利なため、相続など節税対策に使われることが多いです。

不動産クラファンではほとんどの案件が匿名組合型です。

不動産特定共同事業

不動産特定共同事業は次のような事業です。

  1. 複数の投資家から出資を受け
  2. 集まった資金で不動産を取得、運用し
  3. 得られた利益を投資家に分配する

多くの場合、1億円の1棟マンションを100口の持ち分に分割し、1口100万円で販売するといった、不動産小口化商品の形を取ります。

不動産特定共同事業のうち、募集などをインターネットを使って行うのが不動産クラウドファンディングです。

不動産小口化商品

不動産小口化商品は不動産を小口の持分に分割して販売する不動産投資商品です。

例えば、1億円の1棟マンションを1口100万円の持分100口に分割し、1口単位で販売します。

仮にこのマンションで1,000万円の利益が出た場合、1口投資した人は10万円、5口投資した人は50万円を得るイメージです。

不動産クラファンの場合、持分には利益の分配を受ける権利が含まれますが、物件の所有権は含まれません。

 

デポジット口座

デポジット口座とは業者内で投資家ごとに設置されるお財布のようなものです。

デポジット口座方式の業者では、投資家は事前に銀行から業者にお金を振り込み、そのお金は業者内のデポジット口座で保管されます。

デポジット口座

そして、デポジット口座のお金で案件に投資します。

また、分配金や償還された元本はデポジット口座で保管され、投資家が必要なときに出金申請し、自分の銀行口座に引き出します。

デポジット口座

 

売却リスク

不動産において、物件が予定通りの価格で売却できない、もしくは、売却そのものができない可能性を売却リスクといいます。

売却リスクが現実化すると、投資家には次のような不利益が生じる場合があります。

  • 分配金が予定額を下回る
  • 分配を受けられない
  • 元本の一部が戻ってこない
  • 元本のすべてが戻ってこない

流動性

不動産において、売買のしやすさや、現金化のしやすさを流動性といいます。

都心の一等地など需要が高く売りやすい物件は「流動性が高い」、逆に農村の空き家など需要が低く売りにくい物件は「流動性が低い」です。

譲渡

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングで自分の出資持分(利益の分配や元本の償還を受ける権利)を、第三者に譲り渡すことを譲渡といいます。

例えば、〇〇FUNDINGで10万円投資し、それを第三者(〇〇FUNDINGを含む)に10万円(もしくはそれ以外の金額)で買い取ってもらうイメージです。

入金と出金

投資するお金をソシャレン、クラファン業者の銀行口座に振り込むことを入金といいます。

運用が終わったお金が業者から投資家の銀行口座に振り込まれることを出金といいます。

元本

ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングで、投資家が出資(投資)したお金のことを元本といいます。

リフォームとリノベーション

リフォーム、リノベーションともに、住宅の改修や改築を指します。

両者の違いはリフォームは「元の状態に戻す」ことであり、例えば壁の張替えや外壁の塗替えはリフォームです。

対して、リノベーションはリフォームよりも大がかりな改修、改築を行うことで「住宅の機能や価値を高める」ことを指します。

例えば、床暖房の新設や、壁を撤去して広々としたLDKへの間取りの変更はリノベーションです。

リフォームが老朽化で800万円に下がった物件の価値を元の1,000万円に戻すのに対し、リノベーションでは機能を付加して1,200万円に高めるイメージです。

分配と分配金

ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングで、運用で得られた利益を投資家に支払うことを分配といいます。

また、支払われる利益を分配金と呼びます。

案件

ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングで、募集される1つ1つの投資商品のことを案件と呼びます。

この用語は次のように使われます。

  • 〇〇業者から新しい案件が出た
  • 今度の案件は利回りが高い
  • 先週は△△案件に10万円投資した
  • □□業者は先月は3案件募集があった
  • ◇◇案件に応募したが抽選で落選した

すいません、上手く説明できなくて。

区分マンション

マンションを部屋単位で購入し投資する場合、「区分マンションに投資する」といった表現をします。

対して、1棟単位で購入、投資する場合は「1棟マンションに投資する」といいます。

独立した部屋1つ1つが区分マンションであり、面積や間取りを問いません。

ワンルームでも4LDKでも区分マンションです。

大島てる

大島てるは全国の事故物件情報を掲載するウェブサイト、及び、そのサイトを運営する会社の名称です。

先着方式と抽選方式

ソーシャルレンディングと不動産クラウドファンディングの募集方式は2つあります。

一つは募集開始と同時によ~いどんで早い者勝ちで投資できる人が決まる先着方式です。

もう一つは募集期間中に応募した人の中から抽選で投資できる人を決める抽選方式です。

成立前書面

成立前書面(契約成立前書面、契約締結前交付書面)は、ソーシャルレンディングや不動産クラウドファンディングで案件に応募する前に確認する書類です。

確認することで応募できるようになります。

成立前書面の確認画面

案件の詳細情報や契約内容などが書かれており、契約書に相当するものだと考えてください。

多くの業者で募集開始前から確認が可能です。

サイトに書かれていない情報も多いので、事前に必ず確認することを強くおすすめします。

モニタリング

ソーシャルレンディングにおいてモニタリングとは、借り手が融資契約を守れるか、ソシャレン業者が監視することをいいます。

業者によって異なりますが具体的な作業としては、定期的な借り手企業の訪問、経営者などへのヒアリング、財務書類のチェックなどがあります。

定期的にモニタリングを行うことで借り手の異常などを早期に察知し、貸し倒れを防ぐことができます。

このため、業者のモニタリングの実施とその精度は投資家にとって重要です。

あと入金と事前入金

投資するお金を業者に入金する方法は2つあります。

一つは先着や抽選の結果、投資できることが決まってから業者の口座に振り込むあと入金方式です。

もう一つは募集開始前に業者のデポジット口座への入金が必要な事前入金方式です。

デポジット口座

デポジット口座のお金は応募した案件への出資に充当されます。

ただし、抽選に落選などで投資できなくなると、入金したお金がデポジット口座で寝ることになります。

さらに、このお金を自分の口座に出金する際の振込手数料が投資家負担の業者もあります。

投資家にとってはあと入金の方が有利です。

 

早期償還

ソーシャルレンディングで借り手が予定より早く返済したり、不動産クラウドファンディングで物件が予定より早く売れることがあります。

そういった理由で案件の運用が予定より短い期間で終わり、業者が元本を予定より早く投資家に返すことを早期償還といいます。

例えば、運用期間12カ月の予定が6カ月で早期償還になると、受け取る分配金は基本的に半分になります。

ネガティブに捉えられがちですが、業者が確実に返済できる借り手、売れる物件を選んで案件を組成した証でもあります。

分配原資

分配原資とは分配金の出どころのことです。

例えば、入居者から得る家賃から投資家に分配金を払う場合、分配原資は家賃です。

家賃はインカムゲインですので、分配原資はインカムゲインとも表現できます。

組成

案件を作ることを組成といいます。

  • 投資対象は緑町ハイツ102号室で
  • 利回りは4.5%で
  • 運用期間1年
  • 募集総額2,300万円の案件を作る

こうやって案件が出来上がります。

組成 → 募集 → 運用開始 → 運用終了 → 償還

ソーシャルレンディング、不動産クラウドファンディングの案件はこのような流れで運営され、その最初の段階が案件の組成です。

元本毀損

元本毀損(元本割れ)とは投資したお金の一部、または、すべてが戻ってこなくなることです。

例えば、不動産クラウドファンディングで2,000万円で取得した物件が1,500万円でしか売れなかった場合、元本の一部が戻ってこないことがあります。

また、取得した物件が地震で倒壊し売れなくなった、ソーシャルレンディングで借り手企業が倒産したなどで、元本の全額が戻ってこないこともありえます。

クラファン案件の管理手数料

不動産クラファンで区分マンションなどが投資対象になる場合、物件の入居者募集や家賃徴収といった管理業務が行われます。

これらの業務は業者または外部の不動産業者が代行し、そこでは管理手数料が発生します。

案件の利回りはこういった手数料や経費も差し引いた上で計算されたものです。

ですので、投資家が管理手数料を別途支払う必要はありません。

優先出資と劣後出資

不動産クラファンでは一般に投資家と業者が共同で出資し、物件を取得します。

例えば、投資家が2,400万円、業者が600万円出資し、3,000万円の物件を取得するといった感じです。

出資者 出資額
投資家(優先出資) 2,400万円
業者(劣後出資) 600万円
出資総額 3,000万円

この時、投資家分の出資を優先出資業者分の出資を劣後出資といいます。

なぜ、そのような言い方をするのかなど、詳しくは下記記事を参照してください。

優先劣後出資方式と劣後出資比率

キャピタルゲイン型

不動産クラファンの案件は大きくキャピタルゲイン型とインカムゲイン型に分かれます。

投資対象物件を売却した際の売却益を分配原資(分配金の出どころ)とする案件がキャピタルゲイン型です。

一方のインカムゲイン型は運用期間中の家賃収益を分配原資とします。

なお、売却益と家賃収益の両方を分配原資とする併用型の案件もあります。

自社買取

不動産クラファンでは運用期間の最後に物件を不動産投資家など第三者に売却するのが一般的です。

しかし、何らかの事情で売却できなかった場合、自社で物件を買い取ることがあります。

売却できずに元本が戻ってこないところが、業者が買い取ることで元本が戻ってくることになるので、自社買取は投資家にとってメリットです。

インカムゲイン型の案件では、最初から自社買取の予定で案件を組成することもあります。

劣後出資比率

不動産クラファンでは一般に投資家と業者が共同で出資し、物件を取得します。

例えば、投資家が2,400万円、業者が600万円出資し、3,000万円のマンションを取得するといった感じです。

このとき、出資総額に対する業者分の出資額の比率を劣後出資比率といいます。

さきほどの例では20%です。

出資者 出資額 出資比率
投資家 2,400万円 80%
業者 600万円 20%
合計 3,000万円

そして、劣後出資比率が高いほど安全性が高まります。

右田さん
右田さん

数字が大きいほど安全だよ。

なぜ高いほど安全なのか?

詳しくは下記記事を参照してください。

優先劣後出資方式と劣後出資比率

償還

案件の運用が終わり、業者が元本を投資家に返すことを償還といいます。

クリック合戦

募集が先着方式の案件では、投資できる人が決まるのは早い者勝ちです。

このため、人気の案件では募集開始と同時に応募が殺到します。

この状態をクリック合戦といいます。

信託受益権

信託受益権とは信託財産から発生する利益を受け取る権利のことです。

詳しくは↓こちらの記事を参照してください。

信託受益権とは?(別タブで開く)

信託受益権とは?(今開いているタブで開く)

抵当権と根抵当権と極度額

抵当権とは借り手が返済できなくなった時に担保を売却し、その代金から他の債権者に優先して返済を受ける権利です。

抵当権は1つの借り入れに対して設定されるため、返済時点で消滅します。

これに対し根抵当権ではあらかじめ融資の上限額を設定し、その範囲内であれば何度でも融資と返済が可能です。

その都度、抵当権の設定登記を行う必要がないため、企業への融資などでよく利用されます。

極度額は根抵当権の融資上限額のことです。

債務履行

まず、「債務」とは他人に対し何らかの行動を行う義務のことです。

そして、債務を実際に行うことを債務履行といいます。

ソーシャルレンディングの場合、借り手(債務者)が利払いや元本の返済をすることや、連帯保証人が借り手に代わってそれらを行うことが債務履行にあたります。

逆に、借り手が経営悪化などに至り、利払いや元本返済をしない(できなくなる)ことが債務不履行です。

LTV

ソーシャルレンディングで使われる用語で、担保評価額に対する融資額の割合をいいます。

例えば、1億円の土地を担保に8千万円を融資する場合、LTVは80%です。

担保が評価額通りに売れるとは限らないため、LTVの数字が小さいほど安全性が高いとされます。

資金使途

ソーシャルレンディングで業者から借りたお金を借り手が何に使うかを資金使途といいます。

延滞

ソーシャルレンディングで借り手が期限内に返済できなくなることを延滞といいます。

また、ソシャレン、不動産クラファンで分配金の支払いや元本の償還が予定より遅れている状態を延滞と呼ぶことがあります。

業者や投資家によっては「遅延」という表現が使われることもありますが、意味は同じです。