ソーシャルレンディング(以下、ソシャレン)と不動産クラウドファンディング(以下、不動産クラファン)の税金についての記事です。
この記事では初心者向けに、
- ソシャレンや不動産クラファンで
- どのような税金が
- いくらかかって
- どのように納めるか
について、最低限知っておくべき基本を説明します。
イレギュラーがない限り、これだけ知っておけば大丈夫です。
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基礎を分かりやすく説明します!
タップできる目次
ソシャレンと不動産クラファンの所得税
ソシャレンと不動産クラファンにかかる税金は2つあります。
1つ目は所得税です。
ソシャレンと不動産クラファンの税目
ソシャレンと不動産クラファンの分配金には以下の所得税がかかります。
税目 | 税率 |
---|---|
所得税 | 20% |
復興特別所得税 | 0.42% |
合計 | 20.42% |
プチ解説 分配金とは?
分配金が1万円の場合、合わせて2,042円です。
- 1万円×20.42%=2,042円
ここでは、2つの所得税を合わせて20.42%であることを覚えてください。
(以下、2つ合わせて「所得税20.42%」と表現します。)
所得税は源泉徴収
この20.42%の所得税ですが、本来ならば投資家が自分で税務署に行って納付します。
でも、
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面倒くさい…
でしょ?
税務署としても投資家が何万人もやってきたら仕事になりません。
そこでソシャレンと不動産クラファンでは、次のような処理をしています。
- 投資家の分配金から
- 20.42%分の所得税を
- 業者が税務署に納め
- 所得税を引いた残りを
- 投資家に払う
プチ解説 業者とは?
面倒な納税手続きを業者が代わりにやってくれる。
この仕組みを源泉徴収といいます。
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所得税を引いた残りを投資家に払う。
源泉徴収の具体例
具体的な例を見てみましょう。
以下のように投資したとします。
- 利回り:6%
- 運用期間:4カ月
- 投資額:10万円
プチ解説 利回りとは?
プチ解説 運用期間とは?
まず、分配金は2千円です。
- 分配金:10万円×6%÷12カ月×4カ月=2千円
次に、この2千円にかかる所得税は408円になります。
- 所得税:2千円×20.42%=408円
ソシャレンと不動産クラファンは源泉徴収です。
なので、所得税408円を業者が税務署に納めます。
そして、分配金2千円から408円を引いた残りが投資家に支払われます。
- 投資家の手取り:2千円-408円=1,592円
図で表すとこんな感じです。
重要なポイントをもう一度まとめます。
- 分配金から
- 所得税20.42%を
- 業者が税務署に納め(源泉徴収)
- 残りを
- 投資家に払う
実際には日割りで「÷365日×122日」のように計算します。
ソシャレンと不動産クラファンの確定申告
ソシャレンと不動産クラファンの確定申告で知っておくべき最低限の内容を説明します。
仮の税率で源泉徴収
ここまで「所得税20.42%」と書いてきました。
ですが、所得税は所得によって税率が異なります。
実際には5.105%の人も45.945%の人もいるのです。
課税所得額 | 所得税 | 復興特別所得税 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0.105% |
195万円超~330万円以下 | 10% | 0.21% |
330万円超~695万円以下 | 20% | 0.42% |
695万円超~900万円以下 | 23% | 0.483% |
900万円超~1,800万円以下 | 33% | 0.693% |
1,800万円超~4,000万円以下 | 40% | 0.84% |
4,000万円超 | 45% | 0.945% |
でも、各投資家の給料がいくらで税率が何%とか、業者は知りません。
そこで、源泉徴収では仮の税率20.42%で計算しているのです。
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仮の税率なんだ!
確定申告で正しい税額を確定
でも、正しい税率が5.105%の人からすれば、たまったもんじゃありません。
取りすぎた分を返せよ!って話です。
逆に、45.945%の人は払う税金が足りていない。
このまま放置すると脱税になります。
そこで、正しい税額を確定させる。
それが確定申告です。
確定申告が必要な人
ただし、確定申告はすべての投資家がしなければならないのではありません。
以下に該当する人が必要です。(課税所得330万円以下は義務ではないが、した方がオトク)
- 給与所得者で、給与所得が年間2千万円を超える
- 給与所得者で、給与所得以外の所得が20万円を超える
- 給与所得者以外で、所得が48万円を超える
- 課税所得が330万円以下(税金が戻ってくる)
- 課税所得が695万円を超える(追加で納付が必要)
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課税所得?
課税所得とは?
課税所得とは収入から経費などを引いたもので、所得税はこの課税所得に対してかかります。
普通の会社員について大雑把に説明すると、
- ソシャレンと不動産クラファンの所得と
- 給与所得を足して
- 所得控除を引いたものが
- 課税所得
例えば、ソシャレンの所得が10万円で、給与所得が250万円だとします。
所得控除がゼロの場合、課税所得は10万円+250万円=260万円です。
330万円以下なので税金が戻ってきます!
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ソシャレンと不動産クラファンの還付申告
税金が戻ってくることについて2つのケースを例に、もう少し詳しく説明します。
(以下、話を単純にするために復興特別所得税は無視します。)
正しい税率が20%未満の場合
1つ目は正しい税率が20%よりも低い場合です。
この年のソシャレンを含めた課税所得は150万円だった。
ポイントは「課税所得が150万円」です。
税率表を見ると正しい税率は5%。
課税所得額 | 所得税 |
---|---|
195万円以下 | 5% |
なのに、源泉徴収では20%で納税しています。
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15%も余計に取られてる!
その通りです!
1万5千円も納めすぎています。
- 源泉徴収された所得税:10万円×20%=2万円
- 本来の所得税:10万円×5%=5千円
- 納めすぎている所得税:2万円-5千円=1万5千円
この1万5千円は返してもらえます。
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それはうれしい!
経費がかかっていた場合
2つ目はソシャレン・不動産クラファンで経費がかかっていた場合です。
ソシャレンの勉強のために買った本代や、銀行の振込手数料などで経費が1万円かかった。
ポイントは「経費が1万円」です。
さきほど説明した通り、所得税がかかるのは収入から経費を引いた課税所得です。
今回のケースでは、経費1万円を引いた9万円が課税所得となります。
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なのに、10万円に対して源泉徴収されてる。
その通りです。
この人の正しい税率が20%の場合、2千円納めすぎています。
- 源泉徴収された所得税:10万円×20%=2万円
- 本来の所得税:9万円×20%=1万8千円
- 納めすぎている所得税:2万円-1万8千円=2千円
この2千円も返してもらえます。
還付申告
このように「納めすぎた分を返して!」と申告する手続きを還付申告といいます。
なお、還付申告という名前の特別な手続きがあるのではありません。
確定申告を行うと還付申告が自動的に行われます。
なので、返してもらえる税金がある場合は確定申告が必要です。
ソシャレンと不動産クラファンの損益の差し引き
還付申告の他にも税金を減らす方法があります。
損益の差し引きです。
2つのケースで説明します。
ソシャレンと不動産クラファンでの差し引き
所得税の計算ルール
所得税の計算にはオトクなルールがあります。
- 所得税はソシャレン・クラファンのトータルの利益で計算する
何のことやらよく分かりませんよね?
次のような例で考えてみましょう。
- 業者Aで10万円の利益が出た
- 業者Bで4万円の損失が出た
この場合、この人のトータルの利益は6万円です。
よって、所得税は10万円ではなく6万円に対してかかります。
このように、ソシャレンと不動産クラファンの損益を差し引きできるのです。
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7つの業者で投資したら7社分をプラマイか。
確定申告で返してもらえる
しかし、業者Bで4万円の損失が出ていることを業者Aは知りません。
このため、源泉徴収では次のように税金を取られています。
- 業者A:10万円×20%=2万円
- 業者B:0円×20%=0円
でも、税金がかかるのはトータルの利益6万円です。
なので、仮に正しい所得税率が20%の場合、
- 業者Aで源泉徴収された所得税:10万円×20%=2万円
- 本来の所得税:6万円×20%=1万2千円
- 納めすぎている所得税:2万円-1万2千円=8千円
8千円納めすぎです。
確定申告をすれば返してもらえます。
雑所得同士の差し引き
もう一つ、損益の差し引きをできるところがあります。
ちょっと説明がややこしいです。
ソシャレンと不動産クラファンは雑所得
「所得」は所得税法で10種類に分けられています。
ソシャレンと不動産クラファンの所得は雑所得という種類です。
雑所得同士で差し引きができる
雑所得には次のようなものがあります。
- ソシャレンの分配金
- 不動産クラファンの分配金
- 仮想通貨の利益
- ブログの広告収入
- メルカリでの利益
そして、雑所得同士で損益の差し引きが可能です。
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どうゆうこと?
雑所得同士の差し引きの例
例を挙げます。
- 業者A:利益10万円
- 業者B:利益20万円
- 仮想通貨:損失15万円
ソシャレン、不動産クラファンでは利益が出ましたが、仮想通貨は損失でした。
3つとも雑所得なので、3つの損益は差し引きが可能です。
よって、所得税がかかるのは15万円になります。
- 雑所得トータルの利益:10万円+20万円-15万円=15万円
確定申告で返してもらえる
しかし、仮想通貨で損失が出ていることを、業者Aと業者Bは知りません。
このため、次のように源泉徴収されています。
- 業者A:10万円×20%=2万円
- 業者B:20万円×20%=4万円
- 仮想通貨:0円×20%=0円
雑所得トータルの利益は15万円なのに、30万円に対して税金がかかっているのです。
仮に正しい所得税率が20%の場合、3万円納めすぎています。
- 源泉徴収された所得税:6万円
- 業者A:10万円×20%=2万円
- 業者B:20万円×20%=4万円
- 本来の所得税:15万円×20%=3万円
- → 納めすぎている所得税:6万円-3万円=3万円
確定申告をすれば3万円が戻ってきます。
損益をダブルで差し引きできる
このようにソシャレンと不動産クラファンでは、損益の差し引きをダブルでできます。
- ソシャレンとクラファンでの差し引き
- 雑所得同士の差し引き
ただし、税務署が知らせてくれるわけではありません。
自分で確定申告が必要です。
損失や経費が出たときは損益の差し引きをして節税しましょう。
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ソシャレンと不動産クラファンの住民税
ソシャレンと不動産クラファンにかかるもう1つの税金は住民税です。
基礎だけ簡単に説明します。
住民税は10%
ソシャレンと不動産クラファンの分配金には10%の住民税がかかります。
一部の自治体を除いて内訳は以下の通りです。
税目 | 税率 |
---|---|
道府県民税・都民税 | 4% |
市町村民税・特別区民税 | 6% |
合計 | 10% |
分配金が2万円の場合、住民税は2千円です。
- 住民税:2万円×10%=2千円
住民税は支払いが必要
要注意ポイントがあります。
源泉徴収されているのは所得税だけで、住民税は徴収されていません。
住民税は別途支払いが必要です。
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住民税は払ってないんだ!
確定申告が不要でも住民税の納付は必要
また、上の方で「こういう場合は確定申告は不要」と書きましたが。
確定申告が不要な場合でも住民税の納付は必要です。
確定申告が不要だと住民税の納付も不要になるわけではありません。
住民税の納付方法
住民税の納付方法は2つあります。
市町村役場で納付する
市区町村役場の住民税窓口で納付手続きをします。
都道府県民税もまとめて納付するので、都道府県庁での手続きは不要です。
確定申告をする
もう1つの方法は確定申告です。
確定申告をすると所得などの情報が市区町村役場に送られます。
それをもとに市区町村役場が処理をし、住民税の納付書が送られてきます。
そして、その納付書で住民税を支払いです。
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ソシャレンと不動産クラファンの税金のまとめ
最後に要点をまとめます。
- 分配金には所得税がかかる
- 20.42%で源泉徴収
- 20.42%は仮の税率
- 確定申告で正しい税額を確定
- 取られすぎた分を返してもらうor不足分を払う
- 取られすぎた分は還付申告できる
- 利益から経費を引ける
- 損益を差し引きできる
- ソシャレンとクラファンで差し引き
- 雑所得同士で差し引き
- 分配金には住民税がかかる
- 税率は10%
- 源泉徴収されていない→別途納付が必要
- 確定申告が不要でも住民税の納付は必要
ソシャレンと不動産クラファンの税金について、最低限これだけ理解しておけばOKです。
これ以外の知識は必要になってから追加していきましょう!
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これでバッチリです!
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