ソーシャルレンディング大手のFundsの利回りと運用期間に変化が現れています。
なぜ変わったのか?
その原因と投資家が取るべき対策を考えます。
大きな変化です!
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タップできる目次
Fundsの利回りと運用期間が変化
まず、Fundsに起きた変化の解説です。
利回りが急上昇
これまで利回りは2.0~2.1%で推移
Fundsは利回りの変化が極めて小さい業者です。
これまで、平均利回りはおおむね2.0~2.1%で推移していました。
プチ解説 利回りとは?
プチ解説 業者とは?
今年3月から急上昇
それが最近になって急激な上昇を見せています。
下のグラフは過去1年間の月平均利回りの推移を表したものです。
2.0~2.1%だった利回りが、今年3月から急激に上昇していることが分かります。
5月には2.4%と従来比で20%の上昇です。
急に上がったね。
運用期間も長期化
変わったのは利回りだけではありません。
運用期間も長期化しています。
従来、11~14カ月だった平均運用期間が、17カ月を超えるようになりました。
プチ解説 運用期間とは?
さきほどの利回りのグラフと重ねると、今年3月を境に利回りと運用期間が同時に変わっていることが見て取れるでしょう。
つまり、利回りと運用期間の変化には関連性があるということです。
どんな関連が?
変化の原因と取るべき対策
ここからはFundsの利回りと運用期間が変わった原因と投資家が取るべき対策です。
長期案件が増加
Fundsの利回りと運用期間の変化にどんな関連があるのか?
それを探るため、募集された案件に占める運用期間18カ月以上の案件の比率を調べました。
長期案件比率の推移です。
昨年11月と12月を除くと、18カ月以上の案件はこれまで全体の2割以下でした。
それが今年3月からは4~5割に急増しています。
倍以上に増えた。
プチ解説 案件とは?
一部の借り手で利上げと長期化
そこで、3~5月に募集された18カ月以上の案件について調べてみました。
18カ月以上の案件は8件で、その借り手は以下の5社です。
- サンセイランディック
- GA technologies
- リニューアブル
- アスコット
- 霞ヶ関キャピタル
各借り手の過去の案件を調べたところ、興味深い変化が確認できました。
各社ごとに紹介します。
プチ解説 借り手とは?
サンセイランディック
底地くん案件でおなじみの借り手です。
過去2年間に募集された案件を見ると、利回り2%以下、運用期間12カ月以内で推移していました。
募集時期 | 利回り | 運用期間 |
---|---|---|
2022年6月 | 1.7% | 7カ月 |
2022年11月 | 1.7% | 7カ月 |
2023年1月 | 1.7% | 7カ月 |
2023年4月 | 1.7% | 7カ月 |
2023年7月 | 2.0% | 11カ月 |
2023年12月 | 2.0% | 12カ月 |
2024年3月 | 2.6% | 20カ月 |
それが今年3月に利回りが2.6%と大幅に上がり、あわせて運用期間が初めて18カ月を超えたのです。
初の長期案件!
GA technologies
GA technologiesもM&Aグロース案件などでよく見るでしょう。
こちらも2年前から2.2%以下、12カ月以内が続いていました。
募集時期 | 利回り | 運用期間 |
---|---|---|
2022年8月 | 2.0% | 11カ月 |
2022年11月 | 2.0% | 11カ月 |
2023年7月 | 2.0% | 12カ月 |
2023年8月 | 2.0% | 12カ月 |
2023年9月 | 2.2% | 11カ月 |
2023年9月 | 2.2% | 12カ月 |
2023年10月 | 2.2% | 11カ月 |
2023年10月 | 2.2% | 11カ月 |
2024年2月 | 2.85% | 30カ月 |
2024年3月 | 2.85% | 30カ月 |
2024年4月 | 2.9% | 32カ月 |
ところが、今年2月に利回りが2.85%と3割上がり、同時に運用期間が30カ月と3倍近くになっています。
利回り大幅アップとセットか。
リニューアブル・ジャパン
リニューアブル・ジャパンは昨年9月に初登場し、今年5月が2回目の募集です。
募集時期 | 利回り | 運用期間 |
---|---|---|
2023年9月 | 1.8% | 4カ月 |
2024年5月 | 2.5% | 19カ月 |
こちらも利回り大幅アップと同時に、運用期間が5倍近くになりました。
アスコット
アスコットはもう少し早い段階で変化が起きています。
初募集の翌月に2.2%、18カ月となり、それが続いていましたが、2023年6月に3.0%、36カ月と利回りアップ&長期化。
募集時期 | 利回り | 運用期間 |
---|---|---|
2023年2月 | 2.2% | 18カ月 |
2023年3月 | 2.2% | 18カ月 |
2023年3月 | 2.2% | 18カ月 |
2023年4月 | 2.2% | 18カ月 |
2023年6月 | 3.0% | 36カ月 |
2023年7月 | 3.0% | 36カ月 |
2023年8月 | 3.0% | 36カ月 |
2023年9月 | 3.0% | 36カ月 |
2023年10月 | 2.2% | 18カ月 |
2023年12月 | 2.5% | 24カ月 |
2024年1月 | 2.5% | 24カ月 |
2024年2月 | 2.2% | 18カ月 |
2024年3月 | 3.0% | 36カ月 |
2024年5月 | 3.0% | 35カ月 |
その後は2.2~3.0%と18~36カ月を併用しています。
3月からは再び長期化。
霞ヶ関キャピタル
霞ヶ関キャピタルはさらに早く、2022年4月の石垣ホテル案件で従来の2.0%以下、12カ月以内から、3.0%、35カ月になりました。
今年は2.3%以下、18カ月以内なので、逆に短期化しており、上記4社とは状況が異なっています。
貸付金利アップで長期化か?
ここまで見てきたように、利回りと運用期間は明らかに連動しています。
それは同時に、貸付金利と融資期間も連動しているということです。
プチ解説 貸付金利とは?
ここからは僕の推測ですが、今年3月以降、Fundsは収益を上げるために貸付金利のアップを借り手に要請した。
何もなしにアップというわけにはいかないので、代わりに融資期間の延長に応じた。
その結果、投資家側の利回りが上がり、運用期間が長期化したのではないでしょうか?
もしかしたら、Fundsの収益アップのためではなく、競合他社対策で利回りを上げるためかもしれません。
こっちの可能性のほうが高いかもです!
借り手の厳選が必要
今回のFundsの変化に対して、投資家はどのように対応すべきでしょうか?
一時的な現象か?
まず第一にすべきは、これが一時的な現象かの見極めです。
6月1~18日までに募集された案件を見ると、平均で利回り2.2%、運用期間12.4カ月と以前の水準に近づきつつあります。
ですので、まずは様子を見る。
その上で、やはり利回りアップ+運用長期化であるようならば以下の対策です。
長期化したのは上場企業が借り手の案件
一般に運用期間が長くなると安全性は下がります。
なので、Fundsの運用期間の長期化は投資家にとってネガティブな変化です。
ただ、今回18カ月オーバーになった5社はすべて上場企業です。
借り手 | 上場市場 |
---|---|
サンセイランディック | スタンダード |
GA technologies | グロース |
リニューアブル | グロース |
アスコット | スタンダード |
霞ヶ関キャピタル | グロース |
上場企業が借りたお金を踏み倒すことはまずありえません。
ですので、長期化したとは言えリスクは低いと思います。
非上場系には注意を
ただ、借り手が非上場企業だとちょっと心配ですよね?
非上場で長期は避けたほうが無難。
ということで、これからFundsで長期案件に投資する際は、今まで以上に借り手のチェックが重要になるでしょう。
以上です!
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