ソーシャルレンディングと不動産投資型クラウドファンディングの所得税と住民税を出す際には、次の2つが大きなポイントになります。
- 所得区分
- 損益の通算
この記事ではソシャレン、不動産クラファンの所得区分と損益の通算について説明します。
初心者向けに分かりやすく説明するよ!
タップできる目次
ソーシャルレンディングの所得区分
まず最初に、ソーシャルレンディングと不動産投資型クラウドファンディングの所得区分について説明します。
所得区分
所得税を出す際には、まずすべての所得を種類ごとに分けます。
家計簿をつける際に、食費、通信費、教育費などに分類するのと同じイメージです。
この種類分けを所得区分といいます。
紙くずは可燃物、空き缶は不燃物みたいな、ゴミの区分と同じようなものと考えてね!
所得の10区分
所得税法では所得は次の10種類に区分されます。(所得税法第23~35条)
- 利子所得(銀行の利息など)
- 配当所得(株式の配当など)
- 不動産所得(アパートの家賃など)
- 事業所得(自営業者の所得など)
- 給与所得(会社員やパート、アルバイトの給与など)
- 退職所得(退職金など)
- 山林所得(山林を伐採して売った所得など)
- 譲渡所得(不動産や株式などの売買で得た所得など)
- 一時所得(クイズの賞金や競馬の払戻金など)
- 雑所得(1~9のいずれにも該当しない所得)
コンビニのバイト代も給与所得なんだね。
ソーシャルレンディングは雑所得
ソーシャルレンディングと不動産投資型クラウドファンディングの所得は雑所得に区分されます。
- ソシャレンと不動産クラファンの所得区分は雑所得
ソシャレン、不動産クラファンで得た所得は雑所得グループに区分されるということです。
非常に重要なことですので、絶対に忘れないでください。
ソシャレンと不動産クラファンは雑所得だよ!
雑所得に含まれる他の所得
雑所得にはソシャレン、不動産クラファン以外に、次のようなものが含まれます。
- アフィリエイトの報酬
- アドセンスの報酬
- 仮想通貨の売買益
- 外貨預金の為替差益
- FXの収益
- 原稿料や印税、講演料
- ネットオークションの利益
ソシャレンと不動産クラファンをやっていて、その内容をブログに書いてアフィリエイトやアドセンスの報酬を得ている人もいますよね?
その場合は、その4つすべてが雑所得に該当します。
ソーシャルレンディングは総合課税
ゴミの区分では燃えるゴミは水曜日、燃えないゴミは金曜日と、出す曜日などが変わりますよね。
これに対して所得の区分では税金の計算の仕方が変わります。
ソーシャルレンディングの税金の出し方の話をするよ!
総合課税と分離課税
税金の出し方(課税方式)には大きく分けて次の2つがあります。
- 総合課税
- 分離課税
そして、さきほどの10種類の所得区分それぞれについて、課税方式は次のように決まっています。(特殊なものや例外を除く)
- 利子所得:分離課税
- 配当所得:分離課税(源泉徴収されていないものを除く)
- 不動産所得:総合課税
- 事業所得:総合課税
- 給与所得:総合課税
- 退職所得:分離課税
- 山林所得:分離課税
- 譲渡所得
- 土地、建物、株式など:分離課税
- 上記以外:総合課税
- 一時所得:総合課税
- 雑所得
- FX、先物取引:分離課税
- 上記以外:総合課税
なんか難しそうだね…
雑所得は総合課税
ソーシャルレンディングと不動産投資型クラウドファンディングを含む雑所得の課税方式は総合課税です。
総合課税の対象となる所得をまとめて抜き出すと次のようになります。
- 不動産所得
- 事業所得(株式などの譲渡によるものを除く)
- 給与所得
- 譲渡所得(土地、建物、株式などを除く)
- 一時所得
- 雑所得(FX、先物取引を除く)
たくさんあって難しそうに見えますが、不動産所得、株や投資信託以外の譲渡所得、一時所得がある人ってめったにいませんよね?
ですので、ごく普通の自営業者や給与所得者に関係するのは次の3つです。
- 事業所得(自営業者の場合)
- 給与所得(会社員やパート、アルバイトの場合)
- 雑所得
総合課税の税金の出し方
総合課税の税金を出すには、まず総合課税グループに属するすべての所得を合計します。
そして、所得の合計額に応じて税率が変わります。
課税所得額 | 税率 |
---|---|
195万円以下 | 5% |
195万円超~330万円以下 | 10% |
330万円超~695万円以下 | 20% |
695万円超~900万円以下 | 23% |
900万円超~1,800万円以下 | 33% |
1,800万円超~4,000万円以下 | 40% |
4,000万円超 | 45% |
給料とかソシャレンの利益とか不動産クラファンの利益とか、総合課税グループの所得を全部足し算して税率が決まるよ!
給与所得とか雑所得とかの合計が増えれば増えるほど、税率もドンドン上がるってことね。
総合課税のメリットとデメリット
そうです。そこが重要なポイントです。
株や投資信託は分離課税で、所得税の税率は15%で一定です。
これに対して、総合課税では給与所得なども合わせたトータルの所得によって税率が変わります。
例えば、次のような2人がいたとします。
- Aさん:外資系企業の超高給取り
- ソシャレンの所得:10万円
- 課税所得額:2,000万円
- → 所得税率:40%
- Bさん:フリーターで低所得
- ソシャレンの所得:10万円
- 課税所得額:150万円
- → 所得税率:5%
この2人がソーシャルレンディングで稼いだ金額は同じです。
しかし、Aさんは給与が高いため所得の合計が多くなり、所得税率は40%。これに対してBさんはその逆で5%です。
同じようにソシャレンで稼いだ10万円なのに、Aさんの10万円には所得税が40%もかかるのに対し、Bさんの10万円には5%しかかからないのです。
総合課税方式は低所得者にはメリットですが、高所得者にはデメリットと言えます。
低所得の僕にはメリットってことだね。
ソーシャルレンディングの損益の通算
ソーシャルレンディングと不動産投資型クラウドファンディングの所得税、住民税の計算でもう一つ大切なのが、損益の通算です。
払う税金を少なくする上で非常に重要です。
税金を減らしたい人は要チェックだよ!
費用は指し引ける
まず基本として、収入から経費を差し引くことができます。
例えば次のような場合です。
- ソーシャルレンディングの分配金:5万円
- 勉強するために買った本代:2千円
- セミナーに参加するための交通費:3千円
- → 所得=5万円-5千円=4万5千円
ソーシャルレンディングで入ってきたお金すべてに税金がかかるのではなく、かかった経費を引いたものに税金がかかります。
税金がかかるのは純粋な儲けの部分だけってことね。
ですので、ソシャレンの分配金、不動産クラファンの分配金、それぞれでかかった経費をプラスマイナスして、所得の合計額を出します。
ソシャレン間で損益をプラマイできる
さて、ここからが本題です。
ソシャレンや不動産クラファンで貸し倒れなどで損失が出たとします。
例えば次のような場合です。
- OwnersBook:利益5万円
- CREAL:利益2万円
- クラウドリース:損失3万円
この場合、ソシャレンと不動産クラファン全体での所得は、
- 5万円+2万円-3万円=4万円
となり、7万円ではなく4万円に対して税金がかかります。
ソシャレン、不動産クラファン同士で損失をプラマイできるってことか!
雑所得グループ内での内部通算
さらに、雑所得グループの内部でも損益を通算することができます。
例えば次のような場合です。
- ソシャレンの利益:5万円
- 不動産クラファンの利益:10万円
- 仮想通貨の損失:2万円
この場合、雑所得全体での所得は、
- 5万円+10万円-2万円=13万円
となり、15万円ではなく13万円に対して税金がかかります。
ソシャレン、クラファン同士だけじゃなく、仮想通貨とかアフィリエイトとか雑所得グループ内のすべてでプラマイができるってことね!
雑所得グループ内のすべての損益と経費の通算
もちろん、雑所得グループ内の経費もすべて通算できます。
例えば次のような場合、
- ソシャレンの分配金:5万円
- ソシャレンの勉強で買った本:2千円
- 不動産クラファンの分配金:2万円
- 不動産クラファンのセミナーの受講料:5千円
- アフィリエイト報酬:1万円
- 仮想通貨の損失:3万円
- 仮想通貨の振込手数料:2千円
収益を通算すると、
- 収入=5万円+2万円+1万円=8万円
- 経費+損失=2千円+5千円+3万円+2千円=3万9千円
- → 雑所得全体の所得=8万円-3万9千円=4万1千円
となり、4万1千円に税金がかかることになります。
要するに、ソシャレンもアドセンスも仮想通貨も、雑所得グループ内のプラスとマイナスを全部まとめて計算すればOKってことか。
雑所得グループ外との通算はできない
ただし、プラマイができるのは雑所得グループ内だけです。
例えば次のような場合、
- ソシャレンの所得:5万円
- 仮想通貨の損失:7万円
他に雑所得の収入も経費も損失もなければ、雑所得の合計はゼロ円となります。
ですが、マイナスしきれていない損失が2万円残っていますよね?
この2万円を給与所得など総合課税グループの他の所得から引いて、所得の合計を2万円減らすことはできません。
プラマイの通算ができるのは雑所得の中だけです。
合計の所得を2万円減らせれば、その分だけ税金が減るのに残念!
損益通算ができる所得
なお、所得区分の枠を超えてプラマイをすることを損益通算といいます。
雑所得は雑所得グループ内の通算(内部通算)はできますが、雑所得グループ外との損益通算はできません。
損益通算ができるのは次の所得だけです。
- 不動産所得
- 事業所得
- 山林所得
- 譲渡所得
所得区分と損益の通算のまとめ
最後にソーシャルレンディングと不動産投資型クラウドファンディングの所得区分と損益の通算について、重点をまとめます。
- ソシャレンと不動産クラファンの所得区分は雑所得
- 雑所得に含まれる主なもの
- ソーシャルレンディングの分配金
- 不動産投資型クラウドファンディングの分配金
- アフィリエイト報酬
- アドセンス報酬
- 仮想通貨の売買益
- ソシャレンと不動産クラファンは総合課税
- 総合課税の対象となる主なもの
- 事業所得(自営業者の場合)
- 給与所得(会社員やパート、アルバイトの場合)
- 雑所得
- 総合課税の税金の決まり方
- 総合課税グループの所得をすべて合計
- 合計が大きくなるほど税率も上がる
- 総合課税は高所得者に不利
- 損益の通算
- 雑所得グループ内のすべての損益と経費をプラマイできる
- 雑所得のマイナスで他の所得を減らすことはできない
最も重要なポイントは次の3点です。
- 総合課税グループのすべての所得の合計で税率が決まる
- 雑所得グループ内でプラマイできる
- 雑所得ブループ外とのプラマイはできない
税金は内容が複雑で理解するのが大変です。
また分からなくなったときには、この記事に戻ってきてください。
待ってるよ!
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