セルフメディケーション税制を使うと、
- 薬を買った金額に応じて、税金が安くなります
- 対象となる薬の種類が多いです
毎月の薬代が節税につながるセルフメディケーション税制。
詳しく分かりやすく説明します!
セルフメディケーション税制は本当にオトクです。普段から薬をよく使っている人は要チェックだよ!
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セルフメディケーション税制の概要
セルフメディケーション税制で税金がどのように安くなるのか?
まず、税金が安くなる仕組みを説明します。
具体的な金額を出して説明するよ!
セルフメディケーション税制の仕組み
セルフメディケーション税制の仕組みはこうです。
- 年間に支払った薬代の
- 1万2千円を超える分を
- 課税所得から引く(控除する)
その結果、
- 課税所得が減るので
- 税金が安くなる
1万2千円を超える薬代が、課税所得から引かれます。
すると、その分だけ課税所得が減るので、課税所得が減った分だけ税金も減ります。
今ひとつイメージが湧かないと思うので、具体的な例で説明しましょう。
課税所得が減る
例えば、次のような人の場合です。
- 課税所得500万円
- 所得税率20%
- 住民税率10%(所得割分)
- 年間の薬代3万円(家族分を含む)
控除額:3万円-1万2千円=1万8千円
控除されるのは1万2千円を超えた分の薬代、つまり、1万8千円です。
税金が減る
課税所得が1万8千円減るので、1万8千円にかかる税金が減ります。
この人の場合はこうなります。
- 所得税:1万8千円×20%=3,600円
- 住民税:1万8千円×10%=1,800円
セルフメディケーション税制を利用することで、税金が5,400円安くなります。
薬代で5,400円が戻ってくると考えると大きいよね!
注意点が3つあるので説明するよ!
セルフメディケーション税制の注意点
対象となるのは市販薬
次の章で詳しく説明しますが、セルフメディケーション税制の対象は市販薬です。
ドラッグストアなどで売られている、パブロンとかバファリンとかです。
病院で出してもらう薬や、処方箋を書いてもらう処方薬は含まれません。
通常の医療費控除と併用できない
セルフメディケーション税制は通常の医療費控除と併用できません。
使えるのは、
- 通常の医療費控除
- セルフメディケーション税制
の、どちらか一方だけです。
セルフメディケーション税制を使ったら、通常の医療費控除は使えません。
どちらを使った方がトクになるか、しっかり計算しないといけないね。
対象となる薬代の上限は10万円
セルフメディケーション税制の対象となるのは、10万円までの薬代です。
10万円を超える分にはセルフメディケーション税制は使えません。
このため、
- 控除額の上限:10万円-1万2千円=8万8千円
課税所得を減らせるのは、マックスで8万8千円です。
年間の薬代が100万円だろうと1億円だろうと、課税所得が減るのは最大で8万8千円ってことね。
セルフメディケーション税制の対象となる医薬品
セルフメディケーション税制の対象となるのは「特定一般用医薬品」とよばれる医薬品です。
さきほど書いた通り、ドラッグストアなどで売られている市販薬の一部がこれに該当します。
どんな市販薬がOKなのか見ていくよ!
セルフメディケーション税制の対象市販薬
セルフメディケーション税制の対象となる市販薬は1,800品目近くあります。
薬の種類ごとに代表的なもの、メジャーなものを紹介します。
かぜ薬
- アスゲン(日邦薬品)
- エスタック(エスエス製薬)
- カイゲン(カイゲン)
- カコナール(第一三共)
- クールワン(大正製薬)
- コルゲンコーワ(興和新薬)
- コンタック(グラクソ)
- ジキニン(全薬工業)
- ストナ(佐藤製薬)
- バイロン(シオノギ)
- パブロン(大正製薬)
- ベンザブロック(武田薬品)
- 龍角散(龍角散)
- ルル(第一三共)
鎮痛剤
- アダムA(皇漢堂製薬)
- イブ(エスエス製薬)
- エキセドリン(ライオン)
- エルペインコーワ(興和新薬)
- ケロリン(内外製薬)
- サリドン(第一三共)
- セデス(シオノギ)
- ナロンエース(大正製薬)
- ノーシン(アクラス)
- バファリン(ライオン)
- リングルアイビー(佐藤製薬)
- ルミフェン(佐藤製薬)
- ロキソニン(第一三共)
- ロキソプロフェン錠(皇漢堂製薬)
皮膚薬
- アレルギール(第一三共)
- ウナコーワ(興和新薬)
- オイラックス(第一三共)
- ケアノキュア(小林製薬)
- ムヒ(池田模範堂)
- メンソレータム(ロート)
- メンターム(近江兄弟社)
胃腸薬・整腸剤・便秘薬
- アシノン(ゼリア新薬)
- ガスター10(第一三共)
- ガストール(エスエス製薬)
- コーラック(大正製薬)
- セルベール(エーザイ)
- 大正胃腸薬(大正製薬)
- 第一三共胃腸薬(第一三共)
- パンシロン(ロート)
- ビオフェルミン(大正製薬)
- ファスコン(京都薬品)
- ファモチジン(皇漢堂製薬)
- ブスコパン(エスエス製薬)
目薬
- アイリス(大正製薬)
- アルガード(ロート)
- ザジテン(ノバルティス)
- サンテ(参天製薬)
- ノアール(佐藤製薬)
- マイティア(武田薬品)
- マリンアイ(佐藤製薬)
鼻炎薬
- アルガード(ロート)
- アレグラ(久光製薬)
- エージー(第一三共)
- コンタック(グラクソ)
- ジキナ(富士薬品)
- ストナリニ(佐藤製薬)
- ナザール(佐藤製薬)
- ノーエチ(ノーエチ)
- パブロン鼻炎(大正製薬)
湿布剤・消炎剤
- アンメルツ(小林製薬)
- サロメチール(佐藤製薬)
- サロンシップ(久光製薬)
- サロンパス(久光製薬)
- パスタイム(祐徳薬品)
- パテックス(第一三共)
- ハリックス(ライオン)
- バンテリン(興和)
- フェイタス(大正製薬)
その他
- アリナミン(武田薬品)
- エスファイト(エスエス製薬)
- ダマリン(大正製薬)
- タムチンキ(小林製薬)
- ユンケル(佐藤製薬)
対象市販薬の見分け方
以上に挙げたのは、対象となる市販薬のブランド名です。
このため、ユンケルAは対象だけど、ユンケルBは対象外といったことがあります。
対象になるかの見分け方ですが、パッケージに下記のマークが入っているものが対商品です。
また、厚生労働省のサイトで対象品目のリストをダウンロードできます。
自分が使っている薬が含まれているか、気になる方はチェックしてみて下さい。
かぜ薬や胃腸薬、頭痛薬に水虫薬まであるので、家族全員分でけっこうな金額になってるかもしれないね!
セルフメディケーション税制を利用する条件
セルフメディケーション税制は誰でも使えるわけではありません。
利用するための条件があります。
どんな人が使えるか、条件を説明するよ!
健康診断などの利用者に限る
セルフメディケーション税制を利用できるのは、以下に示す健康診断などを受けている人だけです。
- 健康診査(人間ドックやがん検診など)
- 予防接種(インフルエンザなど)
- 定期健康診断(勤務先などで行われるもの)
- 特定健康診断(メタボ検診)
勤務先で健康診断を受けている会社員は、無条件にセルフメディケーション税制の対象だよ!
健康診断を受ければOK
利用できるのは健康診断を受けている人だけ、ということは。
健康診断を受ければ利用できる、ということです。
会社勤めをしていない主婦や自営業者などは、自治体の健康診断などを受けることで、セルフメディケーション税制の対象となります。
控除を受ける納税者が健康診断を受けていればOK
セルフメディケーション税制は、家族(生計を一にする配偶者や親族、HINT欄参照)が使った薬代をまとめて申請できます。
その際、控除を受ける納税者が健康診断を受けていれば、家族は健康診断を受けていなくてもかまいません。
例えば、次のような家族で年間の薬代が合わせて5万円だったとします。
職業 | 健康診断 | |
---|---|---|
夫 | 自営業者 | 受けていない |
妻 | 会社員 | 受けている |
長男 | 大学生 | 受けていない |
長女 | 高校生 | 受けていない |
この場合、健康診断を受けている妻がセルフメディケーション税制の利用を申請し、妻の課税所得から5万円ー1万2千円=3万8千円が控除されます。
妻は薬を一切使っておらず、夫と長男、長女の薬代の合計が5万円であっても問題ありません。
申請する人が健康診断を受けていればOKってことね。
また、夫が単身赴任していたり、子供が進学で一人暮らしをしていても、夫の給与で家族が暮らしていたり、子供に仕送りをしている場合などは「生計を一にする」に該当します。
逆に二世帯住宅で親夫婦と子供夫婦が同居していて、お互いに収入があって生活費を別会計にしている場合は、「生計を一にする」には該当しません。
注意点
なお、控除の対象となるのは薬代だけです。
健康診断や予防接種を受けるためにかかった費用は、控除の対象にはなりません。
セルフメディケーション税制の手続き
セルフメディケーション税制を受けるにはどうすれば良いか?
重点だけを簡単に説明します。
手続きの大切な部分だけ説明するよ!
セルフメディケーション税制は確定申告で
確定申告を行うことで、セルフメディケーション税制を受けることができます。
例えば次のような場合、
- 年間の薬代:2万円
- 所得税率:20%
- 住民税率:10%
課税所得から控除されるのは、2万円ー1万2千円=8千円ですよね。
この8千円にかかる税金が安くなります。
- 所得税:8千円×20%=1,600円
まず、すでに納めた所得税から1,600円が戻ってきます。
- 住民税:8千円×10%=800円
次に、住民税の情報が税務署から市町村役場に送られるので、800円が引かれた住民税が請求されます。
これに対し、住民税は確定申告の時点(2~3月)ではまだ支払われていません。このため、住民税は戻ってくるのではなく、800円が引かれた住民税を6月以降に支払います。
所得が高い人が申告すべき
なお、所得税の計算式を見たら分かる通り、戻ってくる税金は税率によって変わります。
例えば、さきほどのように控除額が8千円で、
- 夫の所得:400万円 → 所得税率20%
- 妻の所得:300万円 → 所得税率10%
だとすると、戻ってくる所得税は、
- 夫が申告した場合:8千円×20%=1,600円
- 妻が申告した場合:8千円×10%=800円
夫が申告した方が多く戻ってきます。
家族で所得が一番高い人が申告するのがオトクってことだね。
必要な提出物
確定申告を行う際には、以下の資料の提出が必要です。
- セルフメディケーション税制の明細書(書式:PDF)
- 健康診断などを受けたことを証明できる領収書や結果通知書など
医薬品を購入した際のレシート、領収書の提出は必要ありません。
ただし、税務調査が入る可能性があるので、確定申告から5年間は保管しておきましょう。
セルフメディケーション税制のまとめ
最後に重点をまとめます。
- セルフメディケーション税制は薬代の所得控除です
- セルフメディケーション税制を使うと
- 1万2千円を超える薬代が所得控除され
- 課税所得が減るので
- 税金が減ります
- セルフメディケーション税制で節税できるのは
- 所得税と
- 住民税です
- セルフメディケーション税制は
- 通常の医療費控除と併用できません
- 薬代の上限は10万円です
- セルフメディケーション税制の対象は
- 市販薬の一部です
- 処方薬は対象外です
- パッケージのマークで見分けます
- セルフメディケーション税制を利用できるのは
- 健康診断などを受けている納税者です
- 家族の分をまとめて申請できます
- セルフメディケーション税制は
- 確定申告をすることで適用されます
- 年末調整をした会社員も確定申告が必要です
通常の医療費控除は総所得が200万円以上ある場合、年間の医療費が10万円を超えないと使えません。
これに対してセルフメディケーション税制は、薬代が1万2千円を超えると利用できます。
普段からよく薬を使っている人は、セルフメディケーション税制を活用してみてはいかがでしょうか。
合法的な節税策だから、上手に活用しようね!
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