【質問】春秋航空に東京から広島まで乗りました。広島空港で降りてチェックインカウンターで預けたキャリーケースが出てきたのですが、キャスターが一つ壊れていました。その場で春秋航空のスタッフに言ったところ、これは免責なので補償できないと言われました。以前、日本航空で同じことがあった時はちゃんと修理してくれました。これって安かろう悪かろうじゃないですか?!納得できません。
【回答】これは春秋航空が安かろう悪かろうなのではなく、日本航空が高かろう必要以上に良かろうなだけです。
キャリーケースは中に入っているものを運ぶための容器です。段ボール箱と同じです。ですからキズは付きます。宅急便で届いた荷物の段ボール箱が凹んでいても、中身に破損がなければ文句は言いませんよね。それと同じです。また段ボール箱の一部が出っ張っていて、運送途中にどこかにぶつかってその部分が折れ曲がっても、出っ張っているのだから仕方ないですよね。キャスターもそれと同じです。
スーツケースやキャリーバッグは中身を運ぶための容器であり、その運送の過程で中身を保護するために容器に傷が付くのは自然なことです。また、段ボール箱同様に運送過程において扱われるにもかかわらず、キャスターやハンドルなど、損傷を容易に受けることが予想される突起物が付いているのは容器としての欠陥です。ですので、スーツケースに付いたキズやキャスターやハンドルの損傷などについて航空会社は責任を負いません。
このことは運送約款に明記されています。また春秋航空のサイトの中でも、キャスター、ハンドルなどの突起物の欠損、擦り傷、へこみなど軽微な破損は免責とすると書かれています。(これ自体を運送約款の中に明記すべきだとは思います。)
春秋航空日本 国内旅客運送約款
第12条第2項第2号:当社は、受託手荷物その他の当社が保管を受託した旅客の物の破壊、滅失、紛失又は毀損の場合に発生する損害が、その手荷物又は物の固有の欠陥、品質又は瑕疵の原因のみから生じたものであるときは、賠償の責に任じません。
また日本航空は補償してくれたとのことですが、それは日本航空のサービスです。日本航空も突起物の損傷や軽微な破損については責任を追わないと運送約款の中で明記しています。サイトの中でもキャスター、フックなど突起した付属品の欠損、すり傷など軽微な破損は免責とすると書かれています。
日本航空 国内旅客運送約款
第44条:会社は、受託手荷物その他の会社が保管を受託した旅客の物の破壊、滅失、紛失又は毀損の場合に発生する損害が、その手荷物又は物の固有の欠陥、品質又は瑕疵の原因のみから生じたものであるときは、賠償の責に任じません。
春秋航空とまったく同じ規定をし、キャスターの破損に対して補償する責任は爪の先ほどもない日本航空が修理をしてくれたのは日本航空のサービスです。なぜサービスをするのかというと、そこで下手にもめて会社のイメージを悪化させ、その乗客及びその知人等を顧客として失わないためです。もちろん修理などの費用は会社のコストとして見込んでいます。だから春秋航空よりもチケットが高いのです。
規定以上のサービス対応をするために、それにかかるコストをあらかじめ見込んでおく。その結果、チケット代は高くなるけど至れり尽くせりサービスの日本航空。あくまでも規定通りの対応しかしない代わりに、そのコストを節約することで安いチケット代を実現する春秋航空。どちらも正しいです。安いチケットの春秋航空に高いチケットの日本航空並みのサービスを要求するのは酷というものではないでしょうか。